プラチナゲームズ10周年パーティーをリポート! 神谷英樹氏、橋本祐介氏、稲葉敦志氏のインタビューもお届け | ニコニコニュース

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文・取材:編集部 ロマンシング★嵯峨 、撮影:カメラマン 永山亘

●祝・プラチナゲームズ10周年!

 『BAYONETTA(ベヨネッタ)』シリーズや『メタルギア ライジング リベンジェンス』などを手掛けてきたことで知られる開発スタジオ“プラチナゲームズ”が、2016年2月2日に創立10周年を迎えた。

 これを記念し、2016年2月26日、東京都内にて“PLATINUMGAMES 10th ANNIVERSARY PARTY”が開催。代表取締役社長の三並達也氏を始めとするスタッフが集い、プラチナゲームズの10年間を支えたユーザーや関係者らへの感謝の意を表した。また三並氏は、大阪でのユーザー向けイベント開催を計画中だと明かした。

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 三並氏がシェフに扮して料理を振る舞ったり、ものまねタレントの“ゆうぞう”がショーを行ったりと、終始盛り上がっていた10周年パーティー。最後に、三並氏が今後の発展を願ってダルマの開眼を行い、パーティーは幕を閉じた。

●プラチナゲームズのクリエイターにインタビュー!

■ディレクター 神谷英樹氏


(文中は神谷)

――10周年を迎えた、いまのお気持ちを教えてください。


神谷 10周年を迎えたんですけど、僕、まだ2作品しか作っていないんですよ。『ベヨネッタ』と『The Wonderful 101(ザ・ワンダフル ワン・オー・ワン)』と。「これはペースを上げなあかんな」と思いました(笑)。『ベヨネッタ』と『101』のあいだに、開発がうまくいかなかったタイトルがありまして。時間を使ってしまったな、と。

――10年という時間は、長いと感じましたか、それとも短いと感じましたか?


神谷 あっという間でしたね。最近、ユーザーの方から「今年、『大神』が10周年ですね」と言われて、「えっ、もうそんなに経つの!?」と思ったり。何年か前には「『ビューティフル ジョー』が10周年ですね」と言われて、それも驚きましたね。3ヵ月くらい前にアップした気がするんだけどなあ、って。本当に時間が経つのが早くて。

――では、今後の抱負を教えていただけますか?


神谷 2作品作って、10年か……と最近考えることがあって。僕たちは、あまり“何年”という区切りで考えないので、ひとつ作って、つぎの作品を考えて、また作って……とやっているうちに時間が経っちゃった。僕ももう45歳ですし、仕事をしていられるあいだに、あと何本作れるんだろう? と。これまで僕は、「つぎのゲームのアイデアはすぐに湧くんですか?」と聞かれたとき、よく“歯磨き粉のチューブ”になぞらえて話をしてきたんです。1回終わったら、チューブを机の角でギューっと押して、「ああ、もう1回分出た」という感じで作ってきたので、やりたいことのストックはなかったのですが、最近は「あれもやりたいな、これもやりたいな」というアイデアがあるんですよ。

――実現したいアイデアが続々湧いてくる、と。


神谷 あるんですけど、我々は単なるデベロッパーなので、お金をいただかないことには開発できないので、「お金がないなあ……」と(笑)。この記事を見た方、お金をください(笑)。アイデアはありますので。僕たちは、ゲームキッズたちに対して、新鮮な驚きと喜びを与えるのが使命だと思っているんですね。その期待に、これからも応えていきたいな、と。

――ところで神谷さんと言えば、Twitterで“プラチナゲームズ”を“プラチナゲームス”と書き間違えている方に、よく「「プラチナゲームズ」ですね……」と指摘していらっしゃいますが、そのパトロールは今後も行うのでしょうか?


神谷 はっきりと言っておきたいのですが、プラチナゲームズだろうかプラチナゲームスだろうが、正直、どうでもいいんです(笑)。なぜあのパトロールをしているかというと、僕がTwitterで暴言を吐き続けたばっかりに、ユーザーの皆さんと交流するために始めたはずのTwitterで、誰も僕に触れなくなったんです(笑)。そこで、僕のほうから行くスタイルに変えようかなと。ただ、僕もコミュニケーションがちょっと苦手なので、まずは会話のとっかかりを作ろうと、「「プラチナゲームズ」ですね……」と言っているんです! それで話のラリーが始まるかな……と思ったら、なかにはすごく怒っちゃう人もいたりして。そりゃ怒るだろうとは思いますが(笑)。

――ラリーが続いていることは、あまりないですよね(笑)。


神谷 恐縮されたらされたで申し訳ないですし。でも、そうでもしないとコミュニケーションができないんですよ! 僕、寂しいんです。でも、「質問なんでも受け付けます」とも言えないし。僕の心情を察してほしいんです、聞きたいことをほどよく聞いてほしいんです!

――「来週の…ゲーム雑誌に…」と答えることも多いですよね。


神谷 あれは、来週のゲーム雑誌に、他社さんのおもしろいゲームの情報が載ったらいいな、と思って書いているだけなんですよ(笑)。みんな「ガタッ」と言うんですけど。このあいだも、僕に「『デビル メイ クライ 5』は出ないんですか?」と聞いてきたユーザーがいたので、「来週の…ゲーム雑誌に…」と言ったら、それが200リツイートくらいされてしまって(笑)。カプコンの人間じゃない俺がなんでわかるんだよ、デタラメだってわかるだろ! と思うんですけど。そういうのも含めて、僕はTwitterを非常に楽しんでいるので、怖がらずに話しかけていただければ。そんなに怖い人じゃないですよ!

■ディレクター 橋本祐介氏


(文中は橋本)

――まず、10周年を迎えての感想をお聞かせください。


橋本 あまり実感はないんですけどね。僕は『ベヨネッタ』と『ベヨネッタ2』を作ったのですが、遊んでくださったユーザーの皆さんの声で『スマブラ』にベヨネッタが参戦することになりましたので、10年やってきた甲斐はあったかな、と思っています。

――ユーザー投票で、(参戦を交渉できる)キャラクターの中で、ベヨネッタが1位だったとのことですからね。


橋本 そうなんです。ものすごくありがたかったです。つぎに作ったのが『スターフォックス ゼロ』だったので、(作ったタイトルの)主人公どうしが『スマブラ』でバトルできるという。そんなことはめったにないだろうなと。自分が『スターフォックス』に関わるなんてことも想像していませんでしたしね。『ベヨネッタ2』の中に、任天堂さんに許可をいただいて、お遊びとして『スターフォックス』を楽しめる要素を入れたのですが、それを見ていただけて、「いっしょに(『スターフォックス』の)仕事をしませんか」と言っていただけたのは本当にありがたかったです。

――では、橋本さんの今後の抱負をお聞かせいただけますか?


橋本 ぱっと見はプラチナらしくないけれど、遊んでみたら「あ、プラチナのゲームなんやな」と思ってもらえるゲームを作ってみたいですね。

――橋本さんが考える“プラチナらしさ”とは?


橋本 触り心地ですね。気持ちいいアクションだったりとか。

――最後に、『スターフォックス ゼロ』についてひと言いただけますでしょうか。


橋本 10年ぶりの新作になるのですが、Wii Uの2画面を使って、主観視点と客観視点で遊べるやり応えのあるシューティングゲームというものは、いままでにはなかったものです。新感覚のシューティングゲームを触ってもらえたらうれしいです。

■プロデューサー 稲葉敦志氏


(文中は稲葉)

――10周年を迎えて、いかがですか? いまのお気持ちを教えてください。


稲葉 ぜんぜん実感がないんです。パーティーの最初で、タイトルラインアップが流れたじゃないですか。「あれ、意外と少ないな」と思って。メンバーがみんな、ズタボロになりながら作ってきたはずなのに、そうか、10年でこれだけしか作れていないのか……と思ったので、もっともっと作りたいですね。僕はプロデューサーをやっていて、プラチナの全ラインを見ていますけど、その僕が「まだ少ないな」と思うくらいですから。

――神谷さんも同じことをおっしゃっていました。


稲葉 神谷は、自業自得(笑)。自分で自分の前に茨を投げつけて、そこで転げ回るのが大好きだから、神谷は(笑)。プラチナは、まだまだ(作品を)作らないとダメだと思います。そうしないと、すぐに名前を忘れられてしまいますから。焦りはずっとあります。いつ割れるかわからない氷の上を、強制的にスキップさせられているような気持ちなので。

――プラチナゲームズさんほどの知名度があっても、焦りの気持ちはあると。


稲葉 めっちゃ怖いですよ。本当に。つぎ一歩踏み出したら氷が割れて、水に落ちるんじゃないかとずっと思っている。

――だからこそ、ゲーム作りに妥協せずに続けていけるのですね。


稲葉 そうですね。「つぎ、何が出てくるのかな?」、「あいつら、つぎに何をやらかすんだろう?」と思っていただけるプラチナでありたいです。驚きがないと、僕も楽しくないですし。惰性で作るようになったら、すぐに水に落ちると思っているので、つねに緊張しています。

――では、緊張とともに11年目に突入して、今後はどのようなことに挑戦したいと考えていますか?


稲葉 僕自身の抱負は、“抜擢”ですかね。社内のスタッフの。橋本をディレクターやプロデューサーにしたり、『メタルギア ライジング リベンジェンス』で齋藤健治をディレクターにしたり。社内で「えっ、あいつにそういうことをやらせるの?」という驚きがあって初めて、外に驚きを作れると思うので。スタッフに、“一度ディレクターをやったら、つぎもディレクターだ”なんて安心もしてほしくないですし。スタッフの芽を伸ばして、自分が持っているものをどんどん渡していくことが、つぎの10年のために大事なことだと思っています。そうやって育てて育てて、「でも(自分には)追いつけないけどね」って言うくらい、先を進んでいたいです。

――20周年のパーティーのときに、冒頭で壇上に並んでいたメンバーの数が増えるくらい育てたいと。


稲葉 そうですね。きっとつぎの10年もあっという間だと思うので。まさか自分が、40代の中盤になる日がくるなんて思っていなかったですからね。クローバースタジオの社長になったのが32か33のときで、プラチナを立ち上げたのが35。それでいま45という。心と身体が分離している感じがします(笑)。あ、10年後、またインタビューしてくださいよ! 約束があると、お互いがんばれるじゃないですか。そういう約束を、たくさんの人としたいですね。