キリスト教へ抑圧強化=弁護士に「ざんげ」迫る―十字架撤去に抗議・中国 | ニコニコニュース

 【北京時事】中国共産党・政府は沿岸部の浙江省で、キリスト教教会の屋根に取り付けられた十字架を強制撤去したり、撤去に抗議する信徒を相次ぎ拘束したりするなど抑圧を強めている。同省温州市の政府系サイト・温州網は25日、十字架撤去に抗議する教会や信徒を支援し、昨年8月に拘束された人権派弁護士・張凱氏が温州で信徒の抗議集会を画策・組織したと報道。張氏が当局に迫られ、「社会秩序を混乱させ、国家の安全に危害を与えた」として「ざんげ」したとする映像も放映された。

 キリスト教徒は公認・地下教会を合わせ、中国全国で「1億人近くで、共産党員(約8700万人)を上回っている」(キリスト教徒の人権派弁護士)と推定される。1990年代以降、経済成長に伴って貧富の格差が拡大し、精神的な支えとして信徒数は増え続けた。

 特に信徒が多い浙江省では、横暴で腐敗にまみれる共産党の幹部への求心力は低下し、キリスト教信仰が拡大した。警戒を強めた浙江省の党指導部は2014年初め以降、抑圧政策を強め、「違法建築」の名目で十字架の撤去に着手。地下教会だけでなく、公認教会も対象に、これまでに十字架が撤去された教会は1300以上に達し、信徒と政府の対立は激化した。

 こうした中、昨年8月25日に連行されたキリスト教徒の張弁護士は、十字架撤去に抗議する温州の100以上の教会の委託を受けて法律顧問に就き、約30人からなる弁護団を結成。温州網によると、張氏は「15年7月以降に温州の街頭などで行われた10件以上の違法集会活動を裏で画策した」ほか、「海外組織から資金援助を受け、海外の指令を直接執行した」とされる。