運動会の花形の一つ、組み体操を規制する動きが広がっている。昨秋「ピラミッド」と「タワー」の高さを制限した大阪市教委は、事故が減らないことから両演技を禁止。千葉県の野田市や流山市は全面禁止を打ち出した。一方で、子供同士の連帯を強め、困難を乗り越える力を育むなど教育効果を認める意見も根強く、3月中の安全指針策定を目指す文部科学省は難しい調整を迫られている。

 スポーツ庁の調査では、小中高の組み体操事故は年8000件超で推移し、2014年度は8596件発生。約7割の6289件が小学校で、種目別では4番目、うち約23%が骨折事案だった。

 最多の跳び箱(約1万4700件)や2位のバスケットボールと比べると半分以下で、骨折割合も10ポイント以上低いが、危険な部位を負傷しやすい傾向がある。頭部のけがは跳び箱・バスケの約3倍の件数で、首や腰など体幹部の割合も約22%と、跳び箱(13%)などより高かった。

 全学年が通年行う跳び箱などと違い、組み体操は高学年で運動会前の短期間に限られることから、同庁担当者は「数字以上に深刻だ。『けがや危険はつきもの』では済まない」と話す。