うつに苦しむパートナーを支えるために | ニコニコニュース

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パートナー(あるいは両方)がうつを患っていると、恋愛を続けるのは大きな挑戦です。うつのせいで、パートナーが遠く離れているように感じられます。負担になったり、孤立したりしているように感じるかもしれません。それはあなた方の関係性が問題というわけではありません。2人一緒に、この問題に取り組むことはできるのです。その方法をお伝えしましょう。

以前にも書いたように、私は長年うつに苦しんでいました。それが原因で恋愛をやめることはありませんでしたが、それぞれに異なる影響がありました。うつの兆候の現れ方は人それぞれですし、関係によっても変わることを心に留めておくことが重要です。私からヒントや提案をお伝えすることはできますが、限界や妥協策、取り組めることを決めるのはあなたとパートナーだけであることを忘れないでください。

とにかく、うつだからと言って絶望的ではないので安心してください。パートナーがうつになると、関係性にストレスが生じます。これは、家族の死やお金のトラブル、ドラマをめぐる意見の対立などと同じです。うつはカップルが遭遇する最初の問題ではありませんし、最後でもないでしょう。ただ、ほかの問題と同じように、一緒にセラピーを求め、問題に折り合いをつけることはできます。以下に、そのための方法を紹介します。

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パートナーのうつを自分のせいだと思わない

うつの重要な症状の1つが、歪んだ現実感です。あらゆることが実際より悪く感じられ、朝ベッドから出ることすら苦痛に感じられる日もあるでしょう。うつになった人が恋愛している場合、デートをすること、セックスすること、あるいは普段の会話をすることにさえ無気力になってしまいます。これらの、恋愛関係に不可欠な要素にパートナーが興味を失っている状態はつらいものです。同時に、これらのことに興味がない理由は、あなたとはまったく無関係である可能性が高いのです。

問題なのは、ほとんどのうつ症状が、うまくいっている健全な人間関係を直接的に否定するということです。もし関係が良いなら、2人とも自信を持ってください。新しいことにトライしてみたり、ほかの人たちと活発に会ってみたりしてはどうですか? 定期的にセックスをしましょう! パートナーが仕事から帰り、ほとんど何もしゃべらず4時間もNetflixを見続け、その後10時間寝てしまうような状態を、うまくいっている関係と呼ぶような人間関係ガイドは、ほとんどありません。ほかのカップルなら警告のサインだと思うことが、あなたの日常になってしまっているのです。

これらは警告のサインかもしれませんが、必ずしもあなたのせいではありません。もしあなたのパートナーが足を折っていたら、あまりデートやセックスはできないかもしれませんが、その理由は明らかです。でも、うつの場合、問題は目に見えません。決め手となることが何もないため、あなたが原因だと思いこみやすくなります。ライフスタイルブログの「Literally,Daling」によると、うつを患っているパートナーが、他人の前ではいつもと違うように振る舞っているのを見てしまうと、なおさら自分のせいだと思いこんでしまうことがありますが、実はそれは悪いことではないそうです。

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自分ごとだと思わないのは難しいことです。自分のせいで愛する人をうつにさせてしまったのではないかと思い、それを否定するのはなおさら難しいでしょう。うつになると、自分自身でいることに対して完全な無力感をおぼえます。さらに、愛する人、すなわち本当の「自分」を知っている人の側にいるときは、その10倍も自分自身でいることが難しくなります。知らない人といるときは、むしろ気楽でいられます。それは演じるからです。少しの間だけ、うつでないように振る舞います。それを見ると、パートナーは本当に傷つき、うつを引き起こしているのは、本当に自分なのではないかと思うかもしれません。しかし、それは違います。もし、あなたの愛する人が。あなたの側にいるときにうつの症状がでているなら、奇妙なことですが、それは良いサインです。あなたとその状態を分かち合えるほど、あなたを愛し信頼していることを意味します。時にはそれを隠そうとし、あなたを避けるかもしれません。それでも、あなたにできる唯一のことは、ただそこにいることだけなのです。

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健全な関係であっても、誰かの精神的な健康をあなただけのせいにしないでください。うつはパートナーの性衝動を抑え、あなたのおしゃべりを退屈に思わせ、うつでなければ楽しんでいたかもしれないことから楽しみを奪います。これらは確かに対処する必要のある問題です。でも同時に、うつであることと恋愛で不幸になることはまったく別の問題であると理解することが大切です。パートナーが、不幸の原因があなたではないと言う限り、その言葉を信じ、一緒にほかの問題に取り組みましょう。

共にうつに取り組む計画を立てる

パートナーのうつ症状を自分と結びつけて考えるのは避けるべきですが、症状を無視するべきではありません。うつが、恋愛への興味を下げるという事実は、無視されたと感じるのと同じようにつらいものです。もし、パートナーが病気にかかったり、怪我をしていたりするなら、あなたがそのために腹を立てることはないでしょうし、パートナーが治療を受けられるよう手助けするでしょう。うつでも同じことをすればいいのです。

協力的で愛のある関係は、うつに悩む人にとって大きなメリットになります。ただし、2人が前向きにうつに対処しようとしているならばの話です。これには、パートナーを理解することや、根底にある問題に対処するための、現実的な対策を講じることを含みます。「The Anxiety and Depression Association of America」は、そのためのさまざまな方法(うつについて教育を受けたり、目標に向かってやり抜くよう励ましたり、経過を見たり)を提案していますが、ベストな手助けの1つは、一緒にセラピーに行くことです。

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カップルや家族単位のセラピーを勧める精神療法の専門家が増えています。あるアプローチでは、パートナーがセラピストの助手になります。トレーニングをすることで、セラピストから出された課題に取り組む患者を、パートナーが手助けできるようになります。これには、不安が生じる状況に向かう患者に同行することや、不安軽減テクニックを使って、その状況にとどまることを勧めることを含みます。

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あなたが一緒に治療に行かないとしても、一緒にセラピストを見つけ、パートナーの治療を助けるだけでも雲泥の差があります。あなたが何に向けて動いているかがわかるように、あなた自身の行動計画と目標を立てましょう。治療の決定的な「最終地点」はないかもしれませんが、2人で対処できる持続可能な解決に向けて取り組むことが理想です。

また、この段階ではパートナーに治療を強要しないことが重要です。手助けしたり支えたりはできますが、パートナーに何かを強制することはできません。もし手助けを断られたら、助ける立場に居続けるか、関係を保ち続けるかを考え直しても構いません。でも、助けを得る方法やタイミングは、パートナーが自分で決める必要があるのです。

悪い日が続いても余裕を持つ

うつの治療は、はっきり言って面倒です。「猫にフィンガーペイントを教えること」のように面倒です。普段であれば、あなたは計画や日記、目標に没頭できるでしょう。でも、うつを患っていると、起きてすぐに絶望を感じ、絶望を感じる自分を責め、絶望だという証明としてあらゆる忙しい仕事をしたあとにも、まだ絶望を感じている事実を引き合いに出し、身を縮め、眠りに落ちるまでそこにとどまるでしょう。そのようなことが、実際に起こるのです。

もちろん、あなたの恋人がうつである場合、このような内面的な対話は見えません。あなたが見ることができるのは、ソファに座っているか、一日中ベッドで過ごしているか、あなたのメールに答えない誰かです。その時点では、相手を「もとに戻す」誘惑にかられたり、「再発している」ことにイライラしたりするかもしれません。一般的にはそれでいいのですが、悪い日々が続くことを理解しておくことも大切です。悪い日が1日だけなら、世界の終わりではありません。

実際、作家であり精神療法家であるDr.Rita DeMaria の説明によると、あなたの愛やサポートは助けにはなりますが、治癒にはならないそうです。

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配偶者はあなたの愛や助け、関心を必要としています。しかし、それらは、血糖をコントロールしたり、関節炎を楽にしたり、動脈血栓を取り除いたりするように、うつを解消することはできません。病気を治すために愛だけをあてにはせず、治らなかったからといって愛することをやめないのと同じで、あなたの感情や関心が、配偶者の脳内の化学物質の乱れを変えることは期待できません。愛は、苦難のときであってもパートナーの本質的な価値は変わらないことを思い出させるために使いましょう。

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うつ患者として、また大切な人を支える役割を演じる人間として、個人的な経験から言わせてもらうと、これは難しくもあり、重大なことです。うつの本質は、ごく普通の感情の働きがなくなることです。うれしいことをうれしいと思えず、楽しいことを楽しめないのです。それが問題です。でも、気分が悪い(あるいは何も感じない)ときに、一方の期待を強制しないで、側にいて受け入れくれる人がいることは、回復と再発を繰り返す日々に違いをもたらしてくれるでしょう。

お互い対処できる範囲を見極める

困難な時期にある恋人のサポートには、常にストレスが伴います。そこからうまく逃れる方法はありません。価値がないこととは言いませんが、あなた自身の健康が危険にさらされるかもしれません。あなたが役目を果たすことに苦しんでいるような状況では、パートナーを助けることはできません。愛する人を助けるために「必要なことは何でもする」と考えるのはロマンチックではありますが、その考えがあなたの精神の健康をむしばむかもしれません。パートナーを手助けするときは必ず、提供できることとできないことの間に、はっきりとした境界線を引きましょう。

それは、2人が別れてしまう前に、どこまで耐えられるかを考えることではありません。もっと建設的に、あなたが幸せかつ健康でいられて、あなた自身とパートナー両方をサポートし続けるために、必要なことを見極めるべきです。これは、趣味のための時間を作ったり、1人でいる時間を作ったり、ほかの人たちとつき合うことも含まれるでしょう。メンタルヘルスのNPO「Help Guide 」が提案しているように、これにはパートナーのセラピストになるのを断ることも含まれます。

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境界を引きましょう。助けたいと思うのは当然ですが、それぐらいにしておきましょう。もし愛する人のうつに人生を支配されてしまったら、あなた自身の健康が損なわれます。心理的な代償を払うことなく、24時間体制の世話人になることはできないのです。燃え尽きたり恨んだりしないためにも、あなたがやりたいこととできることの間に明確な区別をしてください。あなたは愛する人のセラピストではないので、その責任を持たないでください。

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あなたは、パートナーが薬を飲んだり日記をつけたりするのを思い出させることはできますが、それはあなたの責任にはなりません。あなたは、パートナーが治療に行くよう励ますことはできますが、ある地点でパートナーが自分自身で行けるようになる必要があります。あなたが無神経や冷酷だからそうするのではなく、むしろ、パートナーの完全な回復にすべてを投じて、燃え尽きないよう、2人ともが不幸にならないために必要なのです。あなたは愛するパートナーでいることはできますが、お互いを同等に(少なくとも同等に近いくらい)サポートしなければ、悲しいことを引き起こしかねません。

同様に、あなたが不幸であるときはパートナーに知らせましょう。パートナーがうつになっていると、自分の気持ちを伝えるのは怖いかもしれません。感情がすでに不安定なパートナーに「あなたが私を落ち込ませている」と言ったり、怒ったり悲しんだりしていることを告げたりしたら、うつが悪化するかもしれないと恐れ、自分自身の問題を抑えようとするかもしれません。些細なことであればそれでいいかもしれませんが、ずっと不幸な気持ちでいるなら、そのことははっきり言わなければなりません。

Eric Ravenscraft(原文/訳:堀込泰三)

Photos by Hyperbole and a Half and Antoine K.