子どもが理系に興味をもてるよう、親ができること | ニコニコニュース

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みなさんのお子さんは、学校で算数や理科の授業を楽しんでいますか? 親としては、良い授業を受けて、好きになり、楽しんでほしいですよね。でも、子どもが一生、理系科目に興味を持つようにするには、授業だけでは足りません。今回は、その方法をご紹介します。

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理系科目は好き嫌いがはっきりと分かれる!?

最近、女の子たちに理系科目についてどう思うか聞きました。「みなさんは算数や理科を楽しんでいますか?」「得意ですか?」と聞いたら「いいえ」という声がほとんど。でも、その後にプログラミングの知識を身につけられるMove the Turtle game を、みんな、楽しんでいました。「技術を学びましょう」と言われたり、テストを受けたりする必要がなければ、理系科目は楽しめるのです。

今、著者の9歳の娘は、数学の点数がとても良いのに「私は数学が苦手」と言います。それに、ロボットよりもユニコーンに夢中です(9歳にとってユニコーンは魔法のようなすごい存在なので、それ自体は気にしていませんが...)。 理系科目については「大好き」か「大嫌い」のどちらかにさせてしまう何かがあり「どちらでもない」という子どもは少ないようです。でも「好きか嫌いか」の二択にする必要はなく、違う方法で学ばせると、楽しめる可能性があります。

理系科目を好きになったほうが良い理由は、良い仕事につける可能性が高いから、とか、理系好きな子どもは国の将来のためになるから、というだけではありません。理系科目では、実験と客観的な評価の方法を学べます。これは、どんな分野に進む場合も大事なスキルです。

親は、子どもの宿題の手伝いやテストのための数学を教えるだけでなく、毎日の生活の中で理系科目を身近にして「面白い!」と感じさせることができます。残念ながら、理系科目のことはすべて学校に任せるわけにはいきません。教師の教え方を批判しているわけではありません。理系科目は、教室の外のもっと身近なところで、楽しみながらやってみることが大事なのです。

ということで、私たちが親としてできることを3つ、これからご紹介します。

毎日の生活で、理系科目を身近にする

算数などの理系科目が嫌いな子どもは、大人が「税金」という言葉を聞くときと同じように「算数」や「理科」を嫌な言葉だと認識します。子どもたちは、教室を出た、日々の生活にも算数や理科が存在していることを知らないのです。親である私たちが、その扉を開けてあげましょう。

料理

料理にまつわる科学は、最後に食べることができる最高の科学実験です。子どもは、料理を通じて化学を知り、数学の技術を試すことができます。植物解剖学などの科学分野まで台所で学べるのです。ウェブサイト「Mental Floss」では、料理を通じた科学実験を10個、紹介しています。地球の内部を模したケーキを作ったり、たんぽぽを集めてスープを作ったり、マシュマロを溶かしたり、なんだかとても楽しそうな内容です。著者は、この中のキャンディーの化学キット
を近々、娘と一緒にやってみるつもりです。

とはいえ、水が沸騰したらどうなるか、なぜトーストが焦げるか、かみごたえのあるクッキーを作るためにバターを溶かしたほうがよいのはなぜか、など、日々の料理で起きることを説明する中でも、算数や理科に触れさせることはできます。

音楽のレッスンや詩の朗読

詩は韻をふんでおり、まるで音楽のように聞こえます。そして、音楽は数学と密接なつながりがあります(詳しい説明はこちら)。親として、この事実を子どもに伝えるのもよいですし、伝えずに練習や朗読に励ませて、知らぬ間に理系の科目に触れさせるのも、よいと思います。詳しくは下記の動画をご覧ください。

買い物と貯金

お金に関わることをやっているときは、早い計算法や手を使った予測法や、比較法を教えるチャンスです。お金にまつわる算数はシンプルですが、とても大事です。銀行ごっこをして、お金のことを教えてあげましょう。

子どもが夢中になっていること

どんなことでも、子どもが夢中になっていることには、理系科目との関わりがあります。Googleはコードでできていますし、LEDを使ってドレスをデザインできるプロジェクトもあります。車好きの子には、車を通じて物理を教えてみましょう。スポーツをする子には、数学や物理とスポーツの関わりを教えましょう。

実践的で面白い内容にしましょう

日常生活に理系科目を取り入れるのに加え、もっとも大切なのは、子どもたちに楽しんでもらうことです。スライムの化学に魅力を感じる子もいれば、テレビゲーム作りにハマる子もいるでしょう。何をするにも、授業ではなく、遊びにして、楽しい体験にしてあげましょう。いくつか、方法を提案します。

博物館か動物園に遊びに行きましょう。科学博物館である必要はありません。子ども博物館でも理系の展示はありますし、歴史や芸術分野の博物館でも、科学の歴史、物ができるまでの過程などを学ぶ機会があります。

理系分野のおもちゃやゲームで子どもと一緒に遊ぶのも良い方法です。Minecraftは、ハマってしまう人が多いゲームですし、レゴはハマりすぎて破産する可能性さえあります(笑)。もし、子どもたちがこれらのおもちゃが好きなら、エンジニアになる素質がありますよ。レゴはロボットやコーディングのキット(たとえばこんなパソコン連動型)を発売しています。ほかにも、Amazonで理系のおもちゃをたくさんリストアップできます。子どもにコードを教えられるアプリもたくさんあります。もちろん、昔ながらのランプづくりやベーキングソーダとお酢を混ぜたら何が起こるか見る実験も楽しいですよ。毎月送られる通信教材を使うのも面白そうです。

科学技術に関する番組を見ましょう。こちらには年齢別のおススメのテレビ番組(英語)が紹介されています。参考にどうぞ。

子どもにITやDIY作業の手伝いをしてもらいましょう。著者は、家族の中でただ1人、取扱説明書が読めたので、IT担当になりました。子どもに説明書を読んでもらい、一緒に設定をしましょう。次は、問題があったときに解決する手伝いをお願いしましょう。DIYまわりも同様に、少しずつ手伝ってもらうようにしましょう。

著者の娘の学校の先生は、バラエティに富んだ内容を毎回の授業で教えます。これは、たくさんの子どもに興味を持たせるには有効だと思います。たとえば「動物と生活環境を合わせよう」というカードゲームをやる日もあれば「この動物が食べそうなものを描こう」という日もあります。でも、自分の子どもと遊ぶときは、相手は20人以上ではないので、子どもが興味を持つこと~お絵かき、読書、音楽、ゲームでも何でもいいです~を深く掘り下げて、学ばせましょう。

正直に言って、一番良い方法は、親であるみなさんが、興味を持ち、楽しむことです。楽しそうに学んでいるみなさんを見ること、一緒にやること...それが子どもにとって、一番の励みになります!

テストの結果や成績は気にせず、過程を大切に

理系科目は難しいです。ほかの科目より厳しく採点されます。テストの点数が重視される昨今は、その科目への興味を持たせ続けるような、身近な体験を教わる機会が十分ではないのが現状です。かわりに、子どもたちは算数や理科への心配を募らせ、「自分は頭が悪い」と思い込み、勉強をやめてしまうのです。

より多くの女の子を科学技術分野に関わらせるには、理系科目は挑戦に値する科目で、難しいときも挑戦し続けたほうがよいことを感じさせることが大事です。スタンフォード大学の心理学教授のCarol Dweckさんの研究によると、親や先生が、その逆のことをしているかもしれないそうです。

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先生や親はもともとの能力、才能、地頭の良さをほめすぎます。それよりも、プロセス(過程)をほめましょう。具体的には答えを出すまで頑張ったこと、さまざまな方法を試したこと、集中して取り組んだこと、忍耐力、失敗から学ぶ力、上達などをほめるのです。

私たちは1歳~3歳の乳幼児を持つ母親の、子どもとの関わり方をビデオ撮影しました。母親がプロセスをほめればほめるほど、子どものやる気がアップし、5年後に挑戦好きの子どもになりました。たった2年後でも、本当にたくさんのことができるようになったのです。

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あからさまなほめ言葉である必要はありません。理系科目に関する何かをやっているときに、子どもに「わあ、どうやってやったの?」と聞き、そのプロセスに興味を示すだけでも効果的です。

目標は、強制的に理系科目を勉強させるのではなく、理系科目を好きになってもらうことです。たとえば、Temple Runのゲームをする前に、数学のパズルをやりなさい、と強制してしまうのは、ほうれん草だけ食べさせて「デザートはなし!」と言っているようなものです。

家庭で、楽しく理系科目を取り入れていくことを目指し「実験や計算を解くのが楽しい!」と子どもが思うようになれば、理系科目の失敗への恐怖が薄れるはず。そうなれば、親としての「理系育成プロジェクト」は成功している、と言えるでしょう。

Melanie Pinola (原文/訳:曽我美穂)