ニセモノが半数?医薬品の海外通販は要注意! | ニコニコニュース

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WHO(世界保健機構)は2012年に、偽造薬が世界全体で年間4,310億ドル分売買されたと発表しています。とくに多いのがED治療薬で、ネット通販の55.4%はニセモノともいわれています。

通常ED治療薬は医師の処方が必要な薬なのですが、ネットを通じて海外から簡単に個人輸入できてしまうという現実があります。

偽造薬の中からは、ペンキ、砕いたレンガ、インクのほか、殺鼠剤が入っているものまで見つかっています。

ということで今回は、偽造薬の種類と危険性について紹介していきたいと思います。

●ダイエット・健康食品・妊娠中絶薬にも要注意

2016年2月、厚生労働省から、「ホスピタルダイエット」などと称される製品について、複数の都道府県から、排尿困難、意識もうろう、手足の震えなどの健康被害(疑い)が出ていることが報告されました。

これらは、インターネットのホームページ等から、身長、体重等を知らせることで個人輸入ができたようです。じつは、これらの製品には向精神薬が含まれていることがあります。つまり、個人輸入であっても麻薬及び向精神薬取締法で禁じられているシロモノになります。絶対に買ってはいけません。

過去には、中国製ダイエット用健康食品(未承認医薬品)として販売されていた御芝堂減肥胶嚢(おんしどうげんぴこうのう)、天天素 清脂胶嚢(てんてんそ せいしこうのう)で、この食品が原因と思われる死亡例も発生しています。

ほかにも、強壮用食品である蟻力神、威哥王、男根増長素や、内服妊娠中絶薬のRU486の偽造薬による健康被害も報告されています。なお、妊娠中絶薬など自己判断で使用すると重大な健康被害を生じる恐れがある医薬品については、医師による処方が確認できない限り、一般の個人による輸入は認められていません。

偽造薬は本物と区別がつかないほど色や形が似ているため、見た目での判別は困難な場合が多いのが実情です。

さらに、インターネット上では、「本物です」という文言はもちろん、「海外で製造されたジェネリック医薬品(後発医薬品)である」といった、説得力ある虚偽の記載をしていることもあります。

●健康被害以外にも偽造薬にはキケンがいっぱい!

日本国内で正規に流通する医薬品には、医薬品副作用被害救済制度といって、それを適正に使用したにもかかわらず重大な健康被害を生じた場合に、被害者の救済を図る公的な仕組みがあります。しかし、個人輸入された医薬品は救済対象となりません。

個人輸入代行と称する仲介業者のトラブルも増えています。日本の薬事法に基づく承認や認証を受けていない医薬品や医療機器の広告、発送などを行っている場合、それは違法行為にあたるうえ、トラブルが生じた場合、代行者ではなく購入者が責任を負わなければならないことがあるので要注意です。

また、スキミング被害の報告もあるほか、おかしなメールやダイレクトメールが届くようになったなど、個人情報が流出していると思われる事例も。

偽造薬販売は摘発を受けるリスクが低く、摘発されても罪はさほど重くない国が多いことから、偽造薬業者は増加の一途をたどっています。WHOは実態把握の追跡が困難であるとし、2012年以降は報告発表をやめてしまったほどです。

ここであげた薬品や食品名はほんの一部にすぎません。健康被害に遭わないためにも、海外から医薬品を購入する際は、医師や薬剤師などの専門家に相談しましょう。

文・鈴木ゆかり

※参考・引用

厚生労働省http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/07/h0719-3.htmlhttp://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/jirei/030902-1.html