NHKで民放アニメを再放送する狙いとは? 『ラブライブ!』『進撃の巨人』など… | ニコニコニュース

NHK・Eテレで放送中の『ラブライブ!』(左)とBSプレミアムで放送中の『進撃の巨人』(右)(C)2013 プロジェクトラブライブ!(C)諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会
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 1月よりNHK・Eテレで『ラブライブ!』、BSプレミアム(BSP)で『進撃の巨人』が放送されている。どちらも民放で放送され、社会現象になった作品。BSPでは4月から『美少女戦士セーラームーンR』、『けいおん!』の放送も控えている。ネット上では「オタクから受信料欲しいのか?」「NHKはどこへ向かっているんだ?」といったさまざまな反応が見られた。なぜ、NHKで民放アニメを再放送するのか?

3月のBSプレミアムでは新海誠監督の作品を3本放送

 同局の回答は「いままであまりNHKに接触していない方に、アニメをきかっけにチャンネルを合わせていただき、アニメ自体を楽しんでいただきたいのはもちろん、『NHKではこんな番組もやっているのか』といった気づきにつながればいいなと思っています」。

 Eテレ担当の榎本幸一郎氏(編成局編成センター副部長)は「アニメに限らず世の中が欲している優秀なコンテンツを全国に提供していくのも公共放送の役割の一つだと思っています。自局で制作して、発信していくのが第一ですが、BBCのドキュメンタリーだったり、韓国ドラマだったり、海外のコンテンツも含め、あらゆるもの取り寄せて国内に紹介する、アニメもそういったものの一つです」と、答えとしては面白くないが、一理ある。

 一方で、SNSの普及によって興味関心が顕在化し、冒頭のような書き込みなどでさらに注目されるようになり、「いまやアニメは、アニメが好きな人たちだけの関心事ではなくなっていますよね。あらゆるコンテンツの中の一ジャンルではあるけれど、アニメの存在感、重要性は高まっている気がします」とも話していた。

 どちらかといえば、NHKは昔からアニメーションへの意欲が強く、『みんなのうた』や『プチプチ・アニメ』『おしりかじり虫』といったミニ番組から、『未来少年コナン』『ふしぎの海のナディア』『メジャー』『ログ・ホライズン』『山賊の娘ローニャ』などのテレビアニメシリーズも数多く制作。『トムとジェリー』『ひつじのショーン』などの海外アニメも紹介してきた。

 民放のアニメを購入してNHKで放送する例もいまにはじまったことではなく、「BS2」があった頃(1989年~2011年。テレビ放送の完全デジタル化に伴い、BShiと統合されBSプレミアムとなった)はより盛んだった。『蟲師』や『カウボーイビバップ』『巌窟王』なども放送されたことがあり、「1波減って、物理的にアニメを放送する機会は減ってしまっていた」と編成局・展開戦略推進部の柏木敦子チーフプロデューサーは話す。

 NHKで放送するアニメの選定基準について聞くと、「一番は、NHKでやる意味が見いだせるかどうかのテーマ性ですね。不適切な表現があった場合や編成上の都合で、NHK用に編集することもありますし、それを承諾してもらえるか、という問題も出てきます。男女双方をターゲットに、いろんな傾向の作品を放送してみて、視聴者のことを知りたいと考えています」(柏木氏)。

 昨年4月からBSPで放送中の『美少女戦士セーラームーン』(初放送は1992年~93年)は、「リアルタイムで観ていた世代が親になり、子どもといっしょに見てくれるのではないか」という期待どおりの反響があり、この4月から続編の『セーラームーンR』(同93~94年)の放送につながった。2013年にTOKYO MXやMBSで放送された『進撃の巨人』は残酷描写に配慮してBSPの土曜深夜に放送されているが、「20代男性が明らかに狙って観に来ている」のが顕著に現れているという。

 柏木氏は「深夜アニメは話題になった頃には後半、もしくは終わっているということがよくありますし、そもそも放送されていない地域だってあります。NHKなら全国放送ですし、良質な作品を埋もれさせず、多くの方に観ていただく機会を提供していきたい」と、NHKで放送する意義を語っていた。

 今月はBSPで、劇場版アニメーションの新作『君の名は。』(8月公開予定)を手がける新海誠監督の作品を特集。山崎まさよしの「One more time,One more chance」が印象的な07年発表の『秒速5センチメートル』(8日 後11:45~深0:48)、監督から脚本、美術までほぼ一人で作った02年のフルデジタル作品『ほしのこえ』(18日 後11:15~11:40)、13年発表の『言の葉の庭』(25日 後11:45~深0:31)を放送。