【ピクサー展】『トイ・ストーリー』以前から最新映画まで! マニアが解説 “絶対見ておくべきポイント” 5つ | ニコニコニュース

ロバート・コンドウ(レイアウト:ジェイソン・カッツ、ジョン・サンフォード) ≪ビートボード:さよなら、アンディ≫ ©Disney/Pixar
ウレぴあ総研

東京都現代美術館で2016年3月5日より開催されている「スタジオ設立30周年記念 ピクサー展」。

【写真28枚】ピクサー作品の貴重な資料が500点! ピクサー展 フォトギャラリー

『トイ・ストーリー』が生まれる前の短編から最新作『アーロと少年』まで、ピクサーの30年にわたる歴史が詰まった美術展です。

今回は、ピクサー展をより楽しむための見どころをご紹介します。

初期短編から最新長編まで…ピクサーの歴史がたっぷり

ピクサー展に入って最初に目にするのは、ピクサーとしてはじめて公開された短編『ルクソーJr』。

作品は知らなくても、この電気スタンドは誰もが見たことあるキャラクターでしょう。

ピクサー展では、ピクサーが生まれた初期の作品から、2016年3月12日全国公開の最新作『アーロと少年』まで、ピクサーの歴史がたっぷりと展示されています。

世界初のフルCG長編アニメーション『トイ・ストーリー』は、初期の構想段階から『トイ・ストーリー2』、『トイ・ストーリー3』に至るまでのスケッチ、キャラクターなどが大きな展示室に集っています。

さらに、ピクサーの同時上映としてお馴染み短編作品も。

こちらは実際の作品が上映されており、スケッチからどのように映像となったかを知ることができます。

ピクサーの短編はあまり観たことがない…という人にも嬉しい展示ですね。

そして、16作品に及ぶ長編作品たちはそれぞれ見応え十分。

じっくりと作品の世界が味わえます。

ピクサー作品を見る3つの視点

ストーリー、キャラクター、世界観 3つの視点からピクサー作品を見る

ピクサーといえば最新のCG技術で世界のアニメーション界をリードしている企業です。

しかし、ピクサーにとってCG技術はより良い映画を作るための手段に過ぎません。

ピクサー展では、彼らが映画作りにおいて最も大切にする3つの要素「ストーリー」、「キャラクター」、「世界観」にフォーカスを当てています。

ピクサー社内でしつこいほど掲げられている言葉「ストーリーは王様」。

何よりもよいストーリーを作ることが優先され、そのストーリーを伝えるための魅力的なキャラクター、世界観が形作られていきます。

ストーリーを伝え、スタッフ一丸となって議論する材料となるストーリーボード。

より魅力的でストーリーを伝えるキャラクターを作るためのスケッチやマケット。

観客を物語に引き込み、感情を伝える世界観を作り出す背景画。

ピクサーが最も大切にする3要素を見ていけば、ピクサーがどのように傑作を生みだしていくかがわかるでしょう。

可愛いキャラクターマケット

愛らしいキャラクターが目の前に! マケット展示

ピクサーが生み出してきた愛すべきキャラクターたち。

彼らは2Dスケッチから誕生し、最新のCGモデリングによってその体が与えられていきます。

マケットモデルは、キャラクターを彫刻のように実際の立体物としたもの。

おなじみのキャラクターの姿を360度ぐるっと見ることができます。

お気に入りのキャラクターをよく観察してみれば、映像やイラストでは気付かないような細かな作り込みも発見できるでしょう。

人間や動物、おもちゃ、ロボットとピクサーがキャラクター化するものは多岐にわたりますが、どれも徹底したリサーチと念密なプログラムによって形作られたもの。

ピクサーのこだわりが詰まったマケットです。

また、一部のマケットは最終版になる前の案段階のものが展示されています。

キャラクターの造形がどのように変わっていったのか、立体で見られるのは貴重な経験。

本や映像ではわからない、実際に足を運んでこそわかる、ピクサー展らしい展示です。

トトロから生まれた展示

トトロから生まれたゾートロープ

会場でも特に人気の展示がトイ・ストーリーのゾートロープ。

ウッディやバズなどトイ・ストーリーのキャラクターの模型が円状に並べられています。

これが回転し、ストロボが焚かれると、模型が動いているように見えるというもの。

人間の目に残る残像を利用し、直前のストロボと次のストロボが連続しているように錯覚させ、模型が動いているように見せています。

何枚もの写真が連なっているだけの映画が動いて見える原理がわかる展示です。

実はこのゾートロープ、『となりのトトロ』版が三鷹の森ジブリ美術館に展示されています。

宮崎駿監督のことが大好きで、来日するたびにジブリ美術館を訪れるというジョン・ラセター。

ラセターがトトロのゾートロープを気に入り、自分たちもこれを作ろうと『トイ・ストーリー』で再現したのです。

映画の基本原理を学べる展示ですが、ただただ眺めているだけでも時間を忘れていつまでもいてしまう展示です。

ピクサー展の目玉! アートスケープ

ピクサー展の目玉! アートスケープ

この展示会の目玉といえるのが、アートスケープ。

構想段階の作品を使って制作された、高解像度大型スクリーンのメディア・インタレーションです。

簡単に言うと、各作品のラフスケッチを集めて映像化したもの。

15分間の映像が繰り返し上映されています。

ピクサーが描く美しい世界観。

映画ではCGとしてスクリーンに上映されますが、スケッチで見るとまた違った印象があります。

スタジオ設立から30年、いつまでも愛されるピクサー作品の数々。

不朽の名作たちを新しい視点から見せてくれるのがピクサー展です。

ぜひこの美しい世界を体験しにきてください。

『スタジオ設立30周年記念 ピクサー展』
日程:2016年3月5日(土)~5月29日(日)
会場:東京都現代美術館