古典の知恵から学ぶ生き方:千利休が祈った北野天満宮と「守破離」の真意 | ニコニコニュース

古典の知恵から学ぶ生き方:千利休が祈った北野天満宮と「守破離」の真意
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新進の古典アーティスト、歌人として活躍する一方で、2016年ミス日本酒の愛媛代表として選出されたり、百人一首おみくじをプロデュースするなど、幅広い活躍を続ける大濵彩花さん。そんな大濱さんにが、日本の古典文学から読み解く、現代社会の生き方を解説します。

「守破離」という言葉を聞いたことがあるだろうか。武道や禅の教えとして知られるこの言葉は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り(守)、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させ(破)、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる(離)という、修行における段階を示したものとされている。

「守破離」の本質は、わび茶を完成した千利休(1522-1591)の教えを、和歌の形式にまとめた「利休百首」のひとつ「規矩作法 守りつくして 破るとも 離るるとても 本を忘るな」に記されているが、この和歌の意味を知る人は少ない。「守破離」がよく取りざたされる一方で、千利休がもっとも伝えたいことは、実は「本を忘るな」ではないだろうか。「本を忘るな」、それは「本質・真理を見失うな」ということ。この「本」には、基本・根本・模範・まこと・幹・よりどころ・起源、という意味がある。

身をもって学んだ、礼儀作法やしきたり、物事の仕方。神仏の加護に感謝し、道を極めることができたならば、掴んだ教えを守り続ける生き方も、打ち破る生き方も、遠ざかる生き方も、道しるべ、模範となるだろう。本質・真理を見失わなければ、どの生き方、どの道を選んでも、正しいものにできるのだ。

一番の教科書であり、支えとなる本質・真理は、自分自身の心。千利休は、「心と常に向き合い、正し、歩み、道を選ぶこと」を私たちに諭したかったのではないか。心さえ定まっていれば、心を忘れることがなければ、どの道も正解にできるのだ、心を師とすることがあるべき姿と、私たちに伝えたかったように感じられるのである。

利休百首は、「その道に 入らんと思ふ 心こそ 我が身ながらの 師匠なりけれ」の一句からはじまり、「守破離」で終わる。この2つの和歌が伝えたい想いは「心のまま、素直に、正直に生きなさい」であろう。出会いと別れの季節、今の恋愛をそのまま継続させるか。新たな出会いを探すか。心機一転、起業するか。本質・真理を問うことから、桜咲く春を迎えるのはいかがだろう。

千利休ゆかりの聖地:北野天満宮(京都)

神前にて、千利休が茶会(北野大茶湯)の成就祈願をしたと言い伝えられている。自身の心、本質、真理が周囲に伝わるよう祈願をするのにおすすめの聖地だ。50種類、1500本の梅が咲き誇る梅苑が見頃。とりわけ、紅白の花が1本の枝に咲く「おもいのまま」は必見である。菅原道真ゆかりの地でもある北野天満宮。「こちふかば 匂ひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春を忘るな」、東風に運ばれて届く梅の香りは、あなたの背中を押す女神の力だろう。

著者プロフィール

古典作家・古典アーティスト・歌人

大濵 彩花

愛媛県出身。松山大学 経営学部卒業後、トレンダーズ「女性起業塾」に起業・キャリアプランナーとして従事。経営陣選出全社表彰制度MVP・新人MVP受賞。その後、慶應大学院 政策・メディア研究科 社会イノベータコースへ進学。現在、古典を温故知新に魅せ未来へ繋ぐ古典エデュテイメント事業を展開。日本農業新聞、Yahoo!オトナレンアイ、恋活サプリ、Mottoなどで連載。百人一首おみくじを発案。2016 ミス日本酒 愛媛代表(お神酒を啓蒙)。

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