「天皇制反対」に「呪殺」「原発推進」。さまざまな団体が入り乱れた3.11の霞が関 | ニコニコニュース

日刊SPA!

 東日本大震災から5年を迎えた2016年3月11日、霞が関や国会周辺ではさまざまな主張の異なる団体がデモや集会を開いていた。記者の主な取材目標は「呪殺」を標榜する謎の団体だったが、偶然見かけた「さまざまなイデオロギーが入り乱れた3.11の午後の霞が関」の模様をリポートする。

 この日、記者は「呪殺祈祷僧団四十七士・JKS47」という日蓮宗の僧侶を中心とした団体が行う「「3.11鎮魂」祈祷会」を取材すべく、有楽町から会場である経済産業省前へ向かっていた。

 すると、まず、日比谷公園の辺りで「震災追悼式典粉砕」という垂れ幕を掲げ、「天皇制反対」と叫ぶ団体のデモに遭遇。のちにネットで調べたところ、有楽町の辺りで「行動する保守」系の人々が彼らにカウンターを行っていたようだが、記者が目撃した地点では粛々とデモ行進が行われていただけだった。

 震災が発生した14時46分には経産省前で「呪殺祈祷僧団」が黙とうののち、「「3.11鎮魂」祈祷会」を開始。昨年8月に同所で「呪殺祈祷会『死者が裁く』」と題した「祈祷会」を行った彼らだが、「呪殺」というどぎつい言葉が大きな反感をかった。

(※参考:“呪殺”を掲げる『JKS47』を直撃! 「乃木坂46とAKB48があるのに『47』がなかったから」http://nikkan-spa.jp/928473

 この日も「呪殺(しゅさつ)とは断じて『呪い殺す』の意ではない。虐殺された死者たちからの切羽詰った伝言であり、怨嗟を込めた最後の言葉にほかならない」と、メンバーの一人であり絶叫詩人としても知られる福島泰樹氏が「表白文」を読み上げていた。主には原発再稼働反対や反安保法制などを訴えている彼らだが、現状ではそもそもの団体名からしてこれが「追悼の会」であるということがなかなか理解されないのは致し方あるまい。HPも立ち上げ(http://jks47.jp/)、今後はこのような集会を月に1回を目標に開いていくとのことなので、どれほどその趣旨が周知されていくのか注目である。

 さて、この「祈祷会」が終盤に向かう頃、経産省の前にデモ隊のシュプレヒコールが聞こえてきた。何の団体かと振り向くと「無駄な除染はやめて、故郷に帰ろう」「福島の放射線はもう安全です」と主張する幸福実現党のデモ隊だった。

⇒【動画】撮り下ろし動画「呪殺祈祷僧団と幸福実現党のデモがニアミス」 http://youtu.be/pNKxRGkwuuU

 まったくの偶然ではあるが、「原発再稼働反対」を訴える呪殺祈祷僧団と、「原発推進」を訴える幸福実現党がニアミス。また、両者の宗教的バックボーンを考えると非常に興味深いシーンが展開されていたが、何の混乱もなく、デモ隊は過ぎ去っていった。

 また、18時からは首相官邸前では毎週金曜日恒例の首都圏反原発連合の抗議活動が、国会前でも同団体主催の国会正門前集会が行われていた。一方、記者は目撃できなかったが、ネットの情報によれば18時までは幸福実現党がやはり「原発再稼働」などを訴える集会を開いていたようだ。

取材・文/織田曜一郎(週刊SPA!)