勤勉な日本人に驚いた:東京で活躍するアメリカ人役員の一日 | ニコニコニュース

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今回は、東京で活躍するアメリカ企業の役員の一日を追いました。彼は一日をどんなふうに過ごしているのでしょうか? 以下、最新のデジタルマーケティング情報をいち早く伝えるDIGIDAY[日本版]のこちらの記事より転載します。

2014年5月、米マーケティングコミュニケーション企業、オグルヴィ・アンド・メイザー(Ogilvy & Mather)に勤める役員、デイビッド・リッテンハウス氏は、当初3カ月の滞在予定で日本支社に来日した。

ところが、実際はそれ以上の長い滞在となる。東京にあるオンラインメディアエージェンシー、ネオ・アット・オグルヴィ(Neo@Ogilvy)の代表取締役に任命されたのだ。

リッテンハウス氏にとって、東京での仕事は、2度目の海外プロジェクト。このために、家族全員を日本に呼び寄せなくてはならなかった。日本の文化に適応しつつ、週に2回ほど家庭教師を呼び、日本語を学んでいる。来日して2年、リッテンハウス氏は日本人の勤勉で真面目な態度を高く評価している。

「どんなに小さなことでも、日本の企業では大事に扱う」と、彼はいう。「私の同僚はささいなことも見逃さない。仕事、意見や関係性において、彼らは正確さで私を驚かせる」

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そんなリッテンハウス氏の1日を見てみよう。


代官山の自宅前のデイビッド・リッテンハウス氏

6:00am 起床後、その晩にニューヨークから届いたeメールを確認する。日本との時差は14時間だ。ニューヨーク支社の日中が私の夜であるため、確認すべきeメールは多くある。緊急性のあるものを対処したあと、私は自宅のある代官山を軽くジョギングする。走りながら、いつも東京は素晴らしい街だと痛感する。古くもあり、新しくもある。国際色も豊かだ。私が代官山を選んだ理由は、とても現代的かつ国際的に感じる反面、日本らしさが残っているからだ。

7:00am 娘をスクールバスの停留所まで送る。娘はインターナショナルスクールに通う6年生だ。送り届けた後、私も仕事に向かう。

8:00am オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパンの朝はとても静かだ。夜は一転してとても忙しいが、朝は穏やかな時間が流れる。現在、私は東京マラソンに関する、スポンサーシップ契約の提案を手がけている。どのようにスポンサー企業がこのイベントに関わっているのか、東京マラソンを見学して勉強するつもりだ。イベント関連グッズにスポンサー企業のロゴを付ける以上に、走者や、ファン、果ては街中でのエクスペリエンスを、いかにスポンサー企業が向上させるのか、とても興味をもっている。

9:00am 今日は金曜日だ。9時から日本IBMのブランドコミュニケーションを統括する山口有希子氏と、オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパンのファイナンスディレクター、大迫礼雄氏と朝倉慶氏との定例会議がある。今週は、IBMのワトソンの新たな能力について話し合う。

ワトソンはコンピュターでありながら、人と同じように情報から学び、経験から学習することができるコグニティブ(認知)システムだが、そのワトソンが日本語を話せるようになった! 今四半期の後半には、ワトソンと俳優の渡辺謙が出演するテレビCMが放映される。これを、正しいタイミングで、狙っているターゲット層へ届けるのが、私の仕事だ。

オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパンの多くのスタッフはバイリンガルであるため、私たちは英語と日本語を織り交ぜて話す。しかし、正式な会議の場などでは日本語しか使われない。このような状況では、通訳者が必要不可欠だ。私は通訳者がいなければ何もできない。

11:00am 日本で行う会議について、ネオ・アット・オグルヴィのアジア支社と連絡を交わす。このアジア支社は香港に拠点を構えていて、お互いの成果や新たなアイデアについて、年に数回ほど互いを行き来しながら意見交換をしている。


「ファミリーレストラン」風のブースでランチ

0:00pm 次に、私は同僚たちとランチを食べる。私のデスクの近くには「ファミリーレストラン」風のブースがいくつかあり、そこで同僚たちとランチを摂るのだ。ファミリーレストランの席に似ているため、そのように呼んでいる。今日はビルの1階にあるパン屋さんでサンドイッチを購入して食べた。

職場がある恵比寿の良いところは、ランチの選択肢が豊富にあることだ。日本の職場のランチは、お弁当屋さんやコンビニから購入するお弁当、丼物や麺類が普通だ。

最近の私のお気に入りは天丼だ。とても美味しい。ランチの席では、人気のあるアメリカのテレビ番組や、日本市場に参入してくる動画配信サイトや、日本で制作されるオリジナルコンテンツなどの話をしている。

1:00pm 今日の午後は、私たちと共同作業しているプログラマティックメディアの専門家とアドテク企業の担当者に会う予定だ。現在我々はビューアビリティとビュースルーの関係性をより深く理解するために、独自の研究を行っている。ビュースルーコンバージョン(view-through conversions)がビューアビリティインプレッション(viewable impressions)と密接な関係にあるのかを知りたいと思っている。これを解明することにより、ビュースルーコンバージョンの本当の価値がわかると考えている。

02:00pm 日本のネオ・アット・オグルヴィは、電通が所有するデジタル広告関連企業サイバー・コミュニケーションズ(CCI)との合弁事業であることは伝えていただろうか? 良きパートナーであるため、私はアメリカ市場の情報を積極的にCCIの仲間へ共有している。最近アドブロックに関する記事を読んだが、これも彼らと共有するつもりだ。

アメリカほどではないが、日本でもアドブロックは話題になっている。このため、アメリカのアドブロックに対する考え方や記事がとても興味深く感じるのだ。私は、情報を共有する前に、自分自身が完璧に理解できているかを必ず確認する。このような情報を共有する際、私はある意味アメリカ市場の代表者になってしまうため、意識的に確認するようにしているのだ。

05:00pm 金曜日の最後の仕事は、冷蔵庫からビールをピックアップすることだ。オグルヴィの経営陣は、従業員の満足度を向上させようとしている。このためにも、ビール用の冷蔵庫は欠かせない。それに、違う部署で働き、一緒の時間が取れない同僚たちと話し合う良い機会にもなる。

これまで働いてきたなかで、日本人の同僚がもっとも勤勉に働く。自然と、与えられた仕事の責務をしっかりと果たす。日本では「多芸多才」と言う考え方はあまりないようだ。私の経験から言うと、多芸多才であるよりも、ひとつやふたつのことに才能が長けていることの方が望ましいようだ。また、日本での「定時」は夜遅くまで働くことを指す。ほとんどの日が残業だ。素晴らしい仕事をするためには、時間と労力が必要なのだ。

06:30pm 徒歩で帰宅する。季節は冬で、夜も寒くなってきた。私は家族との夕食を楽しみに帰宅する。蕎麦やうどんなど、何か暖かいものが良さそうな夜だ。娘と映画を見るかもしれない。『となりのトトロ』や『魔女の宅急便』など、日本に来てからスタジオジブリの作品に対する興味が広がった。英語の字幕がついていることを願うばかりだ!

東京で活躍する、アメリカ人広告企業役員の一日:「日本人は正確さで私を驚かせる」|DIGIDAY[日本版]

Brian Morrissey(原文 / 訳:BIG ROMAN)
Image via 米DIGIDAY