『初音ミク -プロジェクト ディーヴァ- X』で、ようやく作品を100%堪能できた! シリーズファンによるプレイインプレッションをお届け | ニコニコニュース

文:ライター ウワーマン

 セガゲームスより2016年3月24日に発売予定のプレイステーション Vita用ソフト『初音ミク -プロジェクト ディーヴァ- X』(以下、『プロジェクト ディーヴァ X』)。VOCALOIDの技術とムーブメント、そして楽曲に深い関心を寄せるライターのウワーマンが、シリーズのおもしろさを再認識させられた『プロジェクト ディーヴァ X』の魅力について熱く語っていきます。

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●下がったモチベを爆上げする最新作

 最近、シリーズに対するモチベが下がってきたかなぁ。

 冒頭からいきなりネガティブ発言かい! と言われそうだけど、この後しっかりフォローするのでご容赦いただきたい。少しセンセーショナルな言葉を使って始めてみたかったんです!

 要するに、「近作の『初音ミク -プロジェクト ディーヴァ- F 2nd』では昔ほど熱中できなかった」わけなのですよ。シリーズのファンであることは今後も変わらないし、未来永劫、遊び続けていくのだけど、もう全曲パーフェクト狙いをするような熱い思いを抱くことはないのかなぁと思っていたんです。

 しかし、セガゲームスはやってくれました!!

 最新作である『プロジェクト ディーヴァ X』では、新たなメインモードを導入して気分を一新。かつての日々を想起させるような、めちゃくちゃ熱中できる要素を用意してくれたんです!

 では、どんな要素が筆者の琴線に触れ、やる気を起こさせたのか? そのあたりについて詳しく語らせていただきます。

 あ、勘違いするといけないから言っておきますが、前作までのフリープレイの要素は全部入っているので安心してくださいね。

●やる気を呼び起こすクエスト形式

 プレイ感覚に大きな変革をもたらしたのは、やっぱりライブクエストモードの存在でしょう。これが本作のメインモードで、常時遊ぶことになります。

 プレイヤーの目的は、ミクたちと5つのエリアを巡ってクエスト(リズムゲーム)に挑戦。ボルテージを溜めて新たなエリアの開放を目指すというもの。ゲームがストーリー仕立てで進んでいくというのも新しい展開ですよね。

 まあ、ストーリー自体は賑やかし程度にしか考えていないのでどうでもいい(おい!)のだけど、しっかりとした目的があるというのがじつにイイんです。自分としては単にリズムゲームで遊んでいるだけなのに、プレイすればするほど物語が進展していくので、世界を救うために貢献しているという気分にさせてもらえる。簡単に言えば、気分がいいんです。

 「え、そんなことで?」と思うかもしれないですが、実際そうなんです。前作までも、プレイすれば“DIVAポイント”が貯まってお得感はあったのだけど、ライブクエストを体験した後だと、それらがすごく味気なく思えてしまうくらい、プレイ後の余韻が違います。

 加えて、リズムゲームを“クエスト”形式にしたのもよかった。これも簡単に表現すれば“難易度”ということになるんだけど、“ノーマルに挑戦しよう”や“ハードに挑戦しよう”みたいな基本クエストのほかに、“ミクロノーツ(メロディアイコンとターゲットが小さくなる)”、“ドランクノーツ(メロディアイコンがいろいろな方向から飛んで来る)”などの毛色の違うものが複数あるんです。

 察しのいい人はすぐピンとくると思うけど、フリープレイのときに設定できるチャレンジアイテムを使った譜面に、クエストとして挑戦できるというわけなのですよ。

 ぶっちゃけチャレンジアイテムって、クロスレビューのときにしぶしぶ設定して遊ぶ以外使ったことはなく、プライベートでは一切使わなかったアイテムなんです。設定が面倒くさいせいもあったでしょう。しかしながら、クエストとして提示されるだけで、挑んでみたくなるから単純なもんです(笑)。

 手軽に遊べるようになり、いまさらながら「案外おもしろいなw」と思った次第。1曲ごとに多彩なクエストが用意されていて、徐々に開放されていくのもグッド。

 ちなみに、ライブクエストモードで遊ぶリズムゲームは、なんとゲームオーバーがない。『ミラクルガールズフェスティバル』でもそうだったんだけど、とりあえず曲の最後までプレイできるのがけっこういい。

 リズムゲームがうまい人は苦もなく最後までプレイできるので、うっかりするとゲームオーバーがないことに気づかないかもしれないのだが、筆者のように微妙な腕前のプレイヤーにはうれしいポイント。何よりフリープレイで遊ぶときのための練習になるんですよねー。

 あと、DIVAルームがなくなり、その役割をホーム画面が担うことになったのもいい変更でした。ぶっちゃけDIVAルームなんて、クロスレビューのときにしぶしぶ行って戯れる以外行っ……(以下省略)。

 リズムゲームの行き帰りでミクさんたちと自然な形で交流できるので、これはすばらしいアイデアだったなぁ。むしろ、何でいままでがこの形じゃなかったのだろうとさえ思ってしまった。今後はこの形式をスタンダードにしてもらえるといいな。

●ゲーマーほどモジュール集めにハマる

 『初音ミク -プロジェクト ディーヴァ-』シリーズと言えば、多種多様なモジュール(コスチューム)の存在も魅力のひとつ。いろいろなアクセサリのパーツと組み合わせて、着せ替えを楽しんでいるファンは多いはず。本作では、過去シリーズ作からの再録を含めると、なんと約300種類のモジュールが登場するというのだから、スゴイのひと言だ。

 と、前置きしてまたぶっちゃけるのですが、いままでの筆者的には、楽曲用のモジュールを購入して着替えたら、一生そのままという感じでありました。着替えを楽しむプレイヤーからしたら、「ハァ?」と思うことでしょう。ごめんなさい。

 いや、ミクさんは大好きなんだけど、別にそんなにいろいろと着替えたりして楽しんだりはしないんですよ。……(恐る恐る)筆者と同タイプのプレイヤーも少なからずいますよね?

 しかし! しかしですよ、本作での筆者は、モジュール欲しさにひたすらリズムゲームを周回する変貌っぷり。まさか、自分がこんなにもモジュール集めにハマり、毎回毎回、モジュールやアクセサリを付け替えるとは思いもよりませんでしたね。

 理由はじつにシンプル。『プロジェクト ディーヴァ X』では、モジュールやアクセサリにリズムゲームを有利に進めるための性能が備わったからなのです。べつに、攻略に必須というわけでなく、ちょっと有利に進められる程度のものなので、自由に着替えを楽しむことも可能です。ですが、ゲーマー的には有利になるものは集めたくなっちゃうんですよねー。

 クエストをクリアーするには、ボルテージ(要するにスコアみたいなもの)を一定量溜める必要があります。じつは楽曲を始め、モジュール、アクセサリにはエレメント(属性)が設定されていて、クエストが求めるエレメントのもので揃えると、ボルテージレート(ボルテージの上がりやすさ)にボーナスがつくルールがあるのです。このルールを利用して少しでも楽にクリアーしたいがため、エレメントを合わせるためのモジュールやアクセサリが欲しいわけですね。

 さらに言えば、モジュールには“新しいモジュールがドロップしやすくなる”、“40コンボでボルテージが2000アップ”などのスキルがあり、アクセサリにはエレメントによらない特定の組み合わせでもボルテージレートボーナスが付くという利点があります。

 モジュールやアクセサリを大量に所持しているほど、その引き出しが増えて有利になるので、周回プレイをするほどに欲しくなってしまったというわけですな。

 性能重視とは言え、モジュールにあまり興味が沸かなかったプレイヤーにも、モジュール集めの楽しさをわからせたといえる本作の仕様は、じつにすばらしいと思いました。

 そう言えばまったく触れていませんでしたが、『プロジェクト ディーヴァ X』ではモジュールやアクセサリ収集の方法が大きく変化しています。モジュールはリズムゲーム中に、ボルテージを大量に稼げるチャンスタイムを成功させるとランダムでゲット。クエストをクリアーすることで入手を確定させられます。

 クエストがクリアーできなかった場合は、ゲットしたモジュールは没収となってしまうので要注意。新しいモジュールをゲットしたときにクリアー失敗になると、けっこうツライんですよ……。

 モジュール入手時の、この瞬間のドキドキ感は筆舌に尽くしがたいものがあるので、ぜひとも体験してみてほしいですな。やっぱり日本人は福袋とかガチャとかが大好きな国民性だから、エキサイトすることは間違いないです。ゲットの際は派手にかわいく変身もしてくれるため、これを目当てに見ているのもなかなか楽しいですよ。

 一方アクセサリは、クリアー時のリザルトでランダム入手。溜めたボルテージによって入手数が1~5個まで変化するため、ボルテージは可能な限り高いほうがいいです。こういった理由からも、よりよいモジュール&アクセサリか欲しくなってしまうのですよ。ほんと、この仕組みはよくできているなぁ。

 以上のことからも察せられるように、本作でのモジュールとアクセサリ集めは運が悪いとけっこうタイヘン。というわけで、せっかちな方向けに、ダウンロードコンテンツとしてアンロックキーが有料で用意されているとのこと。コンプリート寸前で自力で集めるのを諦めて、「やっぱ買おう」となるくらいなら、購入を検討してみてはいかが? 私は最後までがんばって集めてみます!

●新たな可能性を感じるメドレー曲

 収録楽曲は懐かしい名曲から、わりと最近の話題曲まで取り揃えてあります。筆者はこういうおおやけの場では、40mP氏のファンであることをつねに声高にアピールしており、今回も例に漏れず言わせていただくと、「恋愛裁判」の収録が非常にうれしいです。

 それはさておき、今回は『プロジェクト ディーヴァ X』のためだけの書き下ろし楽曲がなんと3曲収録。kz(livetune)氏、ryo(supercell)氏、ひとしずく氏とやま△氏のユニット“ひとしずく×やま△”という豪華メンツが携わっているので、それだけで興奮しちゃいますよね。4名とも大好きなアーティストですし、これまたうれしい。好きなアーティストが1曲だけ提供しているという理由で、歌い手さんのCDを買っちゃうレベルの筆者からしたら、もはや『プロジェクト ディーヴァ X』は神がかっているといっても過言ではないです。

 そんでもってそんな中でも目玉と言えば、6曲収録されているメドレー曲でしょうね。シリーズ初の試みですし、人気のアーティストたちがアレンジしているので、それだけでも聴く&遊ぶ価値アリ。ライブクエストモードの各エリアのボス曲的な意味合いもあり、歯ごたえもなかなかのものになっています。

 とくに、ラスボス曲に位置付けられる「終極のメドレー ~超絶技巧暴走組曲~」はヤバイ。アレンジャーはcosMo@暴走P氏だから、もうそれだけで「ああ……」と絶望、いや想像つきますよね?(笑)。収録楽曲は以下の指が追いつかない高速&激ムズ曲なので、遊ぶ前からため息が出てしまうレベル。しかしながら怖いもの見たさもあって、プレイしたい欲求も半端じゃないんだよなー。

「初音ミクの消失」(アーティスト:cosMo@暴走P)


「裏表ラバーズ」(アーティスト:wowaka)   
「Sadistic.Music∞Factory」(アーティスト:cosMo@暴走P)
「二次元ドリームフィーバー」(アーティスト:PolyphonicBranch)
「初音ミクの激唱」(アーティスト:cosMo@暴走P)

 それに複数の曲を連続で流されると、当時の懐かしい感覚がつぎからつぎへと押し寄せて、何だかちょっとおもしろい。メドレー曲みたいなチャレンジは今後もどんどん取り入れてほしいですね。

●これでようやく100%堪能できた

 「フリープレイだけではちょっと飽きてきたかな」と思ったところに、新たな要素を一挙に取り入れてきた『プロジェクト ディーヴァ X』。まさか自分がモジュールやアクセサリ集めに夢中になるとは思わなかっただけに、いい感じにサプライズにもなりました。

 過去のシリーズではまったく、一切、微塵も、丸っきり、完膚なきまでに上げたことがなかった親密度(ごめんなさい)も、今回からボルテージが上がりやすくなるという要素が加わったので、手のひらを返すようにガン上げ。ミクさんたちにプレゼントをあげまくる自分に苦笑いです!

 しかしながら、これによって既存の要素にも十二分に触れることができ、ようやく『プロジェクト ディーヴァ』という作品を100%堪能できたかなーとも思いました。シリーズがいい方向へと舵を取ったので、今後にも期待できるでしょう。シリーズファンも、遊んだことのない人も、『プロジェクト ディーヴァ X』は何が何でも体験すべきタイトルですよ。

 そういえば、ダウンロードコンテンツで“雪ミク 2016”のモジュールがあるのだけど、これが世界一かわいいんです。かわいいけど、もはやその性能が気になって仕方がないという自体に陥っています。いいスキル付いているのかな~?

 身も蓋もないですが、ファミクー.comを見れば、筆者が語ったこと以上の情報が満載なので一度見てみるべきですね(笑)。