「冴えカノ」加藤恵Projectの展示 最新技術でアニメの楽しみを拡張 | ニコニコニュース

ブースナンバー・A14の「加藤恵Project」
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3月25日(金)から27日(日)にかけて、東京ビッグサイトにて開催されている「AnimeJapan 2016」(アニメジャパン)。アニメ・ゲーム関連の企業が数多くブース出展し、各種ステージも催される大規模イベントを取材しています。

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新作発表が多い中で、ブースナンバー・A14の「加藤恵Project」は視覚的な実験に重きを置いたユニークな構成。

このブースでは、アニメやゲームの「新しい表現」の萌芽を見ることができました。

文:松本塩梅

プロジェクター本体を動かし、空間を拡張させる

「加藤恵Project」と銘打たれた本展示は、人気TVアニメ『冴えない彼女の育てかた』のキャラクター・加藤恵を、ソニーが持つプロジェクション技術などを活用し、「画面外」へ拡張させるという試み。

加藤恵の動きを再現する研究」は、真っ暗な部屋で行われるプロジェクション技術の実験。一連の流れを書き出すと、以下の通り。



1.アニメの作画と同様に、16:9の背景付き画面を加藤恵が歩く
2.背景作画がなくなり、加藤恵だけが歩く
3.歩いていくうちに、穴のようなものに加藤恵が落ちる
4.端に置かれた瓶の中に、加藤恵が「落ちて」くる

シンプルな映像だけに一見では驚きが伝わらないのですが、実は「加藤恵が歩く」という動作に併せて、プロジェクターそのものを同期して動かすことで、照射する範囲を拡張しています。

通常のプロジェクターであれば、決められた範囲内にしか映像を投影できません。しかし、プロジェクターそのものをデジタル制御で動かすことにより、通常より広い範囲での投影ができるようになるというのです。

また、瓶は「後ろから照射」することにより、プロジェクターが見当たらないにもかかわらず、映像表現が可能に。

ブース担当者によれば「今ある技術を応用することで、アニメの表現をさらに広げられないかと考えた」とのこと。

レーザープロジェクターのメリットを体感

他にも、「黒枠を外して映像のみを照射できる」「フォーカスが不要」というレーザープロジェクターの特性を活かした、プロジェクションマッピングも。

厚み3cmほどしかないレリーフに、加藤恵の立体映像を当てることで奥行きのある表現を試みています。「建物に当てるプロジェクションマッピングを、アニメキャラクターにしてみたら」という実験だったそう。

正面から見る限りではもちろん、角度をつけて見ても立体感が失われません。2次元であるアニメキャラクターを3次元に近づける方法として、応用できそうに感じました。

現在、従来の「ランプ式」から、新世代の「レーザー式」への移行が期待されるプロジェクター市場が、ますます楽しみになる実験たちでした。

加藤恵のいる日常風景の研究」として、丸く縁取られた画面から部屋の内部をのぞき見できるような仕掛けも。この画面も壁の後ろからプロジェクションしているそう。

実は結構すごいことをしているのに、説明がもうちょっと足りずにあっさりと見過ごしてしまいそうな部分ではありますが、仕組みを知るとより興味深く見られる展示が多いブースでした。

他にも、来場者の呼びかけに応じて画面内の加藤恵と会話ができるといった試みも。ブースナンバー・A14は、映像表現について、新しいインプットを得られるブースといえそうです。