液体の金属を閉じ込めた小さな粒、熱を使わずにはんだ付けが可能になる | ニコニコニュース

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なんでなんで? なんでそれ可能?

はんだごて、使ったことありますか? どでかい鉛筆みたいな機器の先が熱くなって、はんだと呼ばれる合金を溶かして金属をくっつけるあれですね。この作業、はんだ付けと呼ばれます。

しかしアイオワ州立大学が新しく開発した技術を使うと熱を使わずに金属を接合させることができるそうです。どうやってするか? なんと液体の状態の金属を薄い膜の中に粒上にして閉じ込めておくとのこと!

この膜の中に入っていると例え周りの温度が低くても金属が固まらずにいられるそうです。その状態で膜が破られると中身の液体が出て、冷やされて固まる、そういう仕組になっています。これによって熱を一切使わずに金属をくっつけることができるんですね。

本当は固体化するような温度なのに、それを下回っても液体のままとどまる現象を過冷却と言います。アイオア州立大学の研究は、この過冷却という現象を利用したそうです。

液体を構成する分子が結晶化する最初のステップとして、まず結晶化のが生成されないといけません。通常は物理的な刺激によってこれが生成されるのですが、平静な安定した状態だとこれが十分に行なわれないことがあり、その場合は温度が凝固点を下回っても固体化しないという過冷却が生じるとのこと。

今回の研究では液体の金属を閉じ込めている膜に工夫があるようです。この膜は非常に「スムーズに」なっており、凝固が始まるような核が生成される地点がないんです。

そ、そんなことが可能なんですね...。

液体の金属をかき混ぜて泡をたたせることで、液体の粒の1番外側に薄い金属酸化物の膜が発生します。それをさらに酢酸と反応させることで膜を強くするとのこと。そしてゆっくりと冷却することで粒の中心部分は液体のままでとどまることができるそうです。

それを何か金属の表面に押しつぶすと中の液体金属が出て、接合したり穴を塞いだりしてくれると。いやー賢いですね。この研究はScientific Reportsで発表されています。

家にあるはんだごて全部捨てろー!っという段階では全然ないですが、将来が楽しみな技術ですね。高温を使うことが難しい環境には特に重宝されそうです。

source: Scientific Reports via Chemical & Engineering News

Jamie Condliffe - Gizmodo US[原文
(塚本 紺)


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