点滴の針で神経が傷つき左腕が完全にまひしたとして、静岡市の30代の元ピアノ教師の女性が、日本赤十字社(東京都港区)に約7100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、静岡地裁であった。細矢郁裁判長は「深く穿刺(せんし)しないようにする注意義務を怠った」として、約6100万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は2010年12月、静岡赤十字病院に入院。看護師が手術前に麻酔の点滴針を左腕に刺した際、手首から腕に延びる神経を傷つけ、女性は筋萎縮などを引き起こす複合性局所疼痛症候群(CRPS)を発症。左肩から指先までがほぼ動かなくなる後遺症を負った。

 判決は、女性が労働能力の79%を失ったとして、ピアノ教師など複数の仕事に関する損害を認定した。

 同病院は「判決内容を精査した上で、今後の対応を検討したい」としている。