【ワシントン時事】ワシントンで開かれていた核安全保障サミットは1日、過激派組織「イスラム国」(IS)などによる核テロ阻止への協力を申し合わせて閉幕した。オバマ米大統領が2009年に「核なき世界」を唱えてから約7年。各国首脳はサミットで核軍縮、核不拡散への誓約を確認したものの、米ロ対立や北朝鮮の核開発など懸案は残り、道半ばだ。

 10年に始まった核安保サミットは「核なき世界」への取り組みの一環に数えられ、4回目の今回が最後となる。

 オバマ氏は1日の記者会見で、「過去6年間、世界の核物質の安全管理で大きな進展があり、テロリストの手に核物質は渡っていない」と成果を強調。台湾やベトナム、トルコ、リビアなど14の国と地域から、完全に核物質が取り除かれたとも説明した。

 ただ、オバマ氏が「ロシアとの新たな核軍縮交渉で進展はない」と認めるように、柱となる米ロの核軍縮は停滞している。米国は14年のロシアによるウクライナ侵攻を受けて経済制裁を発動し、対立が決定的となった。ロシアはサミットに閣僚すら派遣しなかった。