ドル/円の下値メドは過去4年のドル高調整局面で106円台に=外為どっとコム総研 | ニコニコニュース

ドル/円の下値メドは過去4年のドル高調整局面で106円台に=外為どっとコム総研
サーチナ

 外為どっとコム総合研究所のシニアテクニアルアナリストの川畑琢也氏は、2月末の見通しインタビューで、「ドル/円は1ドル=109円を当面の下値のメドとした下落相場」と予想した。その後の1カ月間でドル安・円高が進展し、川畑氏の予測した1ドル=107円の水準にまで到達した。今後の見通しを、どのように考えているのか、改めて見通しを聞いた。

――2月末のインタビューでは、当面のドル/円相場の行方について、2014年12月安値(115.550円)から2015年2月高値(122.022円)の値幅(6.472円)を14年12月安値から引いた109.078円という話でしたが、4月7日の東京市場では安値メドに到達して、1ドル=107円台を付けました。今後の展望は?

 3月相場で下値のメドと考えた1ドル=109円の水準は、2011年安値(75.320円)から2015年高値(125.853円)まで4年間続いた上昇に対する調整局面と考えても、上げ幅の3分の1押しの水準である109.009円に等しい水準だったために、一旦はフシ目として意識される水準だと考えました。この水準を下回ったことで、調整は一段と深いと考えなければなりません。

 2000年から2015年までの月足で「陽線」「陰線」の出現回数を数えると、4月、5月、8月が陰線になる確率が高いという結果になります。このアノマリー(経験則)が効いているような相場付きになっています。

 さきほどの4年間の上場相場の調整局面としてみると、次の下値のメドは38.2%押しの106.549円。そして、2分の1押しの100.587円という水準が見えてきます。このようなチャート分析によるフシ目は、世界中の投資家が同じように意識する水準となるため、それぞれのフシ目について実際の値動きがどうであったかを検証する意味でも、フシ目の位置を知っておくことは意味があると思います。当面は、106.549円をめざした下押し局面と考えられます。

 一方、ドル/円の上値を考えると、110円を割り込んだことで、それまでの下値支持であった110円台後半が当面の上値として意識されるでしょう。

 当面の予想レンジは、1ドル=101円~111円とみています。

――3月末には1豪ドル=86円台に値上がりした豪ドル/円も全般的な円高の流れに抗しきれずに81円割れの水準に下押しました。豪ドル/円の見方は?

 3月末にトライした200日移動平均線を上回ることなく、75日線を再び下抜けたことで、一段安になることが考えられます。これまで、豪ドル/円は一目均衡表の雲の上限が下値支持として機能していました。その水準が、1豪ドル=81円台半ばにありますが、ここを下に抜けると意外と深い下落につながる可能性があります。その際の下値のメドは、1豪ドル=79.802円(3月1日安値)、または、今年の最安値(2月11日)である77.559円が意識されるでしょう。

 そもそも豪ドルに対して大きな材料がない中で、価格が動いているのは、原油価格が意識されているためです。実際にはオーストラリアが原油の輸出国ではないので原油価格と直接的な関係はないのですが、「資源国通貨」のひとつとして原油の値動きが意識されています。

 その原油価格は、200日線が上値の抵抗線として働いています。3月の原油高局面でも200日線を前に失速しました。今後、200日線を抜けて上がっていくことができるかがポイントになります。原油価格が上昇に転じれば、豪ドルにも安心感が広がるでしょう。

 豪ドルの材料としては、4月27日に発表される1-3月期の消費者物価指数が注目点です。現在、豪中銀は消費者物価指数で2-3%をめざした金融政策を取っています。1-3月の消費者物価が下限の2%程度にとどまった場合、追加利下げの思惑が強くなりますので、その際の下押しは注意が必要です。

 当面は1豪ドル=79円~86円程度のレンジを予想します。

――その他の通貨ペアで注目しているのは?

 原油価格との関係で、原油の輸出国の一角であるカナダに注目しています。カナダ/円は、月足でみると2009年1月と2011年10月の安値を結ぶ線がサポートラインとして意識され、4月はこのラインが78.342円に位置します。4月になっての下落局面でもサポートラインは意識されているため、サポートラインに接近する押し目は注目できます。

 原油価格は200日線を巡る攻防で予断はできません。4月17日に予定されるOPEC(石油輸出国機構)の加盟国・非加盟国会合で生産量凍結に合意できれば、原油価格の落ち着きが期待されます。合意できなければ、再び安値を模索することになりまねません。

 カナダ/円は、原油価格が落ち着けば、抵抗線として意識された基準線(1カナダドル=86円)までの戻りが期待できます。そして、基準線をしっかり超えられれば、2014年12月と2015年6月高値を結ぶレジスタンスライン(4月4日の週で92.791円)や雲の下限(92.814円)が位置する92円台後半への一段高も期待できるところです。当面の予想レンジは、1カナダドル=78円~92円とみています。(編集担当:徳永浩)