いったい何の施設!? 本が借りられない「図書館」があるってほんと? | ニコニコニュース

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試験勉強やレポート作成に役立つ「図書館」。本はもちろんCDやDVDを借りられる便利な存在ですが、本も貸してくれない図書館があるのはご存じでしょうか?

国会に属し、国の機関のひとつである「国立国会図書館」は、東京本館/関西館/国際子ども図書館の三施設において、国会議員/各府省庁や最高裁判所の職員だけなく、国民にも資料の閲覧/複写サービスをおこなう、日本で唯一の国立図書館です。利用条件やルールなどはそれぞれですが、共通しているのは図書館なのに個人への貸し出しをおこなわないこと。その代わり、国内で出版された本やCDなどもすべて1部は買い取る仕組みなので、マンガも読み放題。自分が生まれた日の「新聞」も見つかるはずなので、一度は行ってみる価値がありそうですね。

■借りられない図書館

コンビニや本屋さんでも日々新しい出版物が並び、あまりにも数が多すぎて図書館においていないこともあります。ところがマンガやCDを含め、すべてを保管している図書館があります。昭和23年に開館された「国立国会図書館」です。

これは国内で出版物を発行するひと/会社などは、必ず法定部数を納めるよう規定した「納本制度」に基づき、「納本図書館」として、

 ・永田町の「東京本館」
 ・京都の「関西館」
 ・日本で唯一の児童書専門図書館である「国際子ども図書館」

の三施設において、誰が、いつ、どんな資料を出版したのか把握し、知的活動の記録として未来へ伝える役割を担っています。

三施設で共通しているのは、図書館なのに個人への貸し出しをおこなわないこと。おもに、国会議員向けに国政審議などで必要な資料/情報の提供や、各府省庁や最高裁判所の職員向けに、行政/司法にまつわる資料の提供などを趣旨としていますが、国民向けにも幅広い資料の閲覧や複写サービスをおこなっています。

東京本館/関西館は、18歳以上の「大人」が利用可能で、

 ・図書/雑誌
 ・新聞
 ・電子資料
 ・専門資料(科学技術、地図、音楽、映像、政治、古典)

など、国際子ども図書館は、年齢制限なく利用可能で、

 ・児童書/雑誌
 ・教科書/参考書
 ・CD/DVD

などを所蔵。基本的に所蔵物=文化的資産として扱われ、個人の利用は、閲覧/複写に限られていますが、一度、利用者登録さえすれば、次回からは来館せずにデータ化された目録をインターネット検索し、必要な資料の遠隔複写を依頼/入手できるサービスなども受けられます。A4/B4のモノクロ資料を複写しようとすると、当日/現地なら単価24円(税抜)、遠隔複写を依頼すると、複写料金+送料(実費)+事務手数料(150円/税抜)がかかり、少々割高なイメージですが、文化的資産の複写と思えば納得ですね。

■設備も充実

どの施設も、B5判以上のカバンや不透明な袋、傘などの持ち込み不可など、さまざまな規則がありお堅いイメージですが、館内は快適な読書/視聴/学びの空間です。国立国会図書館は、入館すると資料検索、閲覧室、複写カウンターなど、動線が明確で機能的。国際子ども図書館は、おはなし会やわらべ唄の会が行われる部屋や、音楽会などで使用されるホールなどが並び、子ども心をくすぐる設計です。食堂やカフェテリアなども併設され、国際子ども図書館にはおむつ交換台や授乳室も完備。日によってコンサートや講演会、展示会など、楽しいイベントも開催されているので、図書館/読書離れが進む昨今、ナマの文化的資産に触れに出かけるのも、新鮮で楽しそうですね。

■まとめ

・国立国会図書館は、東京本館/関西館/国際子ども図書館の三施設展開
・「納本図書館」のため貸し出しはおこなわず、閲覧/複写のみ可能
・昭和23年から集積/整理/保存してきた出版物は「文化的資産」

(熊田 由紀/ガリレオワークス)