【西川善司】「Splatoon」ゲームパーティに再挑戦 Wii Uの思わぬ弱点があらわに? | ニコニコニュース

 2015年7月,友人皆でWii Uを持ち寄って,「Splatoon(スプラトゥーン)」(Wii U,以下カタカナ表記)大会を行った話をレポートしました。
 そのときに会場として使わせて頂いたのは,五反田にあるコワーキングスペース「CONTENTZ」(関連リンク)でした。

 このときは,のべ25人の友人たちとその家族(ちびっ子多め)が集まり大盛況だったのですが,持ち寄った総数10台のWii Uが,CONTENTZ側の無線LANルーター1台に同時接続した結果,無線LANの通信が帯域幅不足となって通信エラーが頻発してしまいました。


 無線LANの問題が水を差すこともあったのですが,参加者の間では,「大勢の知人同士でやるスプラトゥーンは楽しかった。またやりたい」という声が上がりました。「次回開催時があれば,絶対に有線LANで各Wii Uを接続しようね」と参加者同士で誓い合いつつ,です。
 そして時は過ぎ,2015年の12月。第1回の反省点を踏まえ,第2回スプラトゥーンパーティを開催することになりました。いろいろあって執筆が遅れてしまいましたが,今回はそのお話です。

■スプラトゥーンゲームパーティふたたび


■参加者は老若男女30人以上。JCやJKも参加

 第2回の会場となったのは,ゲームスタジオであるモノビットの社屋です。

 モノビットは,近年,ネットワークゲームの開発で業界に存在感を高めているゲームスタジオです。最近では,自社で開発したネットワークゲームの技術を集約させて,「モノビットエンジン」というネットワークゲームエンジンを開発。これ提供するゲームエンジンビジネスを展開したり,昨今の仮想現実(以下,VR)ブームを受けて,「モノビットVR」というブランド名でVR事業にも乗り出すとアナウンスをしたりと,乗りに乗っています。

 今回は,そんなモノビットの社屋内にある3つの会議室をまるまる使わせていただきました。


 参加者はボクの知人が中心で,その半数以上がゲーム業界関係者です。それこそ有名ゲームスタジオの方やPlayStationの偉い人達といった面々まで,子連れで参加してくれました。総参加人数は数えていませんが,おそらく,のべ35人前後だったと思います。なにしろ3つある会議室に人が入りきらなくて,廊下にもWii Uを設置してたくらいですから。

 最年少参加者は6歳の少年。スプラトゥーンはサードパーソンシューティングですが,全年齢対象のゲームなので問題ありません。


 女性参加者はなんと12人もいました。参加者全体の約3分の1が女性って,なかなかすごいことですよね。小学生のお子さんも居ましたが,女子中高生も参加していました。ボクがモテモテなのか,それともスプラトゥーンの魅力がすごいのか,どっちなんでしょうかねぇ。

 さて,前回のスプラトゥーンゲームパーティは7月に行ったので,発売から2か月程度しか経過しておらず,プレイヤーの腕前にはばらつきがあまりありませんでした。しかし,今回は発売から半年近く経っているので,うまい人はとんでもなくうまくなっています。


 そこで,3つある会議室のそれぞれを初級用(ランクC以下),中級用(ランクB),上級用(ランクA以上)と設定しました。参加したメンバーのうち,ランクS以上は6人ほどいました。このランクSプレイヤーには前出の女子中高生が含まれます。おそろしや……。
 ランクSのプレイヤーたちは,総プレイ時間が600時間を超えているのが当たり前という感じで,手足の如くプレイヤーキャラクターを操っていました。

 ボクはといえば,ランクAが定位置で,まぁ,上の下,あるいは中の上といった腕前ですね。ランクA+に行くこともありますが,すぐAに落とされる毎日です。たまに間をあけるとA−にもなったりします。ランクSはかなり遠い感じです。最近は,「ストリートファイターV」(PC / PS4)にだいぶ浮気しているので腕前は落ち気味かもしれません。

■前回の反省を活かした対策は完璧……なはずだったのに?

 さて,今回集めたWii Uは全部で18台。当然ながら使ったディスプレイも18台です。Wii Uは各自持参で,ディスプレイも持ってこられる人は持ち寄り,足りないディスプレイはモノビットさんからお借りしました。


 また,前回のように無線LANの帯域幅を食いつぶすことがないように,今回は事前に,USB-有線LANアダプタの持ち込みも呼びかけておきました。その甲斐あって,半分くらいのWii Uは有線LANで接続できました。

 なお,Wii Uで使う有線LANアダプタは,任天堂の純正品でもよいのですが,Wii Uでの動作確認が取れているバッファロー製の「LUA3-U2-ATX」(Amazonアソシエイト)やUgreen製の「USB2.0 → 高速イーサネット変換アダプタ」(Amazonアソシエイト)が,1200円前後で販売されているので,これらの購入をお勧めしますと,参加メンバーに告知しておいたのです。

 無線LAN接続も,前回は1台の無線LANルーターにアクセスが集中したことを反省して,2台の無線ルーターを設置。1台の無線LANルーターにはWii Uを4〜5台くらいまでの接続としました。

 さて,こうしたホームパーティ的なゲーム会はみんなが同時にやってくるわけではなく,徐々に人が集まってきますよね。そのため,上で「Wii Uが18台集まった」としましたが,実際に18台集まったのは開始後少し経って,一番人が多かったときです。


 最初は,3つの会議室で人がばらけるようにして,8台くらいのWii Uで対戦していました。この頃は問題なかったのですが,8台を超えたあたりから「Wii U GamePadの操作反応が鈍い」という声が聞かれるようになりました。
 無線LANルーターの数は増やしましたし,多くのWii Uを有線LANにも逃がしたから,ネットワーク帯域幅的には問題がないはずなのに……。

 当初は「おかしいね」「なんでだろう」という感じで,あえて気にしないようにしていたのですが,Wii Uの台数が12台を超えたあたりから,通信エラーが出てゲームが中断したり,Wii U GamePadの接続が切れたりと,明らかにおかしな状況が起こり出しました。

 そこで,いくつかの実験を行った結果,原因が特定を特定するに至りました。

 まず,大前提として,Wii Uの無線機能について整理しておきましょう。


 Wii UはIEEE802.11n対応の無線LAN機能を搭載しており,ネットワーク接続には2.4GHz帯の電波を使用する一方で,Wii U本体とWii U GamePadとの通信には5GHz帯の電波を使っています。
 なお,5GHz帯を使うWii UとWii U GamePadの接続にあたっては,MiracastをベースにしたWii Uの独自手法でWii U本体からWii U GamePadに対して映像データも送信しています。

 ではなぜ,通信エラーでゲームが落ちてしまうのか。予想外なことに,Wii Uとは関係ないところに原因がありました。それは,参加者が持ち込んだスマートフォンや携帯電話です。


 一か所に密集した参加者の携帯電話から発せられる電波が,無線LANで接続したWii Uの通信を邪魔しているようで,参加者たちの携帯電話を「機内モード」にしてもらったところ,驚くほどプレイが安定しました。つまり,無線LANの帯域幅が不足していたわけではなく,携帯電話の発する電波が通信を妨害していたわけですね。

 携帯電話は,周囲に接続可能な無線LANホットスポットがないか探すために,


2.4GHz帯の電波を発信します。あるいは,携帯電話回線で使う2.1GHz帯や2.5GHz帯の電波も,密集しすぎたことで2.4GHz帯の無線LANに影響を及ぼしたのかもしれません。30人以上の人間がほぼ一か所に集中すれば,干渉度合いも大きかったんでしょう。これがゲームの中断をもたらした原因でした。
 とはいえこの問題は,すべてのWii Uを有線LAN接続にできれば起こりえないともいえます。

 一方,Wii U GamePadが本体から切断されてしまうのほう問題は,単純に,Wii UとWii U GamePadとの接続に使っている5GHz帯の電波が,台数が多くなったことで混信してしまっていたことがわかりました。Wii Uの電源を1台ずつ切っていったところ,稼動させるWii Uを8台前後までに減らすと,この現象はぴたりと止まったのです。Wii Uを一か所に多く持ちよると,うまく機能しなくなるといえるでしょう。


 PlayStation 4やPlayStation 3の純正ゲームパッドは,無線接続に問題が起きたときに有線接続ができますが,Wii U GamePadはその手が使えないので厄介です。

 実験していて面白かったのは,稼動中のWii Uを10台前後にすると,Wii UとWii U GamePadの接続が切断されないまでも,スティックの入力がでたらめになったり,反応が明らかに鈍くなったりする現象に見舞われたことです。スティックをニュートラルにしているのに,キャラクターが歩き続けてしまい,「おい,そっち行くな,止まれー!」という事態になりがちでした。もうこうなると,まともにプレイできなくなります。

 任天堂が開催するゲーム大会や,E3のような大規模展示会では,こうした問題に対応するためか,Wii UとWii U GamePadを有線接続させています。Wii U GamePadの下部には,充電用クレードルとの接点以外に,USBポートのような「外部拡張コネクター」があります。これを使って有線接続ができるのなら,一般のユーザーにも開放してくれるといいんですが……。

 イベント会場で使っているWii Uは,市販のそれとは仕様が違うWii Uなのかもしれませんが,なんとか普通のWii Uでも使えるWii U GamePad用有線接続ケーブルを販売してほしいと切に願います。せっかく,Wii Uを持ち寄ってまでプレイしたいと思わせるゲームがあるのですから,大勢で持ち寄るとゲーム機側が使えなくなるというのは,残念ですからね。

 というわけで,第2回のスプラトゥーンパーティも,少しだけ課題を残した結果にはなりましたが,参加者には楽しんでもらえたようです。


 それにしても,無線ってのは便利ですが,なかなか気むずかしい部分があることを再認識しました。現在の機器に使われている無線技術っていうのは送受されている信号自体はデジタルデータなワケですが,電波条件が悪くなると,途端にアナログ的な理由でそのデジタルデータが送れなくなるのが歯がゆいです。

 ゴールデンウィークなどに「友人同士で集まってスプラトゥーンを遊んでみようか」と考えている人は,今回の記事を参考にして,楽しいスプラトゥーンパーティを開催してください。

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記事URL:http://www.4gamer.net/games/095/G009575/20160404039/
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関連タイトル:
・Wii U Splatoon(スプラトゥーン)

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