不可解な外国人騎手礼賛に「馬鹿の一つ覚えか!」メジャーエンブレム惨敗で考える外国人騎手の「レベル」と「扱い方」 | ニコニコニュース

競馬
Business Journal

2歳王者にとっては何とも歯痒い、そしてファンにとっては不可解な敗戦だった。

10日に行われた3歳牝馬クラシック第一弾・桜花賞(G1)。単勝1.5倍と圧倒的な人気を集めていたメジャーエンブレムは、これまで見せていた積極的に前へ行く競馬ではなく、中団よりやや前目から末脚勝負を挑んで4着に敗退。

何故、これまで通り自ら先頭に立ってレースを作る競馬をしなかったのか……そこには外からでは把握できない様々な要因があったのかもしれない。

だが、鞍上のC・ルメール騎手には現地で観戦していたファンはもちろん、ネット上でも「これはダメだわ」「なんで逃げないの?」「あまりにも消極的」と批判の声が集まっているようだ。

無論、億単位の大金が掛けられるG1で単勝1.5倍の馬を馬券圏内から飛ばしてしまったのだから、その“敗者”と“失われた金額”は計り知れない。だから、いつにも増して「怒りの声」が上がるのも仕方がない。

だが、それらを差し引いても今回のルメール騎手の騎乗はあまりにも慎重すぎ、それが“相棒の個性”を殺してしまったように見えた。

その一方で、見事ジュエラーで桜花賞を制したM・デムーロ騎手には称賛の声が多く聞かれたが、実はその前の週には大阪杯(G2)で1番人気のラブリーデイで4着に敗退し、自身も「最悪の競馬だった」と自らのミスを認めている。

その上で筆者が強く“違和感”を覚えたのは、外国人騎手が先述したような騎乗ミスで人気馬を惨敗させても、多くの調教師を始めとした関係者が鞍上をまったく責めないところだ。

日本の競馬界特有の『外国人騎手礼賛』という風潮は、今に始まったことではない。だが、ルメール騎手とデムーロ騎手がJRA騎手として通年で騎乗し始めてからは、特に強くなった印象を受ける。

無論、日本に来る外国人騎手の多くは国を代表するトップジョッキーであり、当然ながら技術も経験値も高く、中には世界でも有数の腕を持つ騎手もいる。

しかし、当然ながら外国人騎手すべてが世界有数の技術を持っているとは限らないのだ。

ましてやデムーロやルメールといった凄腕騎手でさえ、当然ながらミスもする。桜花賞や大阪杯のように人気馬で着外に敗退することも、決して珍しいわけではない。

しかし、それでも競馬関係者、そして競馬メディアも外国人騎手を批判することはとにかく稀であり、他の日本人騎手の扱いとは大違い。騎乗ミスによる乗り替わりも少なく、逆に「ただ名前が、カタカナ」というだけで闇雲に有力馬が集まっている印象さえ受ける。

実際に、ここ数週間でも先述した大阪杯のラブリーデイを始め、天皇賞・春(G1)で昨年2着したフェイムゲームの鞍上がH・ボウマン騎手に決まった事にも違和感を抱かざるを得ない。

豪州No.1と呼び名の高いボウマン騎手の腕に疑いの余地はないが、まだ来日すらしていないのだ。それに昨年の天皇賞・春で7番人気ながら2着と結果を出したのは、主戦の北村宏司騎手ではないか。

北村騎手はその後も菊花賞(G1)を勝つなど、長距離で結果を残してきた。昨年痛めた左膝の治療からの復帰もすでに果たしており「理不尽」とさえ感じる乗り替わりだ。

また、先日の桜花賞を勝ったジュエラーのマスコミ記事にしても、まるでデムーロ騎手とここまで歩んできたような称賛のされ方だが、彼女を新馬戦で勝利に導いたのは秋山真一郎騎手である。しかし、次走ではあっさりとデムーロ騎手に乗り替わった。

先述したようにJRAに集まる外国人騎手のレベルは極めて高く、日本人騎手よりも総合的に優れていることは事実だろう。しかし、闇雲に「ただ外国人を乗せればいい」または「外国人騎手だと馬主も納得してくれる」といった風潮はいかがなものか。ファンからも「馬鹿の一つ覚えか!」というような声も聞こえてきそうだ。

競馬が賞金の懸かった勝負だけに“義理”や“人情”よりも優先される事情もあるかと思うが、せめてフェイムゲームの北村宏騎手やジュエラーの秋山騎手のように、結果残した日本人騎手だけでも継続して起用することくらいはできないのだろうか。

こういった盲目的で不可解な外国人騎手への乗り替わりを目にする度に、何故だろうと首を傾げ、その馬の馬券に対する購買意欲を失うファンは決して少なくない。

外国人騎手を淘汰せよと述べているわけでもないし、結果を無視して日本人騎手を優先しろと述べているわけでもない。せめて、結果を出した日本人騎手を外国人騎手と同等に扱ってほしいと願うばかりだ。