万引きで有罪判決を受け、執行猶予中にまた万引きしたとして、窃盗罪に問われた神戸市の女性被告(61)の判決が12日、神戸地裁であった。長井秀典裁判長は「認知症が犯行に一定の影響を及ぼしており、非難はある程度限定される」と述べ、懲役1年、保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。

 執行猶予中の再犯に猶予が付くのは珍しい。女性は犯行後、衝動を抑えにくくなるとされる前頭側頭型認知症と診断されていた。

 長井裁判長は「手口がやや稚拙で、衝動を抑制しづらい状態にあったとみることも可能だ」と指摘。「これをきっかけに被告は認知症を認識し、親族も援助を約束している。社会での更生が期待できる」と執行猶予の理由を述べた。

 判決によると、女性は昨年9月11日、神戸市内のスーパーで、リンゴなど5点(計800円相当)を盗んだ。

 女性は2014年、別の万引きで懲役10月、執行猶予3年の有罪判決を受けていた。