脳信号解読、手や指動く=脊髄損傷で試験成功―米研究所

 脊髄を損傷した男性の脳に微小な装置を埋め込み、脳の信号をコンピューターで解読して腕に巻き付けた電極に送ることで、手や指を動かす試験が成功した。米バテル記念研究所とオハイオ州立大の研究チームが13日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 「ニューロライフ」と名付けられたこの装置が実用化されれば、脊髄を損傷した人の日常生活が楽になり、ヘルパーの負担が減ると期待される。

 この20代半ばの男性は2010年にダイビング中の事故で脊髄のうち首の部分(頸髄=けいずい)を損傷し、頭部付近の機能は残ったが、手や胸から下がまひした。

 試験では、大脳の一次運動野と呼ばれる領域に微小な電極装置を埋め込み、脳神経の信号をコンピューターで解読。電極130個を配置した別の帯状装置を右の前腕に巻き付け、コンピューターから手や指の筋肉を動かす信号を送った。

 男性は1年3カ月にわたり訓練した結果、ガラス瓶を指でつかんで持ち上げ、中身を別の容器に移したり、おもちゃのギターのボタンを指で押さえたりできるようになった。