日本地震学会の加藤照之会長(東京大地震研究所教授)は18日、都内で記者会見し、熊本地震の見通しについて「布田川断層帯西側の宇土区間と、(八代海に向けて延びる)日奈久断層帯南西側に未破壊部分が残っている。わずかな活動が見られており注意が必要だ」と述べた。

 加藤会長は、九州北部の地質構造を「フィリピン海プレートに押され北西に向かう力と、沖縄トラフの拡大で南東に向かう力で、南北に引き裂かれる動きをしている」と説明。布田川、日奈久の両断層帯で「右横ずれ」を起こしたのは、この南北に引っ張る力が主な原因だという。

 断層が横にずれると延長線上でも地盤にかかる力が高まり、地震活動を活発化させることがある。既に大分県など北東方向で地震が起きているが、さらに東には近畿地方まで達する長大な断層帯「中央構造線」がある。加藤会長は「懸念はされるが、現状での評価はできない」と述べた。

 一方、最大でマグニチュード9クラスの巨大地震が想定される南海トラフ地震への影響は、今回の震源が遠く、陸海のプレートがずれて起きるなどメカニズムも違うことから、否定的な見方を示した。