「一刻も早く見つけて」=迫る72時間、懸命の捜索―無事祈る住民・南阿蘇村 | ニコニコニュース

土砂災害現場で発見された女性(中央)を運び出す捜索隊。生存率が著しく下がるとされる「発生72時間」が迫る中、自衛隊などによる懸命の捜索が続いた=18日午後、熊本県南阿蘇村河陽地区【時事通信社】
時事通信社

 大規模な土砂崩れで、複数の行方不明者が出た熊本県南阿蘇村の河陽地区。生存率が著しく下がるとされる「発生72時間」が迫る中、自衛隊や警察などによる懸命の捜索は日が暮れても続けられた。住民は隣人らの無事を願い、「一刻も早く見つけてほしい」と祈るように話した。

 河陽地区では大量の泥土が複数の住宅を押し流し、男女6人と連絡が取れなくなった。17日までは手作業で土を掘り返すしかなかったが、18日朝から重機が現場に入れるようになり、一気に作業が進展。土砂の中からひしゃげた乗用車や家屋の一部が出てくるたびに、隊員らは慎重にスコップで土を落とし、救助を必要としている人がいないか確認を進めた。

 午後5時すぎには、土砂の中から70〜80代とみられる女性が見つかり、毛布で全身を覆われ救急車で搬送されたが、その後死亡が確認された。

 同7時を過ぎると完全に日が沈み、周囲は暗闇に。「足元に気を付けろ」「慎重に」。隊員らは互いに注意し合いながらヘッドランプや重機のライトを頼りに作業を続けていた。

 半壊した自宅に家財道具を取りに戻った田爪正剛さん(48)は「みんな自然が好きで、山々の風景が大好きな人たちばかりだった。その風景がこんなに変わってしまうなんて」と絶句。「地中のどこかに空間があって、助かればいいが。一刻も早く見つかってくれることを願うばかりだ」と肩を落とした。