ミシンを使えば15分で縫える。ウェアラブルな電子回路が刺繍で実現

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もうすぐお気に入りのTシャツがスマホ用のアンテナになる時代が来るかもしれません。

オハイオ州立大学(OSU)が、銀のワイヤーとミシン、そして特許取得済みの新技術で作ったのが、今流行りの「e-テキスタイル」刺繍アンテナです。

この高精度回路は装飾的なだけでなく機能的で、衣類に縫い込む電子部品としてはぴったり。同チームの初期のプロトタイプよりもだいぶ安く、早く、正確に作ることができるようになっています。この研究結果は「IEEE Antennas and Wireless Propagation Letters」ジャーナルで今週発表されたばかり。

「機械刺繍というすでによく知られた技術を用い、どうすれば刺繍の形を機能的にできるのかと自問しました。たとえば、どうすれば携帯電話やヘルスセンサーなどで使えるような、実用的な周波数で信号を送信できるのか、と」と研究共著者John Volakisは声明で記しています。


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画像:OSUのAsimina Kiourtiが高精度刺繍技術をデモンストレーションする様子


そう聞くとなんだか難しそうに聞こえますが、これは驚くほどシンプルな技術。ただミシンの糸を細いワイヤー繊維にしただけなんです。このワイヤー繊維は銅が純銀でコーティングされたもの。刺繍パターンのデータをミシンに読み込めば、あとは自動でミシンが縫ってくれます。ワイヤーの価格は0.3mが3セント(約3.3円)で、刺繍アンテナひとつを縫うのに必要なのは30円程度。工程にかかる時間15分で済むんです。

刺繍の形がこのアンテナにとって重要です。というのも、この形で周波数が決まるんだそう。「形が機能を決定します」と研究共著者Asimina Kiourti。「どんな用途にどんな形が必要になるのかわかりません。そのためどんな用途にどんな形でも刺繍できる技術が必要でした」


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伊藤潤二のマンガ「うずまき」に出てきそうな螺旋状の刺繍で作られたアンテナ(トップ画像)は、もし服などに縫い込まれれば、携帯の受信感度を高めるのに最適な周波数だそう。

上の画像、OSUのロゴの形の回路は、非導電の赤と灰色の糸と銀のワイヤーでできたもので、こちらは「e-テキスタイルが装飾性と実用性を兼ね備えていることを証明する実演」なのだそう。ほかにもブロードバンドアンテナ用として、何種類かの小さな格子状の幾何学模様があるもの(それぞれが別の周波数を発する)もあります。

このプロジェクトの次の段階では、小さなレシーバーやセンサーなどといった電子部品を組み込み、より幅広い機能性を持たせたいとしています。なおVolakisさん曰く「もっと大きなミシンが欲しいな」。


All images: Jo McCulty/Ohio State University)
source: Nanowerk News

Jennifer Ouellette - Gizmodo US[原文
(abcxyz)

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