【ソウル時事】長崎県対馬市の観音寺から2012年に盗まれ、韓国に運び込まれた県指定文化財の仏像「観世音菩薩坐像」について、「かつて所蔵していたが略奪された」と主張する韓国の寺が韓国政府を相手取り、仏像を引き渡すよう求める訴訟を中部・大田の地方裁判所に起こした。関係者が20日明らかにした。

 この寺は中部・瑞山にある浮石寺。関係者によると、仏像が日本に渡った経緯を調べた韓国文化財庁の書類から、14世紀に略奪された可能性が高いことが分かったという。このため、窃盗団から没収され、大田の国立文化財研究所に保管されている仏像の引き渡しを請求した。

 大田地裁は13年、観音寺が仏像を正当に取得したことが証明されるまで日本側への返還を差し止める仮処分を出している。