新入社員はなるべく朝早く出社するべき? 東大准教授の早出推奨記事に労働問題専門家から反論相次ぐ | ニコニコニュース

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4月も中旬を過ぎ、新入社員も会社に慣れてくるころだ。だが、中には、何時に出社すればいいか悩んでいる人もいるのではないだろうか。早く出社することを勧められる場合もあるが、時間通りに出社すれば問題ない。しかし、早出には「合理的な意味」があるそうだ。

東京大学准教授の中原淳氏が19日、Yahoo!個人に「『職場配属された新入社員が、朝なるはやで、出社したほうがいいよ』と言われる5つの理由!?」という記事を投稿した。

早出はOJTが上手くいっているという「政治的メッセージ」になる?

まず、早出をすると「OJTのための時間の融通」がつけられる。OJT指導員は自分の仕事もあるので忙しく、朝のうちに指導しておきたいのだという。また、早出をすると、出社してくる社員と挨拶を交わしたり、雑談に興じたりと「社会的接点を増やすことができる」ため、組織に馴染むスピードも速くなる。

さらに、新入社員が頼まれていないのに早出をすれば他者に仕事への熱意をアピールすることができ、「良質の仕事経験を呼び込む」ことにつながるとする。

また、早出はOJTの新入社員が「OJT指導の効果を伝える政治的メッセージを発すること」にもなる。早出をしていることはOJT指導員の上長も見ているため、先輩の評価があがる。そして、新人指導に熱が入るようになるため、新入社員本人にも利益があるというのだ。

中原氏は、第三者や組織から早出を強制されることは「単なる無給労働、法律違反」であると注記しており、あくまで新入社員本人の選択に任せるという考えのようだ。しかし、自発的に早出するよう促しているようにも読めるためか、物議を醸すこととなった。

POSSE今野氏「早く出ることが当たり前になっていれば、それは『労働時間』」

ブラック企業問題に取り組むNPO法人POSSE代表理事の今野晴貴氏は、ツイッターで記事を紹介し「疑問の多い記事」と指摘。早出した際に給与が出るかに触れられていないため、「始発で来てサービス労働しろ、ということにもなりかねない」というのだ。

今野氏は、「新入社員は朝早く来て、早く職場になじんだ方が良い」という考え方は「一般論としてはわかる」という。しかし、一般論が独り歩きし、「1時間前出社が当たり前」、「二時間前には必ず来ていろ」といった職場が多数あるそうだ。「早出が必要なのなら、きちんとした『ルール』にすべきだろう」と主張し、新入社員には早出の記録を取ることを推奨している。

「『新入社員は早く来て、無給で働いていろ!』。ほとんど部活のいじめといっしょ。ブラック企業ではよくある光景である。繰り返しになるが、早く出ることが当たり前になっていれば、それは『労働時間』である。給与が発生するので、記録をとっておき、辞める時に全額請求してほしい」

また、東京大学大学院教授の本田由紀氏も、ツイッターで「これはもちろん時間外労働として申請されるべき。そうでないと無償労働を推奨することになってしまう」と疑問を呈していた。

「30分以上前の早出で労基署から改善命令くらった」という投稿も

ただ、新入社員ははやく出社すべきという考えも根強いようだ。先月、朝時間.jpが発表した「『職場での朝時間』に関するアンケート」によれば、働く女性の27%が新入社員に30分以上前に出社してもらうことを望んでいるという。今回の中原氏の記事に関しても、ツイッターでは

「これは激しく同意。新人にこそこの記事を読んでほしいなぁ。今の若い人たちは朝早く出社なんかしないんだよねぇ」

という声があり、依然として新人早出信仰が根強いことがうかがえる。

だが、当然ではあるが早出も労働時間だということも忘れてはならない。「うちの会社はこれで労基署に改善命令くらって、始業30分以上前の労働行為は厳禁になった」という投稿も寄せられていた。

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