現地時間15時30分キックオフの試合に臨む香川(写真は2月) [写真]=Borussia Dortmund/Getty Images
サッカーキング

 ブンデスリーガ月曜開催はドイツのサッカー文化を壊しかねない? それともブンデスリーガを堪能できる日が増えるのはいいこと? そんな議論がドイツで巻き起こっている。  現在の同リーグキックオフ時間は現地時間で、金曜20時30分、土曜15時30分、土曜18時30分、日曜15時30分、そして日曜17時30分の5パターンある。しかし新たな放映権契約により2017-18シーズンからは、日曜17時30分キックオフを同18時へずらすだけでなく、日曜の13時30分と月曜20時30分に、年間それぞれ5試合ずつを開催する見通し。つまり、試合開催時刻が7パターンに膨れ上がるのだ。  ブンデスリーガ各クラブのサポーターグループやウルトラスをまとめる団体『ProFans』のアレックス・シュルツ氏は「試合開催日時の変更には反対だ。サッカーは週末に行われるべきだ」と話し、特に月曜のリーグ戦開催案を断固拒否している。だが、ブンデスリーガを運営するDFL(ドイツ・フットボールリーグ)のクリスティアン・ザイファート社長は「我々は孤島で生活をしているのではない。今回の新案は、ブンデスリーガの将来のためには避けて通れない基礎部分なんだ」とコメントし、ファンに理解を求めた。同社長が言う「ブンデスリーガの将来」とはもちろん、放映権料を高め、主にイングランドなど他国リーグとの収入格差を縮めることに他ならない。 [caption id="attachment_434646" align="aligncenter" width="600"] リーグ戦の週末開催を訴えるサポーター [写真]=Bongarts/Getty Images[/caption]  そこでドイツ紙『ビルト』は、同国中西部に拠点を置く世論調査会社『エムニド』にアンケートを依頼。すると、1年4カ月後から始まる予定のこの制度について、全国のサッカーファンが出した答えは、肯定派29パーセント、反対派37パーセント、どちらとも言えない人は34パーセントとなったという。  ちなみにこのアンケートだが、面白いことに回答者を女性に限ると、賛成派が36%で、反対派の30%を上回る結果となった。サッカーに熱中する彼氏や旦那を持つドイツ人女性たちは、「週末はパートナーを家に留まらせ、平日(月曜)に観戦へ行ってもらいたい」と考えているのかもしれない。  またキックオフ日時に関する質問では、半数の50パーセントが「現在の5パターンで満足」としており、昔のような「土曜15時30分に行う試合の数をもっと増やしてほしい」は18パーセント、そして2017-18シーズンから採用される新案と同じ「キックオフ時間をさらに多く分けてほしい」と考える人間は、たったの12パーセントだった。 [caption id="attachment_434648" align="aligncenter" width="600"] 数多くのサポーターで埋まるスタンド [写真]=Getty Images[/caption]  ただし『ビルト』紙によると、かつて“全試合土曜開催”から“土日分割開催”へ日程が変更された際にも、反対派が半数以上だったとのことで、同紙は「ファンがキックオフ日時変更に反対する理由は、単に“慣れていないから”という可能性もある」としている。  ブンデスリーガの国際競争力低下を危惧するDFLと、サッカー観戦文化を大切にしたいファンたち。どちらも根本は「ドイツサッカーを愛する者」であることに変わりはないだけに、双方が納得できる折衷案が見つかることを願うばかりである。 文=鈴木智貴