「ご高配」「拝承」など、難しい言葉を使いたがる人の心理 | ニコニコニュース

「ご高配」「拝承」など、難しい言葉を使いたがる人の心理
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ビジネスメールや文書には、「小職」「ご高配」「拝承」など、友達同士のメールでは見ない難しい言葉が並ぶことがある。だがその使い方も一歩誤ると相手に誤解を与えかねない。「教えて!goo」を見てみても「ヒラ社員なのに『小職』、注意すべき?」という投稿が寄せられており、質問者は同僚の言葉使いの誤りについて、指摘すべきかどうか悩んでいるようだ。

これに対し、「そのような明らかにわかる間違いについては、その場で指摘してあげる方が宜しいかと。相手の方がどう思うかは別として」(noname#9144さん)や「私の場合、気になったときは一応辞書等で確認の上本人に柔らかく伝えます。社内の人間関係も大事ですが、仕事である以上お客様の応対をきちんとしないと、会社そのものの印象が悪くなりますしね」(kyoumiariさん)という意見が寄せられていた。

相手との関係性を考えつつも、対外的な影響も考えて注意する人が多いようだが、そもそもとしてなぜ、このような難しい言葉を使うのだろうか。堅い言い回しを好む人の心理について、心理学者の内藤誼人先生に聞いた。

■定型文を使う人の心理

メールなどで、わざわざ堅い言い回しを使う人の心理とはどういうものなのだろうか。

「『杓子定規から外れると失礼な人だと思われてしまうのではないか』という不安を抱えている人が、難しい言葉を使った定型的な表現を使う傾向があります」(内藤先生)

心理学的に見ると、相手に失礼にならないか、間違いにならないかという不安から難しい言葉も含め、定型的な表現を使うと内藤先生は指摘する。でもこれはある意味、非常に真面目な人であるということにならないか。

「そうです。真面目な人が多いようですね。基本的に不安を抱えている『基礎不安』の強い人は、相手と一定の距離を保ちたいと考えるものです。そのために、定型的な言い回しを使うようです」(内藤先生)

やはり距離感や壁のキーワードは「不安」のようだ。

■堅い文章の効果

では、ビジネスの場などでこうした人を相手にした時、こちらも同様の表現を使うほうがよいのだろうか。

「無理に相手に合わせる必要はないでしょう。考え方次第ですが、ある程度くだけないと人間関係は深くならないものです。親しみを感じる文面の方が自分自身が好きであるならば、多少くだけた感じの表現で問題ないと思います」(内藤先生)

堅い文面を送ってくる相手にくだけたメールを送ると、失礼な人だと思われないか心配になる。だが内藤先生によると、必ずしもそうではないことが判明した。

「ちなみに、離婚調停中の夫婦は互いに敬語で話すことが多いようです。これは夫婦の距離が離れている証拠だと考えることができます」(内藤先生)

仲がよかった夫婦も、関係が破たんに近づくにつれ他人行儀な敬語で話すようになる……。何とも寂しいものだ。

何はともあれ、ビジネスメールの表現で悩んでいる人がいたら、ぜひ上記を参考にしてみてはいかがだろうか。

●専門家プロフィール:内藤 誼人


心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。「すごい!モテ方」(廣済堂)、「ヤバい出世学」(大和書房)他、著書多数。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)