コアなファンが多い? サブカル好きにおすすめの漫画10選 | ニコニコニュース

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よくある少女漫画や人気の少年漫画では物足りない人におすすめなのが、ちょっと変わった人間模様やポップカルチャー以外のマイナーカルチャーを扱った作品。いわゆるサブカル的な要素が強く、王道作品とは違ったおもしろさがあります。今回はそんなサブカル好きにおすすめできるマンガ作品を10選ご紹介します。

■殺し屋1:山本英夫

週刊ヤングサンデーに掲載された殺し屋1、サブカル界で圧倒的な指示を持たれている三池崇史監督により映画化されましたが、もちろんR-18指定。かなりグロい描写も多いのですが、なぜか切ない漫画として読むことができます。「ジジイ」というやくざのようなグループと「垣原」率いる暴力団である安正組との戦いがメインのストーリーです。物語が展開する場所は東京・新宿歌舞伎町の街です。かなり精巧に描かれており、実際にあるマンションやビルなどが登場します。本作の主人公は「イチ」、城石一(しろいしはじめ)という本名の22際です。普段は工場勤務をしていますが、過去のいじめによるトラウマにより、殺しの相手とそのいじめをした人が重なることにより殺人マシーンとなります。

鉄骨仕込みの靴のかかとには仕込み刃があり、主にその刃により簡単に人を切り裂き殺す殺人方法をとります。トラウマから、人を傷つけること、殺すことにより性的興奮を覚える潜在的なサディストでもあります。またライバルとなる垣原はイチとは対照的なマゾヒスト、この対比が物語の深みを出しています。登場人物のほとんどが暴力的で、慈愛など全くないイカれたキャラクターであり、なかなか救いようのない漫画ですが、過去やトラウマ、どうしようもない現実、など人の愚かさがにじみ出ていることがどこか悲しく感じる、暴力的なのに不思議な漫画です。確実に閲覧注意なシーンもあるのでお気をつけ下さい。

作者:山本英夫
出版社:小学館
掲載誌:週刊ヤングサンデー
連載開始:1998年
巻数:全10巻

■ねじ式:つげ義春

1968年に発表された、つげ義春の代表作です。腕にケガをし、静脈が切れた状態の主人公が医師を探しさまようことから物語が始まります。 あまりにもセンセーショナルすぎて、芸術、映画、絵画様々なものに影響を与えた作品と言われています。つげ義春は鬼太郎の著者である水木しげるの仕事を手伝っていたという過去を知っている人はどれくらいいるのでしょうか? その時に見た夢の内容を元に描かれた、精密にストーリーを描く現代の漫画とはかけ離れた作風です。作風がとてもシュールで、正直意味不明なところも多々あるのですが、逆にそれが読者の想像力を高めます。深読みをし、何か大きな意味をそこに見いだそうと試みたという現象もおきていますが、作者自身はその現象を否定し、セリフや情景描写にも意識をしていた、と言っています。話を読み終えても、そこに何かのこることはなく、不思議な感覚で終わってしまいます。

意味を考える、物語を考察するなどということは一切存在せず、ただ妙にリアルに感じるシーンも多々ありますが、ただ読むということをおすすめします。読み終わった後には「なんだこれ?」という感覚とともに「でももう一回読みたい」という気持ちになります。映画になっていたり、他の漫画でもパロディをされていたり、この独特の世界観は多くのアーティストに影響を与えているといえます。

作者:つげ義春
出版社:青林堂
掲載誌:月刊漫画ガロ
連載開始:1968年6月
話数:全1話

■多重人格探偵サイコ:原作大塚英志、作画田島昭宇

多重人格探偵サイコ MPD PSYCHOは原作大塚英志、作画田島昭宇によるかなりショッキングな内容の漫画です。主人公である小林洋介の恋人が手足を切断された状態で宅急便で届けられるというすごいシチュエーションから始まります。じつはこの時点で角川書店の役員が印刷機をとめ、連載が延期になったそうです。数県では有害図書としても指定されており、納得せざるをえない残虐な描写が特徴です。

まず、田島照宇の絵は天才的です。どの絵も細い線でかなりリアルに書かれた人物、そして明暗のコントラストがより絵を浮き出すような素晴らしいコントラストとなり、白と黒のはずの漫画がとても躍動感に満ちています。しかし物語ではその残虐さをピックアップされることの多い漫画ですが、ストーリーはかなり綿密に複雑な展開を見せます。タイトルの通り、主人公は多重人格です。過去の雨宮診療所でおこった事件を機として、主人公の中にはさまざまな人格が存在します。

警察官、探偵、凶暴な殺人鬼キャラクターなど、読んでいて「今、誰?」となるくらいに複雑です。そしてもうひとつ特徴的なのが宗教が絡んでくるということです。カルト宗教が全ての殺人事件の元となる展開の複雑さは何度も読み直してしまいます。そして世界的な組織との関わりなど日本を飛び出たストーリー展開にグロさを忘れてドキドキしっぱなしです。複雑に入り組んだストーリーが好きな人におすすめです。

原作:大塚英志
作画: 田島昭宇
出版社:角川書店
掲載誌:月刊少年エース→ コミックチャージ→ ヤングエース
連載開始:1997年2月
巻数: 既刊22巻(2015年7月時点)

■累 -かさね-:松浦だるま

イブニングに連載をされていた松浦だるまのデビュー作です。「伝説の女優」であった故人・淵 透世の娘・淵 累(ふち かさね)は、母と似ていない、醜い顔をしていました。それにより周囲の人間からはいじめを受けています。それなのにも関わらず、小学校の学芸会の演劇でシンデレラ役に選ばれてしまいます。 本番途中に役をおろされ、生前の母の言葉を思い出します。母の口紅を塗り、学校の美少女であり、いじめの首謀者である西沢イチカに口づけをします。するとイチカの顔を手に入れることができました。顔を入れ替えることのできる口紅を持って、イチカの顔をした累は舞台で大喝采を浴びることになります。そして舞台は芸能界へと移っていきます。

美しさへの執着と舞台で喝采を浴びる快感に取り付かれた女優たちの思いが錯綜する、毎巻目の離せない展開となっています。累の母親にも秘密があります。これはぜひ漫画を読んでほしいのですが、その秘密を累が受け継いでいく、というストーリーは恐ろしく、とても悲しいものに感じることができます。どろどろとした欲望がまざまざと描かれている漫画です。そして著者の絵の力もとてもすばらしいです。美しい女性を描くシーンもあれば、欲望にまみれた鬼気迫る女性のグロさを感じる表情などみていてぞくぞくするものがあります。

作者:松浦だるま
出版社:講談社
掲載誌:イブニング
連載開始:2013年
巻数:7巻(2015年11月20日現在)

■失踪日記2 アル中病棟:吾妻ひでお

2005年に発売された吾妻ひでおの漫画「失踪日記」の続編の漫画です。失踪日記では「夜を歩く」「街を歩く」「アル中病棟」の3つのエピソードが収録されています。「夜を歩く」では仕事を放り出し、行方不明になる、首つり自殺に失敗しホームレスとなるが、警察に捕まり終了します。「街を歩く」ではまた失踪をし、ホームレスになり、配管工になり、社内報に漫画を採用されるという事態にまでなる、破天荒を現実に行っています。そして「アル中病棟」では家族に強制的に入院をさせられた入院中の様子をリアルに伝えています。

その続編としての「失踪日記2アル中病棟」は先述したようなホームレスや自殺未遂などの重いテーマもギャグタッチの漫画なので、さくさくと読めてしまいます。しかし内容はかなり実際に重いです。薬を服用し、アルコールを摂取すると気分が悪くなり、睡眠障害、鬱などの障害がでています。完治の難しいアル中のリアルな様子が知りたい人にはぜひ読んでください。おもしろいのに怖い、という不思議な感覚に陥ります。

そしてこの漫画のおもしろさは本人以外ではなく、まわりの人間をとてもコミカルに描いているところです。リーダーがいたり、ケンカばかりする人、暗い人、うつうつしている人、など、筆者の視点で自分の友だち?! というくらいわかりやすく描写されているのも漫画にのめり込む要素の一つです。

作者:吾妻ひでお
出版社:イースト・プレス ※描きおろし

■おろち:楳図かずお

日本のホラー漫画界の大御所楳図かずおの作品です。本作の他にも「まことちゃん」「漂流教室」などの有名作品があります。この「おろち」は独特の世界観が魅力です。謎の美少女「おろち」が悲壮な運命に翻弄される人を見つめていく、もしくはその運命に介入していくというストーリーです。9つのストーリーがあり、たとえば「姉妹」では18歳を迎えると醜くなっていく、という血筋に生まれた美人姉妹の物語をおろちが見つめています。女性の生まれながらにもち美への執念と、その執着から見えてくる人間の愚かさ、など、人の心の奥底にある怖さをいうのがぞっとします。おろちはただ冷静沈着に人の人生を見ています。おろちは不思議な能力を持っている、普通の人間とは違うという点では人間味があまりありません。

不老不死であり、ずっと美しいままのおろちは念動力を使うこともでき、その力をもって、人の人生に介入し、手助けしたり、状況を変えたり、ということを行っていきます。少しずつおろちの感情の動きが見えてくる、というのもおもしろい点です。美しく、冷静なおろちがなんだかかわいく見えるシーンもあるのが読んでいて楽しみになります。おろちは映画化もされています。「姉妹」と「血」の2編を基にしたストーリーを映像化されとても不思議な世界観が再現されています。

作者:楳図かずお
出版社:小学館
掲載誌:週刊少年サンデー
連載開始:1969年
巻数:全4巻

■にこたま:渡辺ペコ

主人公のあっちゃん(温子)には交際歴9年、同棲5年の恋人コーヘー(晃平)ですが、なかなか結婚のきっかけをつかめないまま、楽しく仲良く過ごしていました。「いつかコーヘーと結婚とかするのかなぁ」なんてぼんやり考えていたある日、コーヘーから衝撃の「俺、子ども出来た」。そこから物語は展開を始めます。アラサー未婚カップルの恋愛事情が生々しい漫画です。長い春を過ごしてしまったカップルの彼氏が「俺、子ども出来た」と突然告白をする……もう修羅場です。あっちゃんが冷静になりたいと思いつつも、感情のままにうつになっていく、本気でブチキレする、など感情を爆発させる姿は女性には共感できるのではないでしょうか。

なんとなく結婚が人生の目標のようになって、「自分もいつかは結婚するのかなー」なんて思いながら毎日を過ごしているアラサー女性はとても多いと思います。結婚して家族を作る、当たり前のことのように思えるのですが、それが意外にも難しく、なかなか手に入れることができないものだという現実を少しずつ理解してしまう、悲しさや切なさも感じます。優しいタッチの漫画なので、内容の濃さはあまり想像ができません。しかし、この絵だからこそ人間らしさやセリフの重さ、深さをより感じることのできる奥深い漫画です。

作者:渡辺 ペコ
出版社:講談社
掲載誌:モーニング・ツー

■ストロベリーショートケイクス:魚喃キリコ

映画化されていたので、タイトルだけでもご存知の方はいるかもしれません。デリヘル店の電話番をしている里子は恋を待ちこがれ、毎日を淡々と過ごしていました。そんな里子になぜか憧れるデリヘル嬢の秋代や同級生の菊池に恋をしながらも告白までは至っていない状態のままです。OLちひろ、イラストレーターの塔子はシェアハウスをしている2人。4人の女性を中心に物語が進んでいきます。線が細めに描かれた画風が、女性のはかなさやむなしさをあっさりと表現しつつ、ストーリーを邪魔しないのが特徴です。4人の女性が恋愛、仕事、友情などに悩みながらももがく、そして結局成長できないもどかしさも異様にリアルです。

この4人の女性はみんな違うように見えて、どれも読者の中にいる性格にどこか似ているところがあります。ちひろのかわいらしく愛想がいいけれど嫉妬深い欲望も多いところや、塔子のように仕事はうまくいっているが、内面がめちゃめちゃ脆い部分など……。秋代はさばさば系女子、里子は一緒にいて安心できるタイプ、なぜかほっとさせてくれるキャラクターです。各キャラクターは女性なら誰でも持っている要素を大きく全面に出して、4人に分けたという印象。ハッピーに進む話ではありませんが、それがリアルに共感できるのではないでしょうか。「あるある」と思う事間違いなしです。

作者:魚喃キリコ
出版社:祥伝社
掲載誌:FEEL YOUNG
連載開始:2002年12月

■さよならみどりちゃん:南Q太

主人公・夕張ゆうこはまじめなOLです。好きな男ユタカにすすめられてホステスのバイトを始めるのですが、そこからずるずると怠惰な生活を過ごしていきます。 ゆうこが切ない、とにかく切ないです。ユタカはずるい男、だめんずとして描かれています。浮気もするし、ホステスで働かせるし、最低な男なのです。悪びれたり、隠したりすることを本当にしない、素でだめな男ですが、ゆうこは大好きです。ユタカもかならずゆうこのところに帰ってきます。そうなるとゆうこはユタカのことを拒否することができません。そしてずるずると二人の生活が続いていきます。

寂しいのと、好きだという気持ちと、何かを期待してしまう気持ちで諦めきれない女の悲しい性を感じることができます。仕事についての諦めの悪さは最高武器ですが恋愛において諦めが悪いことは致命的です。その時点で敗者確定だからです。それでもいいからユタカのことが好き、というゆうこのまっすぐさに脱帽です。

作者:南Q太
出版社:祥伝社
掲載誌:FEEL YOUNG
連載開始:1996年9月
巻数:1巻

■パーマネント野ばら:西原理恵子

港町に「パーマネント野ばら」という美容院があります。ここは女の懺悔室。港町に住む悩みを持った女たちが毎日毎日訪れてきます。恋にまつわる小さな嘘、大きな嘘、またその過去の記憶や男を思う心を懺悔していく日々を描いています。主人公のなおこは子持ちの出戻りで母親の美容院を手伝っています。懺悔室といってもかわいいものではありません。フィリプンパブを経営しながら男に金を吸い上げられる、彼氏がだいたいDV男、薬物中毒、女に刺される男、男に裏切られても、懲りずに男のはまる女、もうダメ人間の連発です。

西原理恵子の作品には母性が溢れていることが特徴です。「毎日かあさん」「ぼくんち」で見える母性を懺悔室の中で、その話に対して優しく見守るという母性をいかんなく発揮されています。ギャグマンガまでのぎりぎりのラインにたち、悲壮な懺悔さえも笑いに変え、心を軽くするような、また明日もがんばろうかな、と少しは前を向くことができるような不思議な明るさがにじみ出ています。男と女はいつまでたっても男と女です。しかし男だけでは幸せにはなれません、みんな幸せになろうと思って女とも寄り添いあって助け合って前向きに生きてみようとする、という様子がとても気持ちのよい作品です。

作者:西原理恵子
出版社:新潮社
掲載誌:新潮45
連載開始:2004年1月
巻数:1巻

サブカルチャーといっても、その主人公や登場人物たちは不思議な存在に見えるだけで、じつはあなたの中やあなたのまわりにも確実にいるキャラクターたちだということは間違いありません。「わかるわかる」とついうなずきたくなるようなシーンを多くみつけてしまうと、もうサブカル漫画の中毒になりかけています。思いっきり浸ってください。