新たな手口、警戒追い付かず=再び標的の「ソフトターゲット」―仏 | ニコニコニュース

 【パリ時事】フランス南部ニースで14日起きたテロは、群衆の中にトラックが猛スピードで突っ込みながら発砲し、逃げ場のない市民を無差別に大量殺傷するという新たな形態で実行された。パリで昨年相次いだ風刺紙襲撃や同時テロは、重武装した複数のテロリストが銃器や爆発物を使う手口。今回の攻撃はフランスが対策を強化していた従来型テロとは異なる犯行と言え、仏当局に衝撃を与えている。

 ニースの事件の犯行声明は出ていないが、市民が大勢集まり、警備も比較的緩い「ソフトターゲット」を狙うのは、過激派組織「イスラム国」(IS)の典型的な攻撃手口だ。130人が死亡した昨年11月のパリ同時テロをはじめ、49人が死亡した米フロリダ州のナイトクラブでの銃乱射、日本人7人を含む人質20人が殺害されたバングラデシュの飲食店襲撃など、今年に入ってISが犯行を主張しているテロがその最たる例だ。

 仏メディアによると、ISの広報担当アドナニ容疑者とみられる人物は2014年9月、ビデオ映像で戦闘員らに「爆弾や銃弾が使えないなら、フランスや米国の背教者に対し、石で頭蓋骨を砕き、刃物で刺し、断崖から突き落とし、自動車でひき殺せ」と手段を問わずに殺害するよう訴えた。「誰にも相談せず、ファトワ(宗教令)も待つな」という同容疑者の呼び掛けが、世界中で「ホームグロウン(国産)」型テロの頻発につながっているとの懸念は根強い。

 ISは、空爆などで活動拠点のシリアやイラクで劣勢となり、志願する外国人戦闘員の数も減少していると伝えられる。組織の弱体化が進んでいることも念頭に、フランスの国内治安総局(DGSI)のカルバル長官は今年5月、「必ずしも戦闘員が死なずに自らの犠牲を避けつつ、最大限の被害を生み出すテロを仕掛けてくる可能性がある」と指摘。仏国内で今回のような新たな手段のテロ攻撃への警戒感を強めていたさなかの惨事となった。