NVIDIAが国内提供開始のクラウドゲームサービス「GRID Game Streaming Service」にさっそく接続してみた

先だってお伝えしている

とおり,2015年3月12日,NVIDIAによるクラウドゲームサービス「

GRID Game Streaming Service

」(GRIDゲームストリーミングサービス,以下 GRIDゲームストリーミング)の国内向けサービスが始まった。これは,「

SHIELD Tablet

」から,東京に置かれたNVIDIA GRIDサーバーへ接続すると,

提供されているPCゲームをリモートでプレイできる

というものだ。

 現在はテスト期間となっており,6月30日まで,提供されているゲームをすべて無料でプレイできる。そんなGRIDゲームストリーミングの国内サーバーに接続して,さっそく体験してみたので,ファーストインプレッション的に使い勝手をレポートしてみたい。

必要な機材と環境は?

 まずは,GRIDゲームストリーミングの利用に必要な機材と環境を以下のとおりまとめておきたい。

  1. SHIELD PortableまたはSHIELD Tablet
  2. 最新版の「SHIELD Hub」
  3. 下り帯域幅が10Mbps以上のインターネット接続環境(※30Mbps以上推奨)
  4. 自宅ネットワークからGRID Serverまでのpingが60ms以下であること
  5. NVIDIAが「GameStream-Ready」を確認した,5GHz帯対応のWi-Fiルーター

 サービス開始となる3月12日現在,国内でSHIELD Portableは正規流通していないので,事実上,日本におけるGRIDゲームストリーミング端末はSHIELD Tablet“一択”となる。

 2.のSHIELD Hubは,SHIELD Tabletにプリインストールされているゲームランチャー的なアプリなので,SHIELD Tabletを持っているなら,Google Playから最新版へアップデートしておけばOKということになる。

 3.〜5.はいずれもネットワーク関連の要件だが,3.と4.は環境を整えてもらうとして,問題は5.である。そもそも日本ではサービスが始まったばかりということもあり,国内で入手できる「GameStream-ReadyなWi-Fiルーター」は,まだ発表されていない。

 ただ,詳細は後述するが,GRIDゲームストリーミングでは初回接続時に「接続テスト」が実行され,ネットワーク環境が要件を満たしているかどうかをチェックしてくれるようになっていることと,NVIDIAによれば,「2.4GHz帯を使うWi-Fi接続だと,そこでNGになることが多い」そうなので,GameStream-Readyにこだわるかどうかは別にして,

5GHz帯での接続は必須

と考えておいたほうがいいだろう。

 そこで,今回4Gamerでは,「北米市場向け展開され,GameStream-Readyになっているのと,ほぼ同じ仕様の製品が日本でも販売されており,日本チームで検証したところ,問題なく動作することを確認できた」(NVIDIA)というバッファロー製のIEEE 802.11ac対応ルーター「WZR-1750DHP2」を使っている。ただ,とりあえず接続テストを実行するだけならコストもかからないので,SHIELD Tabletのユーザーは,ひとまず手持ちの環境で接続テストを行ってみることを勧めたい。

GRIDゲームストリーミングに接続するまでの手順

 では接続までの流れを見ていこう。

 当然のことながら,最初にすべきことはSHIELD Hubの実行だ。そのうえで,左ペインのメニューから「GRIDゲーム」をタップし,画面上に現れる[ログイン]ボタンをタップすることになる。

 すると,下の画面のような画面が表れ,ログインを求められる。

 ログインに利用できるのは,「Googleアカウント」と「NVIDIAアカウント」のいずれか。[Googleアカウントでログイン]をタップすると,GoogleのOpenID Connectを使ってSHIELD Tabletに登録しているGoogleアカウントでログインできる。NVIDIAアカウントの登録が面倒だという人はこちらをタップしてしまえばいい。

 一方,GRIDゲームストリーミング用に独自のNVIDIAアカウントを作って,それでログインしたいときには[アカウントの作成]ボタンをタップすることになる。

 下に示したのは,ボタンを押した後で表示されるアカウント登録画面だ。メールアドレスとパスワード,表示名(ニックネーム),生年月日を入力し,「利用規約に同意する」の「同意する」から飛べるリンク先に表示される英文の規約に目を通してからチェックを入れて,最後に[アカウントの作成]をタップすればアカウントを作成可能だ。

 なお,なお,表示名が使用済みの場合は警告マークが現れるので,警告が出ない表示名を考えて入力しよう。

 さて,Googleアカウントでのログインに成功する,もしくはNVIDIAアカウントが正常に作成されると,今度は,英文の「NVIDIA GRID使用許諾契約書」(英文)が表示される。目を通しつつ下までスクロールさせると[同意する]をタップできるようになる,よくある仕様だ。

 すると,前述の接続テストが実行される。所要時間は1〜2分なので,気長に待とう。

 テストが終わって,とくに問題がなければ,下のような画面が出る。これで準備完了だ。

ネットワーク要件を満たせない場合

 では,ネットワーク要件を満たさない場合はどうなるだろうか。別途,2.4GHz帯のIEEE 802.11n対応Wi-FiルーターにSHIELD Tabletを接続してみたところ,見事に(?)「Wi-Fiエラー」が表示された。

 どうしてエラーになったのかは「詳細を表示」をタップすると分かる。それによると,今回のテスト条件では,帯域幅やフレームロスは問題ないよがジッター(揺らぎのこと)やPingが要件を満たさないと表示された。4Gamerの

小西利明

も「WiMAX 2+ルーターで試してみたところ,ジッターの要件を満たさないと言われた」と述べていたので,やはり2.4GHzの接続では要件を満たさない場合が多いらしい。

 接続テストでエラーになっても「続行」をタップすることでGRIDのゲームを試すことはできる。だが,快適にプレイできる保証はない。こうなったら,接続方法を変えるなり,ルーターの設置場所や買い換えを検討するなりといった対策が必要になるだろう。

 なお,GRIDゲームストリーミングの接続テストは,接続方法を変えるなどしたときに手動で再実行できる。SHIELD Hubの左ペインから「設定」→「GRID」と進み,「サービスの場所」から[接続をテスト]ボタンを押せばOKだ。

スタート初日は41タイトルがプレイ可能

 エラーの話が長くなったが,ネットワーク環境さえ問題なければ,総所要時間は10分もかからない。そして,ここまでくると,GRIDゲームストリーミングを本格的に楽しめるようになる。今後,商用の有償サービスが始まったときにどうなるかは分からないが,少なくともGRIDゲームストリーミング開始時点では,「GRIDゲーム」の一覧に表示されている中から遊びたいゲームをタップするだけで,ゲームをプレイ可能だった。

 執筆時点のタイトル数は

41本

とかなり多い。また,北米市場では「#GRIDTuesday」として,プレイできるタイトルが毎週火曜日に追加されていっているそうなので,おそらく日本でも今後,それに合わせて増えていくのではなかろうか。

 ちなみに,このとき,メーカーオプションである別売りのワイヤレスゲームパッド「

SHIELD Wireless Controller

」が接続されていないと,タッチパネル上に仮想ゲームパッドが表示される「仮想コントロールの起動」画面が表れる。この画面で[OK]をタップすればSHIELD Wireless Controllerがなくてもプレイできるようになるが,正直,とてつもなくプレイしづらい。本稿の冒頭に挙げた要件からは漏れているものの,GRIDゲームストリーミングにSHIELD Wireless Controllerはほぼ必須と理解しておいたほうがいい。

 ゲームの起動にかかる時間は,ざっくり2〜3分程度。タイトルによる差はあまりないようで,どちらかというとGRID Server側の事情が起動時間を左右しているのではないかと思われる。初日に試している限りでは起動時間が2分を切ることがなく,はっきり言って起動の待ち時間はかなり長い。GRID Server側でゲームの仮想マシンを起動するのに時間がかかるためだろうか。

 NVIDIAは,インストールの手間なしにPCゲームのプレイが可能というのをアピールポイントにしているが,毎回2分も待たされるのは,けっこうなストレスだと思う。

 ただ,ひとたび起動してしまえば,画面サイズを除き,PCでゲームをプレイしているのと違いをあまりない印象だ。筆者は取り急ぎ,「GRID 2」を起動し,プレイしてみたのだが,解像度は1280×720ドットで,画面の動きはスムーズに見える。クラウドゲームで問題になりやすい表示遅延や入力遅延も,少なくともぱっとGRID 2を実行した限りでは感じない。

 本来,GRIDゲームストリーミングは60fpsサポートのはずなのに,フレームレートが30fpsしか出ていない点は気になったが,「この問題は認識していて,現在,対応に向けて本社と協議中」(NVIDIA)とのことである。

 今回は,画面の動きが派手で,また,遅延も分かりやすいのではないかということと,“GRIDつながり”でGRID 2を選択してみたのだが,実のところ,撮影のためにカメラの設置を優先し,少し離れたところからプレイしてみると,操作しづらいことこのうえない。なので,プレイ自体はボロボロで,「画面から一定の距離を保ってプレイする」場合は,SHIELD Tabletの画面に表示させるのではなく,「コンソールモード」を使って,テレビにHDMI出力したほうがいいのではないか,といったコメントを言い訳代わりに書き記しておこうと思うが,少なくとも,画面の動きが滑らかということは,分かってもらえるのではないかと思う。

日本語タイトルはまだまだこれから

 日本語でプレイできるタイトルがどれだけあるのか気になる読者もいるだろう。結論から言うと,初日でプレイできる全41タイトル中,日本語に対応しているのは下記3タイトルのみだった。

  • PixelJunk Monsters Ultimate
  • PixelJunk Shooter
  • REVOLVER360 RE:ACTOR

 3タイトルでは,ゲーム内のメニューで言語を日本語に切り替えられるようになっていた。下に示したのスクリーンショットは,横スクロールシューティングである「

REVOLVER360 RE:ACTOR

」で日本語に切り替えているところだ。

 NVIDIAによれば,Steam版で日本語が用意されているタイトルは,今後予定されているGRIDゲームストリーミングのアップデートで,日本語対応になる可能性があるとのこと。また,今後は,配信開始時点から日本語対応になるタイトルが出てくる可能性もあるという。

 初日の体感では,「とりあえず過不足なく動くようになりました」といったところで,タイトルの日本語化や,日本語でのエンドユーザー向け情報提供,そして日本における商用サービスの開始時期など,ロードマップ的に分からないことが多い。

 ただ,いますぐ体験できること,これ自体は歓迎すべきだろう。まずは日本語対応タイトルの充実に期待しつつ,SHIELD Tabletユーザーは,一度つないでみてはどうだろうか。

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NVIDIAのSHIELD公式ページ(英語)