『E.T.』『スタンド・バイ・ミー』好きにはたまらない! Netflix無料お試し期間中に見るべき3作 | ニコニコニュース

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』
日刊サイゾー

 次から次へと新作が上陸してくる海外ドラマ。前回は、数あるドラマの中から何を見るか、迷った時のとっかかりとして最新ドラマを紹介したが、現在の海外ドラマ市場において外せないのが、配信サービスのドラマ群だ。日本にも複数のサービスが登場しているが、海外ドラマファン的にまずチェックしておきたいのは、Netflix、Amazon、Huluの3大配信サービス。どれか1つでも押さえておけば、海外ドラマライフはかなり充実するはずだ。

 配信サービスのうれしいポイントは、どのサービスも、無料のお試し期間があること。そこで、無料お試し期間中にトライできるオススメのドラマを、サービス別にご紹介! 第1弾は、急速に配信市場を活気づけたNetflix編だ。

 Netflixの海外ドラマ的ポイントは、とにかくオリジナルコンテンツが群を抜いて多いこと。以前紹介した『ハウス・オブ・カード』や『ザ・クラウン』といった賞レースに絡むような力作から、『The OA』のような珍品不思議系まで、そのジャンルは多岐にわたる。とにかく新作が多いのでどれをチョイスするか迷ってしまうところだが、マーケティングでユーザーの好みをドラマ制作に反映していくNetflixだけに、はやりのジャンルもしっかりと押さえている。『ウォーキング・デッド』の成功によって、エンタメ界ではすっかりゾンビ物の人気がメジャーになったが、そこで登場したのが、先月配信開始されたばかりの『サンタクラリータ・ダイエット』だ。


■『サンタクラリータ・ダイエット』

 ドリュー・バリモアとティモシー・オリファントという映画界で活躍してきた2人が夫婦役となり、突然ゾンビになってしまった妻と、それに戸惑いながらも妻をフォローしていく夫の悲喜こもごもを痛烈にブラックな笑いで描くゾンビ・コメディだ。コメディだけあってゾンビ・アポカリプスもののような悲壮感は皆無で、終始一貫、とにかくあっけらかんとした雰囲気。ドリュー演じる妻シーラはゾンビになったといっても、人肉(しかもフレッシュな)を欲しがるようになった以外は生前通りのせいか、あっさりと状況を受け入れている。良くも悪くもおおらかとぶっ飛んだキャラクターは、ドリューのハマり役だ。一方、ティモシー演じる夫ジョエルは、どんどん悪化していく状況を家族愛で乗り越えようと奮闘するも、妻の尻拭いでかなりヤバい橋を渡るハメに。

 そんな夫婦の一人娘アビーは、母親の変質を案外クールに受け入れる。ゾンビになって(食生活以外は)普通の日常を送るこの一家の様子は紛う方なきファミリー・ドラマだが、そこはゾンビ・ドラマ。ホラーのような怖さはないが、かなりグロ描写は多い。そもそもゾンビになる過程が、いろいろな意味で想像を絶するものだったりする。妻がゾンビになった一家の行く末は予想外の方向に進み、笑いながらも、その先の読めない展開にハマること必至だ。


■『ストレンジャー・シングス 未知の世界』

 先の読めない意外性のあるドラマというのは、現在の海外ドラマでは特に重視されるポイントのひとつ。そうしたドラマの中でもオススメの秀作が『ストレンジャー・シングス 未知の世界』だ。インディアナ州の田舎町に住む12歳の少年ウィルが突如失踪したことから始まるミステリーを描く本作は、昨年ドラマ界でも話題になった注目の作品だ。物語はウィルの失踪と時を同じくして謎の少女が町に現れ、ウィルを捜していた友人のマイク、ダスティン、ルーカスは、ひょんなことから出会ったその少女を、こっそりかくまうことになる。少年たちはエルと呼ぶようになった少女と過ごすうち、彼女に不思議な力があることを知る。一方、ウィルの母ジョイスは必死にウィルを捜すうち、家の中に彼の存在を感じるようになるが……。

 失踪したウィルの行方、エルの能力の真実、そして怪しい研究所など、ミステリーとして十分な魅力が詰まっている本作。だが、なんといってもこのドラマが傑作なのは、全編から立ち上る、そのジュブナイル感! マイクら少年たちとエルの、ウィルを捜す大冒険が、もう大人世代にはまぶしすぎる。ドラマは80年代が舞台ということで、『E.T.』や『スタンド・バイ・ミー』『グーニーズ』といった当時の名作映画へのオマージュが満載で、映画好きはもちろん、あの頃のピュアな気持ちを取り戻したい人にも全力でオススメできる1作だ。


■『トラベラーズ』

限られたお試し期間の中で、難しいことを考えずに、サクッとドラマを楽しみたいという人にピッタリなのが『トラベラーズ』だ。本作は滅亡の危機に瀕した未来から人類を救うため、現代にタイムトラベルした人々を描くSFエンタテインメント作品。タイムトラベルといっても生身の体で時間移動するわけではなく、未来の技術によって、もともと死ぬ予定の人の意識に入り込み、死を回避するというもの。その人物は未来のデータを元に死亡予定時刻を算出してランダムに選ばれているのだが、滅亡の危機に瀕した世界に残されているデータがそもそも完璧なものではないどころか、ソースがSNSだったりするトンデモ展開。そのため脳障害を持った人間に意識を移し、その変貌ぶりで周囲を驚かせたりと、いい具合にツッコミどころが配置されている。

 タイムトラベルものの多くは過去を変えてはいけないというのがお約束だが、このドラマは過去を変えるためにあるので、それも問題なし。トラベラーズたちは結構な数、意識を飛ばしてやってきているようだが、中には現代の自由を謳歌しようとする者も。彼らに命令を下すのは、人工知能の司令官。ドラマは、物語が進むにつれ、それに危機感を抱く反対派の存在が浮上し、地球の危機を救うどころか、内部抗争へと発展。ストーリーは果たしてどこに向かうのか、続きが気になるのは間違いない。

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 今回はオリジナル作品からチョイスしたが、実は日本初上陸のドラマも豊富なNetflix。以前紹介した『サバイバー 宿命の大統領』だけでなく、『ザ・シューター』や『ジ・アメリカンズ』など、Netflixでしか見られない独占配信のドラマも要注目だ。


●まくた・ちひろ
映画・海外ドラマライター。『日経エンタテインメント!海外ドラマSpecial』『ゲーム・オブ・スローンズ パーフェクト・ガイド』(日経BP社)、『海外ドラマTVガイド WATCH』(東京ニュース通信社)、『映画秘宝EXドラマ秘宝vol.2~マニアのための特濃ドラマガイド』(洋泉社)等に寄稿。Twitterアカウントは@charumin