マクロン氏、左派取り込み伸長=社会党迷走深まる―仏大統領選 | ニコニコニュース

 【パリ時事】4〜5月のフランス大統領選に向けて、現段階で最有力視される中道系独立候補のマクロン前経済相(39)が、かつて所属していた左派与党・社会党から幹部や支援者を取り込み支持を伸ばしている。一方、社会党が擁立したアモン前教育相(49)の人気は低迷。党が結束してアモン氏を推す機運は高まらず、議員らが「勝ち馬」のマクロン氏支持に流れる動きが加速している。

 「左右両陣営とも内輪もめばかり。われわれには究極の自由がある」。マクロン氏は2月末に仏西部アンジェで開いた集会で、内紛に揺れる社会党と右派野党・共和党の2大政党を皮肉った。アンジェ市に住む大学教授レブデさん(60)は「これまで左派を支持してきたが、今回はアモン氏の勝利は望めない。マクロン氏に投票する」と言い切る。

 アモン氏は、オランド政権が進めた労働規制緩和などに反発する社会党内急進左派勢力の支持を得て1月の予備選を制した。最近では「私は解雇や減給をしやすくなる制度を望まない」と政権の改革を見直す考えを表明。オランド大統領を支えてきた党中道左派勢力との溝が広がる。

 マクロン氏は2016年夏まで経済相としてオランド政権の一翼を担い、政策に関する考え方は党中道左派勢力に近い。今月に入り、アモン氏の言動に不満を持つ中道左派系のドラノエ前パリ市長や、ルドリアン国防相ら党重鎮が相次いでマクロン氏を支持する動きが表面化した。マクロン氏が大統領になれば、ルドリアン氏が首相を務めるという観測すら浮上する。

 アモン氏は、支持率調査でマクロン氏や極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首(48)らに届かず、4位に沈み逆転は困難な情勢だ。マクロン派に転じた社会党議員らがアモン派の一層の切り崩しを画策する中、「左派の分裂は深刻で、もはや後戻りは難しい」(現地紙)と厳しい見方が広がっている。