賽の河原も火星移住もクリア。非定型な石を積み重ねるロボット

賽の河原も火星移住もクリア。非定型な石を積み重ねるロボット
image: Autonomous Systems Lab / YouTube

まるで賽の河原にいるみたいに、石を積み上げていくロボット。このロボットがいれば三途の川も無事渡れそう…ですが、妄想はさておき、この技術何のために研究されているんでしょうか? 

GIF: Autonomous Systems Lab / YouTube

実はこれ、建設現場や配送倉庫といった場所で応用できそうな技術で、さらにはいつか人類が遠くの惑星に移住するときに役立つかもしれません。それって三途の川より物理的にも時間的にも遠いかもしれませんが、実際使える可能性はその方が高そうです。

一般にロボットは、レンガの壁を積み上げるような、シンプルな素材を使った単調なタスクを得意です。でも、火星とかプロキシマbとか、またはビルの解体現場とかにあるいろんな形や大きさの石を積み重ねる作業は、ロボットにとっては多くの変数の扱いが必要となり、一気に難しくなります。

が、5月29日から6月3日間に開催された2017年国際ロボティクス・オートメーション会議(ICRA)で、チューリッヒ工科大学の研究チームが、非定型な形の物体をバランスよく積み重ねられるシステムについて論文を発表しました。上のGIFでは石を4つほど積んでいるだけですが、将来的にはもっと大きなものも作れるようにすることが目標です。

こんなロボットを使えば、たとえば移住先惑星に作った人工物を厳しい気象条件から守る屋根を作ったり、堤防や防波堤構築に役立てたりとかができそうです。またはビルの解体現場なら、地面に転がるコンクリートのかたまりをこのロボットが並べて、跡地に作る建物の基礎として再利用することもでき、後片付けの労力を最小化できます。

video: Autonomous Systems Lab / YouTube

このシステムでは物体を3Dで捉えるカメラと指3本を備えたロボットアームが一体となって動きます。それによって複数の石の詳細なモデルを作り出し、そのモデルを使って石を積み上げ、バランスの取れた塔にしていくのです。

とはいえ動画にあるように、ちょっとしたバランスで塔が崩れてしまうことはあります。でも研究チームによれば、このロボットでは最大6個の石を積み上げることができ、それはこの作業に慣れていない人間が積み上げた石の数を上回りました。

1 賽の河原も火星移住もクリア。非定型な石を積み重ねるロボット
image: Autonomous Systems Lab / YouTube

とはいえ、惑星移住計画なんていつ実現されるかわかりません。なので今からでも使えるような、現実的な応用先もちゃんと考えられています。たとえば配送倉庫で、このロボットにいろんなモノのサイズや形、重量の配分を把握させておけば、それらが箱や木枠の中でぐらぐら動かないようにうまい具合に詰めたりできるはずです。

このプロジェクトに参加するロボット技術者の吉田博則氏は米Gizmodoへのメールで、この技術は建設作業の自動化や、作業現場にすでにある材料を利用する場面で価値が高いと語りました。

建築において、私たちの研究が発揮する価値のコアとなるのは、材料の加工を最小化できることです。たとえば3Dプリンティングやレンガ敷設など、他のデジタル制作手法のほとんどは材料供給の複雑な仕組みに依存しています。我々の手法では、理想的にはその場にある材料だけを使い、モルタルやセメントを使わずに済ませることができ、それによってメンテナンスが非常に簡単にです。

人類が他の惑星を訪れるとき、最初のうちは片道旅行となる可能性が高いです。勇気ある宇宙飛行士は、その星に転がっている天然の材料を使って、家や必要な設備を作る必要に迫られることでしょう。そんなとききっと、こんなロボットが役立つはずです。

image: Autonomous Systems Lab / YouTube
video: Autonomous Systems Lab / YouTube
source: Hironori Yoshida - Autonomous Vertical Dry-Stacking via IEEE Spectrum
reference: ICRA 2017, ETH E-Collection

Andrew Liszewski - Gizmodo US[原文
(福田ミホ)