スタンフォード大の講師が教える、印象的な話し方をする5つの秘訣 | ライフハッカー[日本版]

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Inc:たいていの人なら、大事なプレゼンの前に不安になるでしょう。スピーチの内容を考え、構成を練り、練習し、平常心を保ち、そして実際に発表し、聴衆の質問に対応します。

ありがたいことに、人の心を本当に引き付けるプレゼンテーションに必要なアドバイスはたくさんあります。『Stanford Business』に掲載されたMatt Abrahams氏の記事にはすべてが記載されています。スピーチの構成の練り方から、発表前夜に食べるべきものまで。また聴衆からの厳しい質問への対処から、自分の口癖に気づいて治す方法まで。今回は彼が提示する知恵の例をいくつかご紹介します。


1. どうすれば役に立てるか?


大事なスピーチやプレゼンテーションの前、私たちは自分自身やパフォーマンスに焦点をあてがちです。しかし、注目すべきはそこではないとAbrahams氏は言います。神経を落ち着け、プレゼンテーションの有用性を上げるには、むしろ自分は聴衆の役に立とうとしていると考え、彼らが何を必要としているかに焦点をあてましょう。

「聴衆に焦点をあてるのに最も役立つ方法は、この簡単な質問を自分にすることから始めることです。『聴衆は、私から何を聞きたがっているか?』これにより、聴衆へのメッセージの焦点が定まるだけでなく、スポットライトを浴びているのは彼らなのだということを思い出すことができます。この質問を信念としつつ、プレゼンテーションの準備や練習を行いましょう」と彼は助言しています。

2. 感情的な内容で聴衆をとりこにする


いくらデータに基づいていたり、難解な主題を取り上げたりしていても、話す時に多少は感情を投入しなくてはなりません。なぜか?「感情には粘着性がある」とAbrahams氏は書いています。「事実に基づいたメッセージよりも、感情的なメッセージの方が、人は記憶しやすいのです。実際、現代の科学者たちは、感情的な反応は長期的な記憶への近道だということを発見しつつあります。ですから可能であれば、プレゼンテーションに感情的な内容をいくらか取り入れましょう。伝え方であっても、発表内容そのものに含まれていても構いません」。

地元の池における藻類の増殖に関するスピーチだから感情的な内容にはならない、などという言い訳をしてはいけませんよ。話すだけの価値がある内容であれば、その理由が存在するはずですし、その理由は常に、少なくとも多少は感情的なものです。「非常に技術的な発表であっても、特にその科学や技術がもたらす恩恵や影響に焦点をあてれば、いくらかは感情的な側面があるものです」とAbrahams氏は言います。「恩恵とは本質的に感情的なものです。時間の節約、お金の節約、木々の保護、あるいは命を守ること。これらは人々が関心を持っていることなのです。

3. 正しい練習をする


Abrahams氏によると、「発表者の多くは正しい練習ができていない」と言います。「単に頭の中でリハーサルしたり、スライドにパラパラと目を通したりと消極的な姿勢で、プレゼンテーションの状況をしっかりとシミュレーションできていません。また効果的に練習するには、立ち上がって発表の練習をする必要もあります。実際のプレゼンテーションでなくとも、その様子を効果的に描くには実際に立ち上がってみる必要があるのです。プレゼンテーションを心の中で思い描くだけではなく、立ち上がってスピーチを練習することで記憶に残りやすくなります」。

具体的には、プレゼンテーションを細かく分割し、1つずつ極めていくことを彼は推奨しています。「集中的な練習(Focused Practice)と呼ばれているある大変役に立つテクニックがありますが、これはプレゼンテーションの1つの側面を取り上げることで行います。例えば導入部分を取り上げるとしましょう。それを繰り返し発表し、熟知し安心できるまで続けるのです」

4. 成功するには正しい食事をとる


大事なスピーチの前に、食べ物のことなど考えてはいないでしょう。ですがAbrahams氏によると、プレゼンテーションの前に正しい食事をとることで、パフォーマンスが大幅に向上すると言います。

「長距離ランナーがマラソンを走るために炭水化物を摂取するように、プレゼンテーションの前に特定の食べ物(この場合だと、記憶の形成と維持を促すための食材)を食べることが役に立つでしょう」とAbrahams氏は語ります。「複合糖質、ナッツ、オイル、オメガ3脂肪酸に富んだ食物、そしてフラバノールを含む食物(例えばブドウ、ベリー類、リンゴ、ココア)が良いでしょう。単糖や甘いものは、エネルギーを高める即効性はありますが、たいていは後から脱力感を感じたり、頭の中がぼんやりしたりするので避けましょう」そしてコーヒーに関して言えば、とAbrahams氏はこうつけ加えます。「カフェインは賢く摂取しましょう。カフェインは創造性や生産性を向上させますが、同時にイライラしたり、口が渇いたり、あるいは記憶が不安定になったりします。スピーチの準備をしている時はトリプル・モカ・ラテを飲むのも良いでしょうが、当日はやめましょう」

5. 語尾を上げてしまうクセは「呼吸」で解消


文末にイントネーションを上げて、すべてを質問口調にしてしまうやっかいなクセをご存知でしょうか? この話し方をすると、「話し手による、『私たちの利益は拡大しています』といった重要な発言も、『私たちの利益は拡大しているのでしょうか』という風に聞こえてしまうことになります。これほど聴衆にとって紛らわしい(また不快な)ことはありません」とAbrahams氏は主張します。

Abrahams氏は、この話し方を解消するため、呼吸に集中するようにと言います。「この話し方をしてしまう人は、おそらく、文末に近づくと短く息を吸い込んでいるのでしょう。これは、考えを発言するにあたり、その残りを言い終わるまで息が続かないと感じるからです。このように息を吸い込むと、多くの場合、その後声が高くなります。これに対処するには、私が『landing your sentences and phrases(文や言葉の着地)』と呼んでいる練習が必要です。文末に近づいた時に息を吸うのではなく、発言を終わりつつ息をすべて吐き出すことに集中するのです」



5 Tips to Be a More Impressive Speaker|Inc.

Jessica Stillman(原文/訳:コニャック
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