資金調達にはさまざまな方法がある。第1回では金利を含めた返済が必要な融資、第2回では返済不要の補助金や手当を紹介した。最終回となる第3回は、その他の方法として出資と個人借入を紹介する。
資金調達でよく聞かれるのが、出資と融資の違いである。簡単に言うと資金の出し手に「返さなくて良いお金が出資(資本)」「返さないといけないお金が融資」だ。
また、資金の出し手に対しては、「出資は株式配当を返す」「融資は金利を返す」という違いがあるとも言える。出資の対価として発行株式を出資者に譲渡するので、経営権の部分的な譲渡を伴うのが出資とも言えるだろう。経営権を保持したい場合は融資にとどめ、出資は受けないという選択肢をとる。
一方で出資を受けると、出資者はあなたの会社の株式価値を上げるために協力をしてくれる。出資を受ける際は、金銭的な条件だけでなくシナジー(相乗効果)や協力が得られるかもチェックするべき重要なポイントである。
起業家の個人資産である自己資金を資本として差し入れ、事業をはじめるのが基本だ。
【メリット】社員持株会は、社員が設立する会社の資本金を出資しあう方法だ。規約が必須であり、従業員持株会の組織・理事が必要となる。
【メリット】株式を他企業に譲渡し出資を受け入れる。株式の譲渡比率が50%を超えると、事実上経営権を譲渡した状態になる。出資者と要交渉。
【メリット】資本と引き換えにVC(ベンチャーキャピタル)の出資を受け入れる。上場を狙うような有望な会社に限られる方法だ。VCにもよるが、ベンチャー企業の事情を考慮した出資比率・出資方法を採るケースが多い。株の買い戻し条項など、投資契約の各条項には留意したい。
【メリット】もともと事業資金として想定していない融資の事業への流用。金融機関によって利息は異なるが、総じて利息が高いため、起業のファイナンス方法としてはできれば避けたい。
【メリット】起業家の親族・知人からの資金を借り入れる方法。
【メリット】これまで述べてきたように、起業資金のうち、自己資金や個人借入で足りない分は、主に融資か出資を受けることになる。実際のところ、設立直後の会社が出資を受けられるケースはほとんどなく、また大手金融機関から融資を受けられる可能性も低い。
しかし、会社設立直後でも融資可能なのが「制度融資」と日本公庫(日本政策金融公庫)の「公庫融資」である。住宅ローン並みの低金利で融資を受けられるので、起業したらまず申し込みをしておくことをおすすめしたい。
(創業手帳編集部)