VerizonのAOL買収、狙いはコンテンツよりも動画広告か

 米通信大手のVerizon Communicationsは米AOLの44億ドルでの買収を発表した際、AOLを「デジタルコンテンツと広告業界のリーダー」と評した。AOLがHuffington PostやTechCrunch、Engadgetなどのデジタルコンテンツを持っていることはよく知られているが、直近の業績資料を見ると最大の収益源は広告であることが分かる。

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 資料によると、AOLの事業は、Huffington Postなどを含む「ブランドグループ」、ISP事業の「メンバーシップグループ」、広告事業の「AOLプラットフォーム」に分かれており、2015年第1四半期(1〜3月)の売上高が最も多いのは広告事業の2億7980万ドルでコンテンツとISPを大きく引き離している。成長率も広告だけが2桁だ。

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 広告事業では、動画広告を含むサードパーティー向け広告プラットフォームが特に好調だった。OIBDA(減価償却前営業利益)が大きく減少しているのは、「動画およびプログラミングプラットフォームへの投資増加が反映されている」という。

 コンテンツ事業の売上高は主に自社メディアに掲載する広告によるものだが、これは前年同期比7%減。検索広告の売上高の28%増でコンテンツ事業全体では8%増となっている。

 VerizonはAOL買収の発表文で「LTEによる無線動画とOTT(Over The Top、上限を超えるほど大量の通信容量を使う動画配信などのサービス)戦略をさらに推進する」としており、モバイル向けの動画事業に重点を置いているようだ。

 AOL傘下の米TechCrunchが紹介したアームストロングCEOから従業員への社内メモによると、少なくとも2015年中は傘下企業を含むAOL全体に変化はないというが、米re/codeは少なくともHuffington Postはスピンオフを検討していると報じた。

 AOLはインターネット黎明期である1990年代にISPとして急成長し、2000年にTime Warnerと合併して多数のコンテンツを獲得したが、2009年にはTime WarnerからAOLがスピンオフした。その際、ティム・アームストロングCEOは、新たな形のオンラインコンテンツプロバイダーを目指すとしていた。

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