makeuseof:テック業界でのキャリアを考える人は世界中にたくさんいますが、それが本当に自分に合っているかどうかを知る方法はあるのでしょうか。正しい判断をするためには、自分にどんな質問をすればいいのでしょうか。
1997年から2012年にかけて、米国でテクノロジーに従事する人の数は200万人強から400万人弱と、ほぼ2倍に膨れ上がりました。これには、プログラマーやデータサイエンティスト、データベース管理者、ハードウェア管理者などのわかりやすい職種以外にも、エレクションエンジニアやエバンジェリスト、クラウドアーキテクトなどのわかりにくい職種が含まれます。業界全体を大きく見るなら、テック業界で働くために、必ずしもテクノロジーに詳しい必要がないことは明らかです。
これを念頭においたうえで、テック業界が自分に合っているかどうかを知る方法は何でしょうか。
本サイトでは、そう遠くない昔に、同様の話題を取り扱ったことがあります。その記事では、テック業界の面接に成功するためのソフトスキルを紹介しましたが、今回はもう少し掘り下げてみたいと思います。同記事で言及したスキルはすべて、テック業界でのキャリアをスタートしたあとに必要になるものです。一方で、テック業界でのキャリアをスタートする前に確実に答えられなければならない質問もあります。あとで後悔しないためにも、知っておいて損はないでしょう。
テック業界では、どんな職種にもクリエイティビティが必要です。たとえばプログラマーに、1つの課題を解決するために、クリエイティブなアイデアをいくつ考えるかを聞いてみるといいでしょう。あるいは、美しいスマートフォンアプリのレイアウトを見て、ここまで使いやすい形になるまでにどれだけのクリエイティブプロセスを経たのかを想像してみるといいでしょう。
世界中の名だたるテック系大企業が、職場のクリエイティビティ向上に資金を惜しまない理由はそこにあります。セレブを呼んで講演会を開いたり、ヨガクラスを設定したり、シンプルに定期的なクリエイティブミーティングへの参加を必須にしたり。簡単に言うとそれらの企業は、テック業界でクリエイティビティを持たないことは、櫂を持たずに川に流されることと同義だと考えているのです。
この点においても、アップルが一歩ぬきんでています。「ACOT2」プログラムによって、できるだけ小さな年齢からのクリエイティビティ養成を目指しているのです。年老いた犬に新しい芸を教えるのは、従順な若い犬に教えるのよりもずっと困難です。ACOT2のプログラムには、こう書かれています。
ビジネスリーダーは、仕事の世界で競争力を高める最先端の方法は、場所ベースのイノベーションであることに気付いています。つまり、1つの環境で、何度もイノベーションを生み出す能力が求められているのです。
テック業界の求人広告を見ると、必要なスキル欄に必ず、「課題解決スキル」と書かれているでしょう。ですから、大人になる過程で、壊れたテレビを直(そうとして失敗)したり、自分の部屋の中でWiFiの接続スピードを上げる方法を検討したり、スマートフォンで課題解決型のゲームに多大なる時間を「ムダ」にした経験は、テック業界でのキャリアに役立つのです。
結局のところ、個々の課題やグローバルな課題の解決に新しいイノベーションを使用できないようであれば、テックとは何を意味するのでしょうか。それは退屈であり、より良い教育の必要性であり、効率および健康への原動力かもしれません。
Androidのスマートフォンが、アマゾンの森林破壊抑制に役立っています。途上国では、安価なソーラーエネルギーが重宝されています。世界中に、大きな課題を解決するテクノロジーがあふれています。それでも、課題は山積しています。
しかし、NPO団体Educational Testing Serviceが実施した研究によると、米国のミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭に生まれた世代)は、米国でもっとも教育を受けている世代であるにもかかわらず、世界各国の同世代に比べて、読み書き、計算、およびテクノロジーが豊富な環境における問題解決能力に劣っていることがわかりました。
テック系企業にとってもっとも必要なスキルがこの問題解決スキルであるとMicrosoftが予測していることを考慮すると、このエリアで抜きんでていることが、米国では有利であると考えてよさそうです。
テック業界の進歩は目覚ましいので、遅れずについていくのが大変です。新しいスキル(新しいアプリ、プラットフォーム、プログラミング言語など)を学ぶことが好きなら、この業界でのキャリアを楽しむことができるでしょう。一定水準の知識を得たら安泰という安定した環境で働きたいなら、ほかを考えた方がいいでしょう。
そのためには、関係ない領域の知識を蓄積できる能力だけでなく、それを問題解決に役立てることができなければなりません。そのように、自ら学ぼうという意思があれば、テック業界でのキャリアを進めることができるでしょう。また、そのように新しい課題を求める意欲が、あなたの心を満たし、仕事を有意義なものにしてくれるのです。
上にも書いたように、テック業界のすべての職種にテクニカルスキルが必要なわけではありません。ただ、大半の職種は、1日中コンピュータの前に座って課題に取り組むというスタイルが要求されます。身体は座ったままでも脳を動かすことが好きなら、この業界に向いているでしょう。一方で、エネルギッシュに身体を動かすことを仕事に求める人は、失望するかもしれません(そんな人向けの職種もないわけではありません)。
1日中座っていると、身体の各部にひずみが生じます(心臓疾患やがんの確率が上がるとも言われています)。そうならないように、基本的な運動を欠かさず、スタンディングデスクやトレッドミルデスクを検討しましょう。経営者側も、健康的な社員を有するメリットをわかってきているので安心してください。
テック業界の仕事は、えてして予想よりも長期化・高コスト化します。それは決して怠慢や愚かさによるものでなく、多くの仕事が義務の範囲を越えてしまうから。プログラマーは、完ぺき主義者が多いことで有名です。優秀なプログラマーほど、細部にこだわってしまうのです。バグがあれば修正が必要ですし、便利な可能性を秘めた機能があれば、いろいろやってみる価値があります。オプションを増やせば増やすだけ、トライアルが必要になります。
チームが目指すものを理解しない限り、チームに加わることはできません。解決しようとしている課題を、正確に把握しなければならないのです。さらに、目標、納期、予算を満たすために、時間をかけるだけでなく、眠れない夜、深夜の業務、有意義なことを達成しようとする緊密なチームの一員になるためのストレスを覚悟しておく必要があります。
ダイヤルアップモデム、CD-ROMなどの物理データストレージ、パルス電話ネットワーク、留守番電話、MP3プレイヤーなどが、永遠に続くと考えていたことはありませんか? あの頃の私たちは、予測を誤っていたのです。
どんなに衝撃的な技術でも、いつかは寿命を迎えます。イノベーションが浸透すると、フロッピーディスク、Myspace、有料メールアカウントなどと同じく、忘れ去られたテクノロジーの山に積み上げられることになるのです。あなたは、この陳腐化を受け入れることができますか?
幸運にも成功したとしても、10年以内に廃れることがわかりきっているプロジェクトに、貴重な時間、エネルギー、忍耐力を投じることができますか?
つまり、後々まで残るレガシーを生み出したいなら、恐ろしいほどにテック業界は向きません。マスク、ザッカーバーグ、ジョブズのように巨万の富を築いたカリスマは別として、この業界で働く大多数は、海にさざ波を立てることすらできないことが多いのです。もちろん、電子回路設計、基本的なプログラミング原則、QWERTYキーボードのように長続きするものもあります。でも、それらの成功の陰には、文字通り何百万ものアイデアが日の目を見ずに消えていったことを知っておく必要があるでしょう。
それでもひるまないあなたなら、テック業界に向いています。
自分はテック業界に向いている!
上記の質問に答えた結果、そう思うことは何ら問題ありません。でも、いま目の前にある機会に、心から喜ぶことはできますか? 初日に自分の仕事にエネルギーを感じられないようであれば、たとえば1000日後のあなたは、その仕事についてどう感じているでしょうか。
テック業界でのキャリアをスタートする前に、この記事のような記事をたくさん読みましょう。求人広告をよく読み、どんな役割が求められているのかを知りましょう。新世代のキャリアツールを駆使して、背景を知りましょう。アドバイザーを見つけて相談に乗ってもらいましょう。テック業界で働く人の話を聞いてみましょう。できるだけたくさんのことを学び、徹底的に調べましょう。1日か2日、誰かのあとについて、仕事の内容を体験してみましょう。
そのうえで、自分が情熱を持てることを見つけられたなら、あとは全力で前に進むのみ。できるだけ学び、資格を取り、人間関係を構築し、人脈を築くのです。
Do You Have What It Takes for a Career in Technology? | makeuseof
Rob Nightingale(訳:堀込泰三)
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