カリフォルニア州内の主要都市にて13店舗のレストランを運営するテンダーグリーンズ社は、自社の敷地内にタワー型の水耕栽培システムを設置し、野菜の試験的な生産をスタートさせた。
同社は地産地消レストランとして、周辺農家から調達したフレッシュな農作物を利用して、スープやサラダ、サンドイッチ、各種デザートなどの料理を提供している。
情報発信も積極的に行っており、生産者情報だけでなく、各料理の栄養価(カロリーやコレステロール、ビタミンやカルシウム、ナトリウムなどの栄養成分)もチェックすることができる。同社のウェブサイトより引用
同社では、ハリウッドにあるオフィスの小さなスペースにて、タワー型の水耕栽培システム24基を導入した。設置・メンテナンス・栽培指導などは本システムの販売を行うグリーンシティーファーム社がサポートした。導入したシステムでは1基にて約44株の葉野菜が同時定植できる。
カリフォルニア州では現在、深刻な干ばつ被害により水使用量が制限され、農業にも大きな被害を与えている。また同社が運営するレストランは都市部にあり、中庭などの狭いスペースしか確保できないため、生産効率が高く、循環式のタワー型システムを選択した、という。
品質やコスト、エネルギー面などで、レストラン周辺にて生産することは大きなメリットがある。同社によると循環式の本システムの水使用量は、通常の露地栽培の75~90%ほどの削減につながる、という。
グリーンシティーファーム社が販売・設置するタワー型水耕システム。カリフォルニア州は温暖で太陽光にも恵まれていることから、自然光のみの循環式水耕システムのニーズが大きい、と同社は見込んでいる。
現在は小規模であることから、週1回収穫された野菜がレストランへ届けられており、一部のランチ等のサラダメニューに使用されているのみである。同社は周辺農家やシェフと連携しながら、地産地消の農作物を積極的に採用しており、今後は調達野菜の約60%を水耕栽培商品に切り替える計画がある。
その他、周辺の工業エリアでは、空き倉庫を活用した人工光型植物工場のアイデアもあがっているが、LEDなど人工光の電気エネルギーを考慮すると、太陽光のみで生産できるタワー型水耕システムの方がメリットがあるように考えられ、今後は比較実験などを行いながら慎重に自社生産システムの導入を検討していく、という。