2015年6月8日
サーバやネットワーク、ストレージなどのインフラをソフトウェアで構成する「Infrastructure as Code」(コードとしてのインフラ)は、ChefやPuppetのようなデータセンター自動化ツールやクラウドなどの登場によって、数年前から現実のものとなっています。
米HPは、こうしたさまざまなInfrastructure as Codeのツール群、インフラ群を統合した1つのAPIで呼び出し可能とし、より柔軟な構成と管理を実現する目的の「Project Synergy」を、先週開催された同社の年次イベント「HP Discover Las Vegas」で発表しました。
同社はこれにより、サーバやストレージとなどのリソースプールからインフラに必要なさまざまな構成要素を目的別に組み合わせて利用でき、不要になればリソースプールに戻せる「Composable Infrastructure」を目指し、同社の管理ツールHP OneViewによる一元管理も実現していくとのこと。
これに向けて統合APIとなる「HP's Composable Infrastructure API 」の提供と「HP Composable Infrastructure Partner Program」をスタート。パートナープログラムには、Chef Software、Docker、Puppet Labs、Ansible、VMwareの参加が決まっています。
統合APIだけでなく、OneViewによる運用管理、統合サーバによるコンバージドインフラストラクチャやハイパーコンバージェンスなどのイノベーションによって、Composable Infrastructureを実現していくことを表明しています。
こうした「Composable」(組み立て可能)な要素はインフラだけでなくビジネスプロセスやソフトウェア開発でも推し進めていき(同社が発表したGrommetもその一部)、「エンタープライズのIT環境のあらゆるレイヤをComposableにしていく」(同社CTO Martin Fink氏)としています。
「Composable」におけるHPとIBMの戦略の違い
ComposableなIT環境の実現は、IBMも昨年から「Composable Service」や「Composable Business」といった言葉を使ってさまざまな場面で強調しています。
両社とも、最終的にはエンタープライズのIT環境をまるでレゴブロックを組み合わせるようにインフラからアプリケーションまで構築できるようにする、という点では共通のビジョンを持っているように見えます。
しかしIBMがサーバビジネスを売却し、SoftLayerやBluemixといったクラウドのIaaSやPaaSを部品として用いるという文脈の中で「Composable」を使うのに対して、HPはサーバやコンバージドインフラ、管理ツールを含むオンプレミスを意識させる文脈の中で「Composable」を強調しつつその上位レイヤまで含めようとしている点が、両社の戦略の違いを浮かび上がらせているようです。
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