最悪の状況かも。
再三にわたる設計の変更。予定の2倍近い工事費。間に合わない工期。莫大な維持費・・・といった様々な問題を抱え、もはや沈みかけの船状態の「新国立競技場」。
それでも2020年の東京オリンピックメインスタジアムとして、作らないわけにはいかない瀬戸際の状況です。そしてこの状況を更に悲惨にするかもしれない話がさらに出てきました。国はこのスタジアムの設計者のザハ・ハディド氏との契約解除を検討しているそうなんです。
ザハ氏は2012年に行われた国際コンペで選出され設計を進めてきました。工事費が当初予算の2倍近い額になることが判明したため、再三にわたり規模縮小の設計変更を行うも、それでも予算を圧縮しきれず工期も間に合わない。
これを解決するには設計のかなめとも言える屋根部分のキールアーチを廃するしかないけれど、その点でザハ氏の合意を得るのは恐らく難しい。ゆえに契約解除を検討とのこと。
といっても、再三の規模縮小はほぼ国側の責任。元々コンペの設計要件に盛り込まれていた機能を全部満たすと完全に予算オーバーだったんです。そのせいで修正を重ねさせ、それでも合わないから契約解除はさすがに酷いのではないでしょうか。
こうなるとコンペで選出したのが設計案なのか設計者なのかという疑問を正直感じざるをえません。
設計案を選んだなら、再三の設計変更を行いキールアーチを廃するなど、もはや元の設計案とはかけ離れた別物になってしまいます。これでは道理が通りません。設計者を選んだなら、ザハ氏に新たな設計要件・予算・工期設定のもと再設計してもらう方が賢明でしょう。もちろん時期的にはかなり厳しいでしょうが・・・。
そして、このままザハ氏と契約解除をしてしまったらこの建物は果たして誰の設計になるのか。宙ぶらりんな中途半端なものができてしまうのではないかと危惧してしまいます。数十年後に今の子供達が見て、残念な気持ちになるようなものを作らない選択を望みたいです。
source: 新国立競技場
(小山和之)