仕事のストレスなどで「心の病」を患って、労働災害(労災)と認められた人が過去最多となった。2014年度は、前年度より61人多い497人に達した。このうち自殺や自殺未遂をした人も最多を更新。心の病になっても労災と認められる人は限られ、実態はより深刻な可能性がある。
厚生労働省が25日、過労死などの労災補償状況を公表した。14年度にうつ病などの心の病になって労災を請求した人は1456人で、統計が残る1983年度以降で最も多かった。認定も最多で、30~40代が約6割を占めている。原因別では、労災事故など「悲惨な事故や災害を体験・目撃」が一番多かった。
13年の国民生活基礎調査(厚労省)によると、15歳以上で仕事がある人のうち、「うつ病やその他の心の病気」で通院している人らは約83万人と推計され、心の病で苦しむ人は多い。
心の病で労災認定された人のうち、自殺や自殺未遂をした人は前年度より6割増の99人で、こちらも過去最多だった。
こうした労災に、長時間労働が影響していることも浮き彫りになった。時間外労働が「過労死の危険ライン」とされる月80時間以上の人は約4割、同160時間以上は1割強いた。自殺や自殺未遂をした人に絞ると、月80時間以上の割合は約6割に高まる。