ホント!? 「猫」にまつわる5つの“オカルト”な俗説・噂をまとめてみた | ニコニコニュース

ウレぴあ総研

もうじき梅雨が明けると肝試しやホラーの季節がやってくる。そこで今回は夏到来を前に、私たちの身近なパートナー・猫にまつわる“オカルトな俗説”を調べてみた。

いくつ知ってる? 「猫のあるある行動」名称まとめ

長生きした猫は化ける

しばしば語られているのが「10年生きた猫は化け猫に、20年生きた猫は猫又になって人間を化かす」といった俗説。化けるまでの年数は説によって異なるようだ。なぜかどちらも“人間に飼われている猫”限定らしく、野良猫が化けるという話は聞かない。猫が醸し出すミステリアスな雰囲気や独特の生態を見て、昔の人がおそれを抱いた結果生まれた俗説なのかもしれない。

こうした説は江戸時代以降に広く伝わったと言われ、日本各地に化け猫の目撃談、化け猫をモチーフにした物語・美術品などが残されている。

なおペットの飼育環境が発達した現在、飼い猫の平均寿命は14.82歳まで延びている(一般社団法人ペットフード協会の統計/2014年)。このままだと大半が化け猫になってしまうためか、「10歳で化ける」説はほぼ聞かれなくなった。その代わり、もっぱら最近はネコミミ美少女のように“萌えキャラ”に化けることが多い。また、猫の地縛霊がゲームキャラとして子供たちから絶大な人気を集めるなど、なかなかカオスな時代である。

猫は一生に一度…?

猫は一生に一度、人間の言葉をしゃべる

猫は生きている間に一度だけ人間の言葉をしゃべると言われている。昔から年老いて化けた猫は人語を理解するとされているため、それが現代まで伝わっているのかもしれない。しゃべる内容は、ちょっとした日常単語から大災害の予言、飼い主の死期を言い当てる……などバリエーション豊富。

合理的に考えるなら、曖昧な猫の発声を人間が脳内で日本語に変換し、「ウチの猫がしゃべった!」と解釈しているだけだろう。猫はそもそも言葉の意味を理解していないというのが定説だ。

ただ、猫が人間とある程度コミュニケーションを取れることは広く知られている。研究者によれば、日本語の意味そのものではなく、音(声)と行動、そこから生じる結果を猫は学習しているそうなのだ。たしかに筆者宅の猫も「ご飯だよと呼ばれる → エサ場に行く → カリカリが食べられる」「おいでと呼ばれる → 飼い主のところへ行く → 頭を撫でてもらえる」といった複数パターンを記憶している様子がある。

猫の感情も、表情やしぐさ、鳴き声のトーン、しっぽの動きなどで飼い主には充分伝わっている。実際にしゃべることはなくても、人間と猫はうまくやっていけているのだ。

猫を殺した人間は祟られる

殺された猫が怨霊となり、人間を不幸にする。さらに殺した本人だけでなく七代先まで祟り続ける……昔から“猫の祟り”は人々に恐れられ、怪談や絵画、ホラー漫画などの題材になってきた。現代の最恐ホラー映画として名高い『呪怨』シリーズも、やや変則的だが作中で殺された飼い猫が大きな存在感を放っている。

だが猫を殺した人間のすべてが祟られるかといえば、普通に考えればありえない。伝えられてくる猫の虐待件数と、祟りと思われる人間側の被害数がまったく釣り合っていないからだ。おそらく猫が生来もっている霊的なムードに、「むやみに殺生してはいけない」という道徳観が加わって、猫殺しを戒める俗説が生まれたのではないだろうか。

その一方、猫の祟りではないかと考えられる事例も少数ながら報告されている。今年2月、アメリカである男が自宅の窓から誤って転落し、おまけにゴミ収集車に轢かれ重傷を負うという出来事があった。実はこの男、その前年に猫をバットで殴って目を潰していたのだ(殺してはいないらしいが)。このことから“猫の祟り”説を支持するネットユーザーは多かった。

また、日本でも似たような事例がある。野良猫をさらってきて虐待し、絶命するまでの様子をネット中継したとんでもない男が、数年後に自宅内の爆発事故で重傷を負った。このニュースが流れた時もネット上では「祟りだ」「天罰が下った」などの声が相次いだ。

上記の2名はともに動物虐待の罪で起訴されており、住んでいる地域やフルネームも公表されるなど社会的制裁は受けていた。そこへきて大ケガ、さらにそのニュースが広く報じられるという追加の制裁を受けた形だ。猫の祟りを科学的に立証することはできないが、むしろインターネットが発達した現代においては「虐待の罪状と個人情報が世界中へ拡散されること」が最大の“祟り”と言えるかもしれない。

猫の外見的な特徴と運勢を関連づける俗説

死んだ猫は生まれ変わって飼い主の元へ戻る

動物好きなネット住人が口にする言い回しに「毛皮を着替える」がある。死んでしまった最愛の動物は新たな生命を受け、また飼い主の元へ戻って来るという意味だ。犬猫どちらにも使われる表現だが、割合では圧倒的に猫が多い。

猫が亡くなったことを誰かが報告した際、「きっとまた毛皮を着替えて戻って来るよ」と慰めるためによく使われ、ペットロス(ペットの死で起こる心身の不調)の緩和に一役買っているようだ。まれに「たまたま拾った捨て猫の外見が以前死んだ猫とそっくりだった」「死んだ猫が夢に出てきてから授かった子供が、その猫とよく似た性格に育った!」など、本当に“着替え”を済ませてきたかのような報告も目撃される。

では、猫が毛皮を着替える前に飼い主が死んでしまったら、永遠に再会できないのだろうか……? 実はこれに対しても、ネット上では「虹の橋」という表現を使って希望あふれる解釈がなされている。あるサイトの解説によれば「虹の橋」は英語で書かれた作者不詳の詩が起源となっており、ネットユーザーから共感を受け世界中に広がったらしい(参考 )。

詩の内容は、天国の手前には「虹の橋」があり、先に天寿を全うした動物たちがそこで飼い主を待っているというもの。一度でもペットの最期を看取った経験がある人なら涙なしには読めない、感動的な詩である。

黒猫は不幸を呼ぶ

目の前を横切ると不幸になる、魔女の使いであるなど、キリスト教圏を中心に古くから不吉な存在として扱われてきた黒猫。そうした迷信のために無実の黒猫たちが長らく迫害されてきたという。

黒猫=不吉という迷信は日本でも有名だが、今は世界中で黒猫に対する考え方もずいぶん変わってきているらしい。迷信から特に多くの黒猫が犠牲となってきたイタリアでは「黒猫の日」が制定され、ローマ法王が黒猫の虐待をやめるよう声明を出したことがあった。同じく19世紀まで多数の黒猫を殺す行事を開催していたベルギーの一部地域では、その反省を踏まえて仮装パレードが催されるようになったそうだ。

また、インターネットの普及などにより「黒猫が幸運の象徴として扱われる国がある」ことも知られるようになってきた。とりわけ中国や日本といった東洋でその傾向が強く、魔除け・富・病気の治癒などが昔から信じられていた。毛色と性格の関係でいえば、黒猫はおだやかで飼いやすいとされ、実際に猫好きな人間からの人気も高い。ステレオタイプな迷信はほぼ払拭されている、と考えても良いのではないだろうか。

ちなみに猫の外見的な特徴と運勢を関連づける俗説は他にもあり、日本では「オスの三毛猫を飼っていると幸運が訪れる」「かぎしっぽ(尾の先端が折れ曲がっている)の猫は幸運を呼ぶ」などが有名。

もともと優れたハンターである猫は、大切な穀物や書物・教典などをネズミの害から守って人々を助けてきた。反対に、魔女狩りの影響で猫が激減した中世ヨーロッパではネズミが増殖し、ペストの大流行を招く結果になったという説がある。猫に罪を着せて迫害しても人類にはデメリットしかないのである。科学的にも、動物と接することが人間の集中力や免疫力を高めるといった効能が次々に発表されており、猫と人間の距離は今後ますます接近していくことが予想される。