中国のインターネットでは、5月下旬から「仇日は病気。薬では治らない」と題する文章の転載が続いている。オリジナルは、人気作家の馮学栄さんが中国版ツイッター・微博(ウェイボー)で発表した。賛否は両論だ。
馮学栄さんは1979年生まれ。日中戦争を描いたドキュメンタリー作品などが評判になった。日中戦争などを日本による侵略戦争とする主張は一般的な立場と同じだが、日本における軍部と政治家の対立など、事実を深く客観的に追い求めたと評価されている。
「仇日は病気。薬では治らない」では、「仇日はすでに病態になってしまった。私の親類は友人にも、この病気に感染した者が多い」と主張。
例として数年前にベトナムで、国際会議に出席した際の経験を紹介。米国人、ドイツ人、ベトナム人、日本人らといろいろ会話としたが、第2次世界大戦のことを口にする者はいなかった。
そこに、馮さんとは別の中国人がやってきた。日本人がいると聞くと「私は日本人とは話をしない」と言い捨てて去った。
会話を拒絶された日本人は苦笑しながら「私の祖父は日本共産党員で、戦争に反対して弾圧されました」と打ち明けたという。
多くの中国人と価値観を共有できる人物を祖父に持っているのに、日本人というだけで会話を拒否する中国人がいたことで、馮さんはショックを受けた。しかも、「新興の中産階級で、教育程度も高い中国人」だったという。
馮さんは「仇日病」が蔓延する原因は、教育やテレビ、映画などありとあらゆる方法で「恨みを生み育てている」と分析。さらに、事実にもとづかない日本非難が横行している一例として、中国人に虐殺された日本人の検死写真が、「日本人に殺された中国人」として紹介されていると指摘した。
馮さんの上記発表に対しては、「あんたの祖父が殺されても、その殺人者と友になるのだな」との非難や、「国家指導者の子は、そういう教育を受けないよ」と、当局が庶民には「虚偽」の情報を与えていることに同感するなど、賛否両論が寄せられた。
馮さんの発表した文章の転載は、現在も続いている。またポータルサイトの「捜狐」は6月20日、馮さんの発表に関連して、日本人が「中国における反日」をどう見ているかを紹介した。同掲載は「中国人の反日は無知によるもの。だから病気とは思えない。ただし、韓国人は根本的に病気」などの意見を例として挙げた。(編集担当:如月隼人)(写真は馮学栄さんの上記文章掲載頁キャプチャー)