FC東京に所属する日本代表DF太田宏介が公私ともに仲の良い後輩・武藤嘉紀へ、最高の“アシスト”をした。
清水エスパルス戦後に行われた壮行セレモニーでは、武藤の挨拶後に選手一同がピッチ中央に集まり、胴上げを行った。太田は「予定にはなかったんですが、『胴上げぐらいはしよう』と言ったんです」と粋な計らいの裏舞台を明かした。
試合でも高精度を誇る左足で魅せた。2-1で迎えた66分、左サイドからのFKをゴール前の前田遼一にドンピシャで合わせ、勝負を決める3点目を演出。勝利で武藤の最終戦に華を添えた。
チーム加入後から弟分としてかわいがってきた存在の旅立ち。太田は少しだけ寂しそうに話した。
「あいつが点を取って終わるのがよかったかもしれない。でも、俺たちはあと半分シーズンを戦わないといけない。年間優勝してよっち(武藤)にいい知らせをしたい」
ここまでリーグ戦の8アシスト中、3得点を決めた相棒を失うことになるが、太田は悲観することはなかった。
「連敗はいらなかったけど、去年に比べて我慢強さが出てきた。少しずつ耐えられるようになってきたし、失点も少なくなった。目標は年間チャンピオンなので、ここまではいい流れできていると思う」
数多くのアシストをしてきた太田が、武藤の残した財産を活かして頂点を狙う。また、日本代表でもその阿吽の呼吸は続くはずだ。2人のストーリーはまだ、終わらない。