【アテネ、ブリュッセル時事】ギリシャ議会(定数300)は28日、欧州連合(EU)などの債権団がギリシャに金融支援の条件として受け入れを求めた財政緊縮策の賛否を問う国民投票を7月5日に実施するかどうかの採決を行い、賛成多数で承認した。これに先立ちEUユーロ圏は27日、6月末に期限を迎えるギリシャ支援の延長拒否を決定。ギリシャで予定通り国民投票が行われ、「反欧州」の民意が示されれば、ユーロ圏との対立は決定的となる。
難航していた支援協議は決裂の瀬戸際となり、ギリシャはぎりぎりの状況に追い込まれた。デフォルト(債務不履行)に陥る懸念から、週明けの金融市場は波乱含みの展開となりそうだ。
チプラス首相は27日、国民投票を来月5日に実施すると突如表明した。28日の議会採決では与党の急進左派連合(SYRIZA)や一部野党が支持。地元テレビによると、賛成票は179と承認の条件となる過半数を大幅に上回った。
地元メディアによれば、国民投票の実施には議会の承認を得た上で、パブロプロス大統領の了承が必要。チプラス首相は「欧州各国が望もうと望むまいと、国民投票は断行する」と強硬姿勢を崩していないが、パブロプロス大統領が慎重とされ、実際に実施できるかどうかはなお不透明だ。
一方、EUは27日のユーロ圏財務相会合で、ギリシャが要請した支援期間の延長を拒否。記者会見したデイセルブルム議長(オランダ財務相)は、「残念だが支援は30日で終了せざるを得ない」と述べた。
ギリシャは30日に15億ユーロ(約2000億円)の国際通貨基金(IMF)への債務返済を控えているが、支援が得られなければ返済は極めて厳しくなる。債権団は、ギリシャの緊縮策受け入れを条件に、現行支援を5カ月間延長する案を準備していたが、ギリシャは26日夜に交渉を一方的に打ち切ったという。