世界中の企業がスマートカーを開発している中、危険を感知してドライバーよりも速く反応する、なんてことは常識になりつつあります。そしてさらに、アクシデントに遭遇したとき確実に車体が止まれるよう研究を続けているスウェーデンの企業Autolivが、画期的なエマージェンシーブレーキを開発しました。なんと、超強力な吸引力で地面に吸着して止まるらしいんです!
噂のブレーキはTorricelli Vacuumブレーキ。まだ試作品の段階なので実際に車に取り付けることはできませんが、実験ではその瞬間的に停車させる実力は十分に証明されています。
ブレーキは車体の後ろ部分の下に取り付けられているます。センサーが危険を感知して安全システムが停車の必要を確認したら、金属のプレートが油圧によって地面に下ろされるという仕組み。その瞬間、プレートがものすごい力で地面を吸引し始め、プレートと道路の間を真空状態にします。なんと15,000ニュートンもの力が道路表面にかかるとか。このブレーキを使えば、使わない状態に比べて40パーセントほど停車距離を縮めることが可能だそうです。
だがしかし、革新的な技術には欠点があるもの。でもこれは脆弱な人間の身体を恨むしかないかもしれないですね。なんのことかというと、瞬間的に停車できる代わりに想像を絶するGが発生するってことです。もしこのブレーキを使って緊急停車すると、時速44マイル(約70キロ)、もしくはそれ以上のスピードを出していたとしてもぶつかる前に止まることは確かにできるらしいんですが、乗っている人の内臓は破裂してしまうかもしれません。これはシートベルトきちんと締めていた場合ね。もし締めていない場合はフロントガラスを突き抜けて車外へ吹っ飛ばされるでしょう。
そう、このブレーキたしかに緊急停車には効果抜群! でも実際に安全システムとして市場に持ち込むとなると、その前にいくつか(超重大な)弱点を克服しないといけないみたいですね。でも今後どんどんスマートカーが公道を走るようになるだろう近い将来を思うと、高速道路並みのスピードを出さない都市であれば、このブレーキが大幅に事故率を下げる活躍をしてくれそうな気がしてきます。ただ、事故にはあわなくてもかなりの重傷は負いそうですけどね…。
source: Autoliv via IEEE Spectrum
Andrew Liszewski - Gizmodo US[原文]
(SHIORI)