かつての声優は「売れない役者が流れ着く場所」だった...「声優グランプリ」で池田秀一が示した"声優への道" | ニコニコニュース

「声優グランプリ」(主婦の友インフォス情報社)2015年7月号。
おたぽる

――昨今の声優人気に伴い、気がつけば声優専門誌も定期・不定期を合わせて10誌以上が刊行されている。そんな"声優誌 群雄割拠"の時代にあって、各誌はどのような記事・企画をとりあげているのだろうか? 主要な声優誌を中心に、目玉記事や気になる企画などを紹介しつつ、各誌の特徴を分析していく――

■「声優グランプリ」2015年7月号
出版社...主婦の友インフォス情報社
発売日...6月10日
価格......1250円+税
創刊......1994年

「感謝の超大増ページ特大号」と冠し、170ページ超という大ボリュームとなった7月号の「声優グランプリ」(普段は130ページ前後)。表紙&巻頭特集は『劇場版 進撃の巨人』より梶裕貴と神谷浩史が登場し、そのほかにもアニメ・ライブ・ラジオ・外画吹き替え......など、バリエーション豊かな構成となっている。

 そんななかで目を引いたのは「声優への道2015」。声優養成所および専門学校を紹介する毎年恒例の特集企画で、特集冒頭には大御所声優のスペシャルインタビューが前後編に分けて掲載される。

 今年のスペシャルインタビューは池田秀一御大。ご存じ『機動戦士ガンダム』のシャア・アズナブル役であり、現在はNHK大河ドラマ『花燃ゆ』にナレーター(語り)として出演中だ。

 同特集のインタビューは、大御所声優がどのようなきっかけで声優になったかが語られる。現在でこそ、声優という仕事の知名度・人気は高まり、「最初の夢」として若い頃から声優を志す若者が増えている。しかし、かつての声優は「売れない役者が流れ着く場所」という印象が強く、池田氏もそんな役者のひとりだったそうだ。

 児童劇団からキャリアをスタートさせたものの、20代半ばで俳優として伸び悩んでいた池田氏。そんな折に外画の吹き替えをすることになったが、当時を振り返った彼からも「当時、アテレコはランクが下の役者がやる仕事というふうに見られていた」という言葉が出てきたのが印象的だ。

 今月のインタビューは前編で、声優としての仕事を歩み始めたところで記事は終了。おそらく、華々しい経歴は後編で触れられることになるはずだ。声優養成所・専門学校を紹介する特集で、あえて「声優への道」が曖昧だった時代の話が語られるのは、毎年のことながら非常に考えさせられるものがある。現代の声優志望者も、声優ファンも、こうした先人の話を知ることができる素晴らしい機会だと思う。

 さて、そのほかで気になったのは新しい声優ユニット誕生の話題。7月よりスタートするアニメ『それが声優!』から、作中に登場する声優アイドルユニット「イヤホンズ」が、実際に演じる3人の声優によって現実世界でもデビューするとのこと。

『それが声優!』は漫画家・畑健二郎と声優・浅野真澄による同人サークル「はじめまして。」で製作される同人漫画&WEB漫画で、童話作家の顔を持つ浅野は作家名義の「あさのますみ」として原作を担当している。

「イヤホンズ」のメンバーは高橋季依・高野麻里佳・長久友紀の若手声優3人で、本誌でグラビアを飾るのも初めてとのこと。声優・浅野真澄が手掛ける作品から誕生した声優ユニットということで、ある種異例とも言えるユニットだが、すでにデビューシングル『耳の中へ』も発売中だ。現在、すでに飽和状態とも言えるアイドル声優ユニットだが、そんな「声優ユニット戦国時代」において、イヤホンズがどのような活躍を見せるのかに注目したい。
(文/神楽坂隆)