2015年5月18日 06時01分 (2015年5月19日 06時00分 更新)
スポーツの世界では、良きライバル同士の対決があれば、見ているほうも盛り上がる。ビジネスの世界でも、トップ企業がチャレンジャーの挑戦を受けている業界は活性化する。
アパレル小売業では、トップのユニクロに対して、ファッションセンターしまむらや無印良品がライバル視されてきた。コンビニエンスストア業界では、昨年まで業界首位のセブン-イレブンと、同3位のファミリーマートの出店競争が話題になっていたが、結局、ファミマはセブンの牙城を崩せなかった。
しかし、インターネットショッピングの世界では、王者の「Amazon.co.jp(以下、Amazon)」に、ヨドバシカメラの通信販売サイト「ヨドバシ・ドット・コム(以下、ヨドバシ)」が果敢に対決を挑み、大健闘している。
「月刊ネット販売」(宏文出版)の調査によると、2013年度の「ヨドバシ」の売上高は650億円で、ヨドバシカメラの総売上高の9.4%を占める。家電量販店業界のネット通販部門では、上新電機が展開する「Joshin web」の450億円を大きく引き離してトップだった。
「ヨドバシ」の14年度の売上高は、前年比50%を超えて約1000億円に達すると見込まれており、同じペースで推移すれば、16年度には2000億円を超える計算になる。「Amazon」を展開するアマゾンジャパンの13年度売上高は7639億円だが、国内における家電製品の14年度推定売り上げは約2000億円とされている。「ヨドバシ」が「Amazon」に追いつくのも、そう遠くない未来のように思える。
では、「ヨドバシ」はなぜ「Amazon」を猛追できるような存在になれたのだろうか? その最大の要因は「事業戦略の本気度」だろう。
●事業戦略に表れる「ヨドバシ」の本気度
実店舗を持つ小売企業にとって、ネット通販はどんな存在なのだろうか? 経済産業省の調査によると、日本のEC(電子商取引)市場は、08~13年の5年間で約6兆円から約11.2兆円に伸びており、年率換算で17.3%の2ケタ成長を遂げている。
経営者が「ECは成長分野であり、将来の柱になる」と投資し、「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」などのECモールに出店する。赤字が続いたとしても、「企業には健全な赤字部門が必要だ」と、旭化成工業の宮崎輝元社長や、ヤマト運輸の小倉昌男元会長の言葉を持ち出して我慢する、といった例も多いだろう。…
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